個人的な話で恐縮ですが、近頃やたらと本を読んでおり、ざっとあげただけでも「僕の好きなキヨシロー/泉谷しげる・加奈崎 芳太郎(WAVE出版)」「異人伝/中島らも(講談社文庫)」「おこりんぼ さみしんぼ/山城新伍(廣済堂出版)」と、こう書くとなんだか亡くなった人の本ばかり選んで読んでいるみたいですが、そうではなく「おこりんぼ さみしんぼ」などは、ずいぶん前に買ってあってそのままになっていたのを最近読んだというだけで、他にも小説などいろいろ読み漁っているので、恐らく今年に入ってからだけでもすでに10冊は読んだんじゃないか、というくらいなぜか読書づいております。
そんな中、面白かったのが「アフリカにょろり旅/青山潤(講談社文庫)」。タイトルだけ見るとなんだかふざけているように思えるが、内容はいたって真面目。ある海洋研究チームが、ウナギを求めてアフリカ各地を旅するというもの。日本人にはなじみ深いウナギだが、その生態となると、実はほとんどが今も謎に包まれたままなのだという。わかっていることといえば、ウナギは一生に一度、海に出て産卵するということ。そう、ウナギは回遊魚なのだ。あの蒲焼きになるニホンウナギが、グアム島付近のマリアナ海嶺あたりで産卵しているらしいと突き止められたのも、つい最近のこと(2006年2月 東京大学海洋研究所の塚本勝巳教授らによる発見)。
そんな謎多きウナギの生態を調べるため、作者たち研究チームはアフリカへと飛ぶ。旅の目的はいたってシンプル。アフリカ大陸に生息する「ラビアータ」というウナギを安全かつ確実に日本に持ち帰ること。ところがどっこい、これがなかなか見つからない。さらに研究費を少しでも削るため、泊まるのは窓ガラスもないようなボロ宿。移動はバスかヒッチハイク。食べる物も切り詰め、バックパッカーより汚い格好で奥地へ奥地へと突き進む。作者は「我々は冒険家ではない」と大真面目に書いているが、そこら辺の冒険家よりよっぽど危ない橋を渡っているところが大変面白い。マラリアにやられ、熱射病で死にそうになり、ときには未だ地雷の埋まる湖畔をさまよい歩きながら、ただひたすらウナギを探し求める男たちの旅。果たして、ラビアータは見つかるのかっ!
見つかるのかっ! じゃないですよね。何を書いているんでしょう、私は。さて、いつから本の紹介コーナーになったんじゃい、と思っていたあなたへ!! とやや力業ぎみに軌道修正したところで、今回お勧めしたいのは、そんな読書のお供にピッタリの1枚。モダン・ジャズ・カルテット(以下:MJQ)の『ラスト・コンサート』というアルバムです。
ここでジャズ? と意外に思うなかれ。自分でも意外なんですが。ただ、昔からジャズに対しては一種の憧れのようなものがあり、普段ロックとかポップスしか聴かない者としては「ジャズとかわかる人って、オトナだなぁ」と常々思っていたわけです。だけど、どこから入っていいのかすらわからない。そんな折、ある人に勧められて聴いたのがこのアルバムで、その人曰く「これはジャズを知らなくても聴きやすいよ」とのこと。
これが聴いてみると、なるほどその通りで"ビブラフォン"という鉄琴のような楽器の独特の音色と、なめらかなピアノ、自由自在に動くウッドベース、地味だけど絶対上手いのがわかるドラム、それぞれはてんでバラバラのことをしているのに、なぜか絶妙なアンサンブルとなり、聴きやすいし、心地いいんです。これがモダン・ジャズというものなのか。と感心すると同時に、なんとなくちょっとだけオトナの階段を登ったようなに気分になるから不思議。
そんでこれがまた読書をしているときになんともよくマッチするんです。演奏自体は恐らく即興演奏(アドリブ)をふんだんに入れたある意味スリリングなものなんですが、もの凄い安定感があるので、実に落ち着いた気分になるわけです。などと書いているとモダン・ジャズ好きの方から「この若造が、何が読書のお供にじゃい。MJQをなんだと思っちょる。正座して聴かんかい」と怒られそうですが、すいません、これから少しずつ勉強しますんで、どうぞお許しください。ただ、僕と同じように、ジャズはなんとなく敷居が高そうだなと思っていた方にはおすすめの1枚かも。
ここからアーティスト情報を書こうかと思いましたが、ここまでですでに1600文字を越えているようなので、またの機会に。気になった方は自分で調べてくださいね、とあり得ない締め括りで終わってみたり。そのうえ今回は半分以上が書籍の紹介みたいになってしまったし、しかもその「アフリカにょろり旅」だって書評家の東えりかさんに勧められて読んだ本だし、アルバムも人に勧められたものだったりと、他力本願にもほどがある。反省してます。さて、この原稿、無事に掲載されるのだろうか。
The Modern Jazz Quartet / モダン・ジャズ・カルテット長きにおよぶグループ活動に終止符を打つことを決意、至上の名演を残したMJQの代表作。完成度の高さで他の作品を圧倒する。
(録音:1974年11月25日 NY リンカーン・センター「エイブリーフィッシャー・ホール」にて)
http://www.wmg.jp/artist/THEMODERNJAZZQUARTET/WPCR000013427.html

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。
「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/










