ホーム >> Another Side of Music >> 第62回 Ben Jelen / ベン・イェレン 『Give It All Away / ギヴ・イット・オール・アウェイ』
Another Side of Music

第62回
Ben Jelen / ベン・イェレン
『Give It All Away / ギヴ・イット・オール・アウェイ』

『Give It All Away / ギヴ・イット・オール・アウェイ』

素直に脱帽する1枚

スコットランド生まれ、ニューヨークをベースにアーティスト活動する新時代シンガー・ソングライター、ベン・イェレン。当初はモデルとしてマネージメント契約するが、後に音楽の才能を認められ、マドンナが主宰するマヴェリック・レコーズより本作『ギヴ・イット・オール・アウェイ』でデビューを果たす(2004年作品) 。 2006年に発売されたコンピ『Beautiful Songs~ココロデキクウタ~』で人気の高かった楽曲で、2008年よりパナソニック電工全自動おそうじトイレ「アラウーノ」のCMソングに使われた「カム・オン」も収録。
http://wmg.jp/artist/benjelen/WPCR000075535.html


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人はそれぞれ憧れを持っている。中にはあるひとつのことだけで、誰かを尊敬してしまうこともある。個人的には「学者」、または「研究者」と聞いただけで、無条件にその人を尊敬してしまう傾向がある。特にそれが生物学系であれば、羨望の眼差しで見てしまう。だから、大学の研究室で微生物の研究を数年やってました、などという人がいたりすると、たとえそれがどれだけ年下であろうと、どんなに駄目人間であろうと、敬語になってしまう。

もう少し軽い例でいうと「ピアノを弾ける人」も、たとえプロでなくても、ちょっと弾けると、もうそれだけで尊敬してしまう。あんなにたくさんある鍵盤の上を、蜘蛛のように手を動かしながら弾いている姿を見ると「この人の脳ミソはいったいどうなっとるんだろう」と思ってしまう。それだけで、なんだかもの凄く頭の良さそうな人に見えてしまうのだ。それにピアノが弾ける人というのは、どこかしら品がある。ああ、どうして子どもの頃からピアノを学んでおかなかったのか。そしたら、今頃ピアノ男子になれていたかもしれないのに。

今回紹介したいのは、そんなピアノ男子であるベン・イェレンの『ギヴ・イット・オール・アウェイ』というアルバム。どことなく切ない調べと甘めの声が、ぎっしり詰まった1枚となっております。しかもこの人、めっちゃ男前ときている。そもそも最初は、モデルとしてスカウトされたんだとか。さらにヴァイオリンも弾けるという。ピアノにヴァイオリン、しかも二枚目ですか、とやっかみぎみにプロフィールを見ていると、なんとこの人、大学のときには生物学を学んでいたらしい。大学を出たときに科学か音楽で悩んだとある。凄い。素直に、凄いと思う。

それはさておき、学者とかピアノとかは別にどうでもいいという人のために軽く解説しておくと、サウンドはポップでとても聴きやすいです。少し前からアメリカで次々とデビューして成功していた若手シンガー・ソングライターたちと香りは似ていて、ジェイソン・ムラーズとかが好きな人は気に入ると思います。キャッチーでストレートなサウンドが好きな人にはお勧め。あと、ピアノ男子好きにも。

それにしても、憧れを抱く対象は人それぞれだとしても、それは自分とはもっとも遠いところにあるものではないのだろうか。望んでも望んでも到底かなえられそうにないものだからこそ、人はそこに惹かれ、憧れてしまうような気がする。自分のことに置き換えてみると、学者もピアノも、どちらも「知的」というキーワードが隠れているような気がする。そうか、そういうことなのか、と妙に納得したのでした。

今回紹介した1枚

『Give It All Away / ギヴ・イット・オール・アウェイ』 Ben Jelen / ベン・イェレン
『Give It All Away / ギヴ・イット・オール・アウェイ』

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スコットランド生まれ、ニューヨークをベースにアーティスト活動する新時代シンガー・ソングライター、ベン・イェレン。当初はモデルとしてマネージメント契約するが、後に音楽の才能を認められ、マドンナが主宰するマヴェリック・レコーズより本作『ギヴ・イット・オール・アウェイ』でデビューを果たす(2004年作品) 。 2006年に発売されたコンピ『Beautiful Songs~ココロデキクウタ~』で人気の高かった楽曲で、2008年よりパナソニック電工全自動おそうじトイレ「アラウーノ」のCMソングに使われた「カム・オン」も収録。
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穴澤 賢 (あなざわまさる)

プロフィール

穴澤 賢 (あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。
ブログ「富士丸な日々」の作者。
高校生の頃からバンドに明け暮れ、28歳という微妙な年齢で上京するが、音楽の道から挫折するという経歴を持つ。現在は文筆業でかろうじて食いつないでいる。口癖は「ま、いいじゃん」。著書に『ひとりと一匹』(小学館)、『富士丸な日々~明日は天気か?』(小学館)、『富士丸 おでかけ日和』(日経BP社)などがある。

「富士丸な日々」 http://fujimaru.blog16.fc2.com/
「Another Days」 http://anazawa222.blog13.fc2.com/