Official Dealer Interview

Interview by TSUTAYA RECORDS

この度、7年ぶりのニューアルバムの発売となりますが、この7年間、日本でもいろいろなことがありました。そんななか、この激動とも言える7年間が、まりやさんの本作に何か影響を及ぼしたり、与えたりはしましたか?
振り返ってみると、その時々に感じている気持ちや社会状況を反映した歌ももちろんありますが、タイアップで依頼された曲を書いている時には、世情云々よりも要望されているテーマやその内容を考えながら常に作っていますね。例えば、「アロハ式恋愛指南」だと、“『わたしのハワイの歩きかた』というハワイを舞台にした若者向けの映画である”とか、『おトメさん』主題歌の「たそがれダイアリー」だったら、“熟年主婦目線の、家族や旦那さんとの確執を描くドラマである”というような前提があり、“ならばそれをどう書くか?”と問いかけつつ、そのつど先方のリクエストに対して“自分らしい言葉やメロディはなんだろう?”と探りながら作ってきたものがほとんどです
とは言え、どの曲からも非常に日常を感じました。やはりまりやさんにとって日常と歌とは、切っても切り離せないものなんでしょうね。
その辺りは今の自分が反映されているんだと思います。私自身の人生観や死生観も年齢が増すにつれて確実に変わってきてますし、人生の残り時間みたいなものは、やはり10年前よりも意識してますから。だけど、それはけっしてネガティブなものではなく、“そういうものだ”と肯定的に受け入れ始めた、というか。“人生とは限りあるもの”という諦観を持つようになったのも、今の年齢に到達したからだろうなと思うし。そういうことが無意識に「いのちの歌」にしろ、「たそがれダイアリー」にしろ、表れているんじゃないでしょうか。聴かれる方がどうであるかはわからないけれど、私のなかでは、日記がいつか途切れてしまう日がくるかもしれないという気持ちは、常にどこかにあるので。逆に“そういったことも歌うようになったんだな…”と自分では思ってます
アルバムタイトルの『TRAD』は、凄く本作を言い得ていると思います。ちなみにこのタイトルはどこからつけられたんですか?
特にタイトルを先に決めていたわけではないんです。私の場合、『DENIM』の時もそうだったんですが、いろいろなところからタイアップをいただいて積み上がったものをまとめたものをひとことで表す言葉を探した結果、 “時代を越えて聴かれる音楽”でありたい、という思いを象徴するようなこのタイトルにたどり着いたということですね
その際、他のタイトル候補はどのようなものがあったんですか?
他に考えていたのは『タイムレス』や『オーソドクシー』とか…。それらのなかでも、この『TRAD』という文字の持つ字面のシンプルさと強さが良かったんです。私が好きなものって昔から根本的に変わらないし、普遍的なものに惹かれます。そういう音楽を目指したいという姿勢を表すタイトルでもありました。決して保守的な意味ではなく、いわば、“変わらないもの”“変わらずに好きであり続けるもの”を象徴する言葉ですね
今回、初回限定盤に映像特典としてDVDがついているのが非常に嬉しかったです。
2000年に行ったライヴ音源は、アルバムとしては出していたんですけど、デジタライズされた映像作品としては初めてのお目見えですね。アルバムに映像をつけるのは初のトライアルなんですけど、ダウンロードで単曲買いをする方も増えているなか、パッケージに魅力を感じていただくためには、時代のニーズという面でも、やはり映像ものの方が喜ばれるでしょう、と。そこから、未公開のライヴ映像や、これまで出したミュージックビデオ(以下:MV)のダイジェストを、35周年に合わせて35分間にまとめたものを作りました
35分間という、ちょうど良いコンパクトさがいいですよね。
その中に、過去のMV16曲分を約13分のダイジェストにまとめたものも入ってるんです。これは、これまでのMVのサビやフックになるところをつないでいったもので、あえて時系列順にせず、曲調を考えながらつないだので、ファンの方でも新鮮にご覧いただけると思います。なかにはアニメのものもありますが、できた作品を観て、自分でも “こんなに作ってきたんだ…”と感慨深くなりましたね。こういった映像をつけるとやはり違いますか?
絶対に違いますね! 特にライヴ映像は、実際に会場で観たかったけど観られなかった、という方も多いと思うので、みなさん非常に喜ばれると思います。
これを発表してみて、皆さんからの手ごたえを感じ取ることができれば、今後ちゃんとしたライヴDVDを出すことも考えなくちゃいけないと思っていて。2000年と2010年の映像も掘り起こせば、まだいろいろとありますので
アーカイブ的にも絶対にほしいです。
私も2年前に映画館上映した(音楽制作のパートナーである夫・山下)達郎の『シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』がDVD化されたら絶対に手元に持っていたいですし。あれは実に素晴らしい仕上がりでした。「プラスティック・ラブ」を笑顔で叩いている青ちゃん(故・青山純さん)の映像なんて、あそこでしか観られない本当に貴重な映像ですから
この7年間のベスト的なアルバムとも言える本作ですが、かなりいろいろなタイプの曲が収まっているんで、曲順もかなり悩まれたのでは?
順番はいつも自分で考えますが、自然にハマったのがこの曲順だったんです。当初は「Your Eyes」を最後に持ってくる構想だったんですが、「いのちの歌」に壮大なオーケストレーションが入っているので、どうしても最後にしか収まらなかったんですね。音像が他とちょっと違うこともあり、いちばん最後に持ってきて、音楽的な意味では最後の曲が「Your Eyes」で、その後に、私の補足のメッセージとして「いのちの歌」が続く感じにしたんです。となると、やはり最初の曲はすべてのご縁の始まりを象徴するような「縁(えにし)の糸」かなって。結果的に『だんだん』(2008~2009年のNHK連続テレビ小説主題歌)に始まって、『だんだん』(出雲弁でありがとうの意味)に終わる流れになりましたね。ベスト(『Expressions』)のあとで最初に出したシングルが「縁(えにし)の糸」でもあったので、ここからアルバムが始まるのがちょうどいいのかなって。あとは曲調とかキーとか考えると、この並びがいちばんしっくりときたんです
アルバムジャケットも素敵ですね。
ありがとうございます。ブックレットの写真は、今回すべて出雲で撮ったんです。出雲大社とか稲佐の浜、日御碕神社…そういった場所で。私のふるさとでもあり、1曲目の「縁(えにし)の糸」は朝ドラ『だんだん』の主題歌ですが、その舞台が出雲だったこともあり、つながりを考えれば出雲で撮るのがいちばん自然だろうと。おかげさまで素敵な夕焼けと出会えたりと、良い撮影ができました
今年は記念すべきデビュー35周年イヤーで、33年ぶりの全国ツアーも決まりましたが、ご自身的には、どのような年にしたいですか?
自分としてはことさら35周年を意識してはいないんです。気づいたらデビューから35年が経っていた、って感じなので。ライヴもスタッフからの提案を受けて、“全体の環境が整ったということは、やるべきときがきたのかな”と(笑)。ただ、音楽活動は今後も自分に合ったペースを保ちつつ、40周年、50周年を目指して続けていきたいですね
最後に、まりやさんが無人島に持っていく一枚を教えてください。
うーん、なんだろう…。いろいろな盤に、それぞれ思い入れがあり過ぎて。無人島に持っていって聴きたい一枚って、くり返し聴き込んだものよりも、意外とフォー・フレッシュメンのアルバムだったりするのかな。自分の作品じゃないことは確か(笑)。うーん、でも、ビートルズかな。そのなかでも愛着のある『ビートルズ・フォー・セール』ですね、やっぱり
インタビュー
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
大川 博之氏(TSUTAYA本部)
2014年9月10日発売 7年ぶりのニューアルバム | 竹内まりや 「TRAD」 | 詳細はこちら
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