全然知らなかったが、2010年は「国際生物多様性年」に指定されていて、10月には日本で生物多様性条約の締約国会議(COP10)が行われるらしい。生物多様性とは、簡単にいうと「生物がさまざまにことなること」で、COP10では地球上の多様な生物とその生息環境を保全することを目標に、さまざまなことが議論される予定だという。
ちなみに、生物の種はこれまで発見されただけでも約140万種。しかしそれだけではなく毎年のように新種が発見されていることや、深海や密林の高い木の上など、未だ人類が踏み込んだことがない「未知の領域」も含めれば、地球上に生息している生物は1000万種を越えるかもしれないんだとか。うーん、なんかわくわくする。
しかし、そんな多様な生物も元をたどれば単細胞生物だったりして、そこから膨大な時間をかけて徐々に種に枝分かれしたといわれている。そういう話を聞く度に「ほんまかいな」と思ってしまう。理論としては、ある種に突然変異が起きてふたつの種に分かれ、それがまた分かれ、ということを延々と繰り返してきた結果なんだろうけど、どうやったら単細胞生物が魚やイカ、カエルやウナギ、トリやライオン、はたまたヒトになるんだろう。
それにクラゲなどを見ていると、なぜそんなにやる気のない姿に進化したんだ、それでいいのか? と不思議に思う。何を考えてそうなった。といってもクラゲには脳がない。それなのに食べて泳いでぷかぷかと。ま、繁殖力だけは凄いからあれでいいんだろうけども。
と、何が言いたいんだっけ。そうそう、生物の進化と多様性って面白いよねと言いたかったんです。そしてそれとは全然スケールが違うけど、音楽の世界にも似たようなところってあるよね、と繋げたかったのです。クラゲの生態や謎についてもっと書きたかったんですが、あまりにも関係ない話なので割愛します。
そう、音楽にも進化はある。この場合、進化といっていいのか、変化といっていいのか微妙だが、だけどあるものから遺伝子を受け継ぎながらも、時間の経過と共にさまざまなかたちに枝分かれした、という意味では樹木を上下逆さまにしたような生物分類と進化の図に近いものがあるような気がする。
たとえばロックにしても、ざっくりといえば、まずアメリカの黒人のブルースやR&Bから、チャック・ベリーなどのいわゆるロックンローラーが誕生し、それらのサウンドから影響を受けて、ビートルズやヤードバーズやビーチ・ボーイズが出てきて、そのうちジミ・ヘンドリックスみたいな突然変異が現れたりしつつ、グラムロック、ハードロック、ブログレ、ヘビメタ、オルタナティヴロック、と現在までに実に様々なスタイルが生まれてきた。
現在、地球上にはいったいどれだけのバンドが存在するんだろう。生物の1000万種には遠く及ばないにしても、インディーズも含めればかなりの数になると思うのだが。そんな中でも影響力のあるバンドは、今も若者から支持され、やがてそのテイストを自分たちの音楽に取り入れた新たなサウンドが生まれるのだろう。
というわけで、今回紹介するのは90年代にデビューして、その後のロックシーンに絶大な影響を与えたといわれているバンド、サード・アイ・ブラインドのベスト・アルバム『ベスト・オブ・サード・アイ・ブラインド』という1枚。サウンド的にはキャッチーなメロディに、わりとヘヴィなドラムとギターが炸裂しているという感じ。ヴォーカルのスティーヴン・ジェンキンス曰く「可愛らしい曲にちょっと下品な歌詞って感じかな」とのこと。ブリットポップが好きな人は、たぶん気に入ると思います。試聴もできるはずなので、気になった方はぜひ。
90年代以降のロックシーンに結構な影響を与えたというこのバンドも、フェイセズやレッド・ツェッペリンやその他たくさんのバンドから影響を受けているらしく、それらを自分たち流にアレンジしたのだという。はてさて、ロックシーンは今後どのように進化(変化)していくのだろうか。
それにしても、この1枚を紹介するために、はたしてこんなに壮大で長い前置きが必要だったのかどうか、かなり疑問だ。そのおかげでバンドの経歴やメンバーにすら触れていないし。でもこれはこれで肝心なことをほとんど書かない新しい音楽コラムの新たなスタイルとして、今の若者に何かしらの影響を与えたりするのかもしれない。たぶんそれはないと思うけど。
<余談>
生物多様性については、『ニュートン6月号』に詳しく載っていますので興味のある方はぜひ。最近発見されたという腹部が透明で内臓が透けて見えるカエルや、ピンクのイグアナがいて面白いですよ。
THIRD EYE BLIND / サード・アイ・ブラインド大ヒット曲「セミ・チャームド・ライフ」で一世を風靡、デビュー・アルバムは全世界で600万枚のセールスを記録し、一躍時代の寵児となったサード・アイ・ブラインド。本作は、「セミ・チャームド・ライフ」「ハウズ・イット・ゴナ・ビー」「ジャンパー」「ネヴァー・レット・ユー・ゴー」「ディープ・インサイド・オブ・ユー」他、彼らの代表曲を完全網羅したキャリア初のベスト・アルバム!
http://www.wmg.jp/artist/third_eye/WPCR000013767.html

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。
「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/










