ホーム >> Another Side of Music >> 第33回 Ohio Knox / オハイオ・ノックス 『OHIO KNOX / オハイオ・ノックス』
Another Side of Music

第33回
Ohio Knox / オハイオ・ノックス
『OHIO KNOX / オハイオ・ノックス』

『OHIO KNOX / オハイオ・ノックス』

心の「あそび」を感じられる一枚

フィフス・アヴェニュー・バンド解散後、ピーター・ゴールウェイを中心にポール・ハリス、レイ・ナポリタン、ダラス・テイラーにより結成されたオハイオ・ノックス。ジョン・セバスチャン、ラス・カンケルも参加した1971年発表の作品。事実上ピーター・ゴールウェイの1stソロ・アルバムであり、やがてシーンの中心となるAORの方向性を早くも暗示しているモダンな作品。
http://www.wmg.jp/artist/ohioknox/WPCR000075400.html


オンライン購入 amazonで購入 HMVで購入 Tower Recordsで購入


あくまで個人的な経験と、周りにいる人の統計にすぎないのだけれど、それによると、女性は何かとすぐに白黒はっきりつけたがる人が多いのに対し、男というのはどうも問題を先延ばしにしようとする傾向にあるように思う。たとえば男女間の喧嘩においても、男は心の中で悪かったなと思いつつ、もうええやん的な空気を醸し出すのに対し、女性は「ちゃんと謝って」と迫ってくる。さっき謝ったじゃんといっても、「ちゃんと、謝って」と更に迫ってきたりする。

思うに、それは動物としての本能のなごりかもしれない。自然界で暮らす動物のオス同士は、しばしばメスを巡って争う。しかし、それはどちらかが死ぬまでというような壮絶な戦いではなく、たいていはいっぽうが負けを認めれば、勝者も「今日はこのぐらいにしといたるわ」とそれ以上攻撃しない場合がほとんどだ。しかし、メスは子どもを守るためならば、たとえ自分より強そうな相手でも死ぬ覚悟で立ち向かう。そもそも、気合いの入り方が違うのではないか。

また男は、たいていのことに「それ、今じゃなくてもいいんじゃない?」と思っているのに対し、女性には「今じゃないとダメ」という瞬間があるらしい。付き合っている女性から突然「今、ちょっと、いい?」と真顔でいわれ、心の中では「ダメです」と答えながらも「なんですか?」と思わず敬語で返事をしてしまったという経験は、男性諸君なら一度や二度はあるはずだ。

何がいいたいのかというとね、白黒付けたい気持ちもわかるんだけども、世の中そんなに何でもかんでもはっきりしているもんでもないし、もっとこう、心の余裕というか、男を問い詰めるにしても、逃げ道というか、あそびの部分を残しておいていただけるとありがたいなぁと思うわけです。

そんな貴方にお勧めなのが、このアルバム。もはや音楽連載とは思えぬ前振りの長さ、ごめんなさいよ。さて、今回紹介したいのはオハイオ・ノックスの、その名も『オハイオ・ノックス』というアルバム。実はこれ、以前に紹介したフィフス・アヴェニュー・バンドを解散したピーター・ゴールウェイが、ロサンゼルスで作り上げた一枚。正確にはソロではないけど、ほとんどソロのようなもの。そのスジでは有名な名盤。

フィフス・アヴェニュー・バンドの都会的な感じはちょっと影を潜め、いい意味で田舎くさいんですが、そこはかとなくお洒落。何がいいって、いい感じに力が抜けているのがいい。これはいい加減という意味ではなく、楽曲も、演奏力も、アレンジも、大変素晴らしいんですが、全然力んでない。一曲目の「テイキング・イット・イージー」の歌詞にあるように「気楽に行こうよ」という感じで、聴いていると何だかほんわかする作品。心がギスギスしたときに、いかがでしょうか。

個人的にはジャケのにやけ顔とポーズがたまらない。あんな感じで女性に謝れるようになりたいと思います。余計に激怒されると思うけど。

今回紹介した1枚

『OHIO KNOX / オハイオ・ノックス』 Ohio Knox / オハイオ・ノックス
『OHIO KNOX / オハイオ・ノックス』

オンライン購入 amazonで購入 HMVで購入 Tower Recordsで購入

フィフス・アヴェニュー・バンド解散後、ピーター・ゴールウェイを中心にポール・ハリス、レイ・ナポリタン、ダラス・テイラーにより結成されたオハイオ・ノックス。ジョン・セバスチャン、ラス・カンケルも参加した1971年発表の作品。事実上ピーター・ゴールウェイの1stソロ・アルバムであり、やがてシーンの中心となるAORの方向性を早くも暗示しているモダンな作品。
http://www.wmg.jp/artist/ohioknox/WPCR000075400.html



穴澤 賢 (あなざわまさる)

プロフィール

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。

「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/