ホーム >> Another Side of Music >> 第51回 RON WOOD / ロン・ウッド 『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO / 俺と仲間』
Another Side of Music

第51回
RON WOOD / ロン・ウッド
『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO / 俺と仲間』

『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO / 俺と仲間』

夢のミュージシャンの共演?
これぞミュージシャンの夢?

ジェフ・ベック・グループ、フェイセズ、そしてローリング・ストーンズという華々しいキャリアを誇るロック・ギタリスト、ロン・ウッドの1stソロ・アルバム(1974年作品)。フェイセズ在籍時に発表されたこのアルバムには、イアン・マクレガン、ロッド・スチュワート、ミック・ジャガー、キース・リチャーズといった錚々たるメンバーが参加!
http://www.wmg.jp/artist/ronwood/WPCR000075191.html


オンライン購入 amazonで購入 HMVで購入


先日、スカトロの夢を見た。正確にはそういう趣味の人たちが集まる場所になぜか自分がいて、めっちゃ引いてる、という夢だったのだが。もちろん参加もしていない。それでも仲間だと思って手招きしている男がいたり、誘ってくる女がいたりするもんだから「止めろ、よせ、俺に近寄るな、そんな趣味はないんだよっ! そんな手で俺に触るなっ! あ、触るなって言ったのにーっ!」と叫んでいるところで目が覚めた。悪夢だった。夢なのに臭かった。しかし、夢に見るということは、心の奥底にそういう欲求があるのだろうか。断じてないと思うんだけど。それにしても冒頭からいったい何を書いているんでしょうか、私は。

えー、世の中にはアブノーマルな人がいるよね、と言いたかったんです。またそうした性癖的なこととは別に、たとえばギャンブルがどうしても止められないだとか、ネットゲームの世界から抜け出せなくなったりだとか、いろいろなものにハマッてしまう人がいるわけですが、それは恐らく脳内物質の影響ではないかと思うんです。ドーパミンとかアドレナリンなどからくる快楽が、そのような特定の行為によってのみもたらされる、ということなのではないかと。他のことではそこまでの快感は得られない。だから、快楽を求めてそうした行為を繰り返してしまう。

こう書くと、なんだか悪いことばっかりみたいなんですが、そうではなく、あらゆる面で人は脳内物質の影響を受けているのではないかと思うんです。ランナーズハイなんかも、走ることによってもたらされる一種の快楽だし、何か大きなことをやり終えたときの達成感なんかも、これに入るのではないでしょうか。問題は、その人がどんな行為に快楽を感じるかどうかで、そのポイントがどこにあるのか、いいことなのか、イケナイことなのか、ノーマルなのか、アブノーマルなのか、ということなのではないかと。

そのような「快楽ポイント」のひとつに、楽器を演奏する、というものがあるんです。いや、人と一緒に演奏する、と言った方がいいのか。とにかく、ミュージシャンはまず間違いなく、この快楽ポイントに脳が侵されていると言って間違いないでしょう。しかもそれは何もプロだけに限らず、楽器を誰かと一緒に演奏したことがある人なら感じたことがあるはず。あの、なんともいえぬ気持ち良さを。僕自身、中学の頃にギターが弾ける友達と、はじめてふたりで演奏したときは、なんだこの感じはっ! とびっくりしたものです。

そこから二十年以上たった今も、その「呪い」はとけることなく、未だに人のライブにちょこっと出させてもらったり、岡さん宅(この人も同じ呪いにかかったひとり)に楽器や機材を持ち込んでは、夜な夜な変な曲を作ったりと、その度にある種の快楽に浸っているわけです。でもたぶんそれは端から見たら何が楽しいのかさっぱりわからないような行為のはずで、これと同じように踊ることや唄うこと、スポーツやゲームと、人それぞれに違った快楽ポイントがあるのでしょうね。

あるのでしょうね、じゃないですよね。いい加減アルバムの紹介をしないと。えーと、そうしたミュージシャンや音楽好き特有の快楽ポイントですが、たぶんその絶頂となるのが、気の合う仲間たちと時間を気にせずジャム・セッションしたりして、そしたらなんとなくいい感じの曲が出来ていた、みたいなところにあるんじゃないでしょうか。少なくとも、個人的にはそう思います。というようなことを、ロン・ウッドの、その名も『俺と仲間』を聴きながら、ぼんやり考えていたのでした。

ロン・ウッドといえば、ローリング・ストーンズのお気楽ギタリストですが、このアルバムは、まだ加入していなかった頃のもの。フェイセズ時代から気さくな人柄で他のバンドと交流があったロニーが、そんな音楽仲間たちを呼んで作ったのがこのアルバムです。この仲間がいちいち凄い。後にバンド・メンバーとなるストーンズからは、キースとミック、当時は微妙な関係にあったであろうミック・テイラー、その他にデヴィッド・ボウイ、ロッド・スチュワートまで、ジョージ・ハリスンが曲を提供(共作)していたり、ロニーでなければここまで集まらなかっただろうというくらい凄いメンツ。

サウンドをひとことでいうと、楽しそう。別に特別なことなんか何もしてないし、しようとも思ってない感じの超自然体で、いつものあのゆるい感じ。ゲストたちも自分のバンドだと楽しいだけではなくプレッシャーとか、周囲との軋轢とかいろいろあるんだろうけど、ここではそういうものから解き放たれて、好きなことをしている感じ。これを作っているときはさぞみんな楽しかったんでしょうね。そんな現場の空気を収めたような1枚です。全然アルバム紹介になってないけど。

さて、みなさんの快楽ポイントはどこにあるのでしょうか。個人的には、早い段階で人と演奏することの快楽を覚えて良かったなぁと思っています。おかげでアブノーマルな道に進まずに済んだのではないかと。深層心理はわかりませんが。うーん、どうしてあんな夢見たんだろう。

あ、それはそうと、本日4月16日『Another Side Of Music』が正式にリリースされることになりました。そんな日に、こんな話……。

今回紹介した1枚

『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO / 俺と仲間』 RON WOOD / ロン・ウッド
『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO / 俺と仲間』

オンライン購入 amazonで購入 HMVで購入

ジェフ・ベック・グループ、フェイセズ、そしてローリング・ストーンズという華々しいキャリアを誇るロック・ギタリスト、ロン・ウッドの1stソロ・アルバム(1974年作品)。フェイセズ在籍時に発表されたこのアルバムには、イアン・マクレガン、ロッド・スチュワート、ミック・ジャガー、キース・リチャーズといった錚々たるメンバーが参加!
http://www.wmg.jp/artist/ronwood/WPCR000075191.html



穴澤 賢 (あなざわまさる)

プロフィール

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。

「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/