私事ですが、先日引っ越しをいたしまして。とはいっても、同じマンションで部屋を移っただけなんですが。具体的にいうと北向きの三階から四階の南向きの部屋になったんですが、これがまぁ同じマンションでこうも違うのかと驚いている次第です。何が違うのかというと、まず部屋の明るさ。前の部屋は日中晴れていてもどこか薄暗く、昼でも照明をつけなくてはいけなかったのに、今度の部屋では晴れていれば照明なんぞつけなくても十分明るい。さらに洗濯物がよく乾く。
前の部屋はバスタオルが乾くのに、夏でもまる一日、冬だと三日くらいかかっていて、曇っていたりすると「お前、乾く気あるんか?」と疑いたくなるくらいずっと湿っていたため仕方なく乾燥機付き洗濯機を買ったのだった。しかし、個人的にバスタオルは太陽を浴びてガシガシになったくらいが好きで、乾燥機で乾かしたときの、あのなよっとした軟弱な感じが許せなかった。ところが今度の部屋では朝干したら昼頃には「え? もう乾かれたのですか?」と敬語になってしまうほどあっという間に乾く。しかもバリッと男気あふれる見事な乾きっぷり。素晴らしい。
その上、以前は布団乾燥機を使っていたのが、今度はちゃんと干せる。干した布団の太陽の香りに包まれて眠る喜び。北向きと南向きでこれほど世界が違うとは知らなかった。ひょっとしたら、この軟弱でダークで湿った性格は、住んでいた部屋のせいだったのではないだろうか。南向きの部屋になったことで、はじける笑顔が似合う爽やか人間になれるのではないだろうか。なれたらいいのになぁ。陽の光がやわらかく差し込む部屋で、この連休はそんなことを考えておりました。ものすごくダークな小説を読みながら。
さて、己の引っ越し話だけで700文字を越えたところで、今回はそんな南向きの部屋に移ってから頻繁に聴いているアルバムを紹介したいと思います。それはピーター・ゴールウェイの、その名も『ピーター・ゴールウェイ』というそのままの1枚。ピーター・ゴールウェイといえば、以前にも取り上げたフィフス・アヴェニュー・バンドのメンバーであり、その後もいろいろなアーティストにあたえた影響は絶大だといわれている、そのスジでは有名な方。そんなピーターがフィフス・アヴェニュー・バンド解散後、オハイオ・ノックスに続いて1972年に発表したのがこのアルバム。
例によって細かいことは書きませんが、サウンド的にはフォーク、ボサノバ、カントリーなどの要素がほどよく混じり合った、どことなくお洒落なテイスト。フィフス・アヴェニュー・バンドがいいなぁと感じた人は、気に入ること間違いなしだと思います。玄関を少し開けておくと、ベランダへと心地いい風が通る南向きの部屋にぴったりな感じ。今、まさにそんな状況でこれを書いているんですが、すごくまったりとした気分です。おかげでこんないい加減な紹介になってしまいました。
あ、そうそう。『Another Side Of Music』のレビューを書いてくださった皆さん、どうもありがとうございました。ちゃんと読んでます。他にも何か感想があったらどしどしお寄せくださいね。ではまた次回。
Peter Gallway / ピーター・ゴールウェイフィフス・アヴェニュー・バンド、オハイオ・ノックスを経て発表された、ピーター・ゴールウェイ名義としてのソロ・デビュー作(1972年作品)。ケニー・アルトマン、ポール・ハリス他、気心の知れたメンバーと、リラックスした雰囲気の中で制作した本作は、フィフス・アヴェニュー・バンド時代の曲も再録され、改めて彼のソング・ライティングのセンスの良さに驚かされる。近年、再評価されて注目を集めている。
http://www.wmg.jp/artist/petergallway/WPCR000075401.html

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。
「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/










