ホーム >> Another Side of Music >> 第54回 The Doobie Brothers / ドゥービー・ブラザーズ 『THE CAPTAIN AND ME / キャプテン・アンド・ミー <紙ジャケ SHM-CD仕様>』
Another Side of Music

第54回
The Doobie Brothers / ドゥービー・ブラザーズ
『THE CAPTAIN AND ME / キャプテン・アンド・ミー
<紙ジャケ SHM-CD仕様>』

『THE CAPTAIN AND ME / キャプテン・アンド・ミー
<紙ジャケ SHM-CD仕様>』

バイクで突っ走りたくなる1枚

輝かしい大ヒットを記録し、バンドの地位を不動のものとした記念すべき3rdアルバム(1973年作品)。「ロング・トレイン・ランニン」「チャイナ・グローヴ」など大ヒット曲を収録!
http://www.wmg.jp/artist/doobiebros/WPCR000013655.html


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歳をとっていくにつれ、人はどんどん慎重になっていくような気がする。今年で39歳になるので、もっと上の世代の人からみたら、まだまだひよっこなのかもしれないが、それでも若い頃よりは慎重になってきたのではないかと思う。何かをしようとする前に、まず起こりうる様々な可能性について考えてしまうのだ。そして、悪い方向に転んだときも考慮し、できるだけリスクを回避しようとする。楽しさとしんどさを天秤にかけて、やっぱりやめたとなる場合もある。

どういうことかというと、20代の頃は週末に仲間たちと飲みに行こうぜーとなっても、常に行き当たりばったりで、とりあえず安そうな居酒屋を見つけて入っていた。どこも満席で街をうろつくこともあったし、やっとこさお店に入れても、ビールはぬるいし料理はまずいしどうなっとんじゃこの店は、となることも多々あった。

それが今では、誰かと飲むとなるとまずどこへ行くのか先に決めるし、たいていは予約もちゃんと入れておく。行ってから満席です、と言われたら嫌だし、まして飲み屋を探して街をふらふらするなんてまっぴらごめんだからだ。それはそれでことがスムーズに運ぶからいいのだが、そのいっぽうで、何かを失ってしまったような気もする。もっと後先考えずに行動してもいいんじゃないのか、と思う。

たとえばバイクのツーリングにしてもそうだ。若い頃は、何も考えず「今度の休み、バイクで長野まで行ってみねえ?」というただの思いつきにすぎない誘いにも、即座に「いーねー」と答え、必要な装備なんてまったく用意せずに半キャップのヘルメットで地図を片手に出発した結果、途中で豪雨に遭って雨つぶに思い切り顔面を強打されるわ、濡れた服に体温を奪われるわで、夏なのに手はかじかむし歯がガチガチと音を立てるし、本気で凍死するかと思った、なんてことがあった。

それが今、ツーリングに誘われたらどうだろう。まずは、装備をしっかり準備する。途中で雨になる可能性もあるだろうから、カッパもちゃんと用意する。それから着替えも用意しないとね。その上で、ルートを決め、それにかかるおおよその時間を割り出し、綿密な計画を立てるのではないだろうか。まったく、つまんねー大人になっちまったもんだ。そんな決まり切った旅の何が面白い。いや、面白いのかもしれないが、何かが欠けている。それは「勢い」じゃないだろうか。

いいじゃないか、何も決めずに思い立ったときに行動すれば。何かあったってなんとかなるさ。むしろ、予期せぬことが起こるからこそ楽しいのではないか。こぢんまり収まっている場合ではない。暖かくなってきたし、晴れた日に突然どこか遠くへ行ってみるのもいいかもしれない。BGMに「チャイナ・グローヴ」を聴きながら。

しばし余談。余談じゃなかった、こっちが本題だった。その「チャイナ・グローヴ」というのはドゥービー・ブラザーズの曲で、その名は知らなくてもよくBGMで使われているので恐らく誰もが一度は耳にしたことがあるはず。ステッペンウルフの「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」と並んで"道路をぶっ飛ばすとき"のBGMとして有名なナンバー。これからの季節、おでかけするときにオススメの名曲です。たぶん試聴してみると「あぁ、この曲ね」となると思いますよ。

そんなゴキゲンなナンバーが収録されているのが、『キャプテン・アンド・ミー』というアルバム。全体的にカラッと乾いた軽快なサウンドなので、家に籠もってじっとり湿っている人でも、これを聴けばどこかへ遊びに行きたくなるかも。ギターキッズたちは、「ロック・トレイン・ランニン」のリフをマスターして、おっさんたちを喜ばせてあげようね。

そう、同じように、気付かないうちにいつの間にか慎重になっていた同年代の仲間たちも多いのではないだろうか。いつからこんなふうになってしまったのだろう。もっと自由に行動した方がいいのではないか。そうさ、後先なんて考えず、突っ走ればいいんだよ。そしたら何かが見つかるかもしれないじゃないか。いちいち考えるのはもうよそう。さぁ、旅に出ようじゃないか。

そんなようなことを、このアルバムを聴きながらぼんやり考えていたのでした。部屋から一歩も外へ出ずに。

今回紹介した1枚

『THE CAPTAIN AND ME / キャプテン・アンド・ミー
<紙ジャケ SHM-CD仕様>』 The Doobie Brothers / ドゥービー・ブラザーズ
『THE CAPTAIN AND ME / キャプテン・アンド・ミー
<紙ジャケ SHM-CD仕様>』

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輝かしい大ヒットを記録し、バンドの地位を不動のものとした記念すべき3rdアルバム(1973年作品)。「ロング・トレイン・ランニン」「チャイナ・グローヴ」など大ヒット曲を収録!
http://www.wmg.jp/artist/doobiebros/WPCR000013655.html



穴澤 賢 (あなざわまさる)

プロフィール

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。

「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/