フォー・シーズンズ - この名前を聞いて、「シェリー」、「ラグ・ドール」のヒット曲を思い浮かべるか、ホテルの名しか思い出さないかが、60’s音楽ファンか一般人のわかれ道。
CD時代になってから、日本盤としてフォー・シーズンズの音源がめったに発売されないので、原体験派以外には知名度が極端に落ちてしまうのが残念です。現在アメリカで話題のフォー・シーズンズの歴史を追ったミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が日本でも公演されると注目度も違ってくるのでしょうが・・・。
とにかく彼らの曲はいい曲が多く、コアな音楽ファンでなくでも好きになる要素が含まれていると僕は思っています。フランキー・ヴァリのソロ名義ですが、「君の瞳に恋してる」があれだけいろいろな人にカヴァーされ、好かれているのですから。
他の曲ももっとみんなの耳に届くような形になれば、今でもポピュラーな存在にフォー・シーズンズがなってもおかしくないと思います。「君の瞳に恋してる」のカヴァーを耳にするたびに、これ以外にもいい曲いっぱいあるのに、と思ってしまうのです。
さて、“僕のフォー・シーズンズ”はまずファースト・ヒットにして全米ナンバー・ワンになった「シェリー」の話から。この曲がアメリカでヒットしていたのは1962年秋頃、僕はまだ小学5年。その頃は残念ながら、まだフォー・シーズンズの名前を知るに至っていなかったのですが、「シェリー」は大好きでした。日本では1963年の初めにダニー飯田とパラダイス・キング(リード・ヴォーカルは九重佑三子)の歌で、テレビ/ラジオからよく流れていました。
♪さあ出ておいで、パパもママも・・・♪という日本語の歌詞が最初に耳に残り、♪シェーエリー、シェリ、ベイビー・・・♪というつかみのコーラスも大好きでよく口づさんでいました。その頃は、外国の曲だとはわかっていたのですが、誰がオリジナルなのか、誰が作った曲なのかは無意識のまま楽しんでいたような気がします。
1964年、洋楽ポップスの虜になった僕は、ビルボードやキャッシュ・ボックス誌のチャート順位に一喜一憂するようになっていました。文化放送の「9500万人ポピュラー・リクエスト」、ニッポン放送の「ベスト・ヒット・パレード」などラジオ番組のチャートも同様でした。もう少しでベスト・テンに入れたのに・・・、来週はベスト3かも、やったあ1位だ、とか、妙に真剣に毎週聴いていました。
そんな中で、初めてフォー・シーズンズというグループ名を意識して曲を聴いたのは「ラグ・ドール」でした。
名曲ひしめく1964年のヒット曲の中でも「ラグ・ドール」はひときわ輝いていた曲です。当時はこの曲が、フィル・スペクターがプロデュースしたロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」に影響を受けた、なんてことは知りませんでしたが大好きな曲となりました。あの「シェリー」を歌っていた人たちが、フォー・シーズンズだったのだ - ということもこの頃知りました。以前好きだった曲と新しく好きになった曲の点と点が線で結ばれることの快感も味わったような気がします。
日本では、残念ながら「ラグ・ドール」は大ヒットとまではいきませんでしたが、アメリカではNo.1になりました。
1) フォー・シーズンズ 「ラグ・ドール」
2) ビートルズ 「ア・ハード・デイズ・ナイト」
3) ビーチ・ボーイズ 「アイ・ゲット・アラウンド」
<1964年7月25日付 ビルボード誌>
この週のチャートが1ヵ月後くらいに日本の音楽雑誌にひっそり掲載されていましたが、これを見た時はうれしかったですねぇ。今、見ても実に美しいチャートだと思います。
3位は2週前No.1で先週3位に落ちて、よくぞ踏みとどまってくれたビーチ・ボーイズ。2位はもの凄い勢いで上昇してきたけれど次週まで1位はおあずけとなったビートルズ。そして1位は、強豪を抑えて2週目のNo.1を獲得したフォー・シーズンズ。
フォー・シーズンズ、ビートルズ、ビーチ・ボーイズ - この3組でベスト3を形成したのは、ビルボード誌史上、後にも先にもこの1964年7月25日だけではないかと思います。1964年~65年あたりは、ビートルズをはじめとするイギリスのビート・グループの攻勢が凄まじく、それに対抗できた本国アメリカの音楽は、ビーチ・ボーイズとフォー・シーズンズ、そして、モータウン・サウンドだけなんて言われていました。
1964年のフォー・シーズンズと言えば、「アローン」も忘れられません。ですが、その話の前にこの頃の彼らの動向を少し。
この年、彼らはレコード会社を移籍しました。新しい会社、フィリップス・レーベルからは「ドーン」が第一弾シングルとして発売され、全米3位まで上昇するヒットを記録。この3位というのは1位と同等の価値があると僕は考えているもので、彼らとしては4曲目のNo.1になるはずだった曲なのです。
フランキー・ヴァリの力強いヴォーカルと印象深いドラムスのビート感はそれにふさわしい“質”を持っていたのですが、“運”が悪かったですね。強敵がいたのです。
その時の1位は「抱きしめたい」、2位が「シー・ラヴズ・ユー」と、アメリカ上陸直後のビートルズがどっしりと居座っていたのです。
この数週間後には、1位から5位まで独占するというとてつもない記録を作った時期のビートルズだったのです。ですから、このビートルズ旋風の中の3位は普通の3位とは、“格”が違うというか、1位にも匹敵するものではないかと考えてしまうのです。たかが、チャート順位なのですが、あとであれこれ考察してみると、いろいろと時代が見えてくるのでおもしろいものです。
さて、話がそれてしまいましたが、「アローン」は新しいフィリップス・レーベルからでなく、古巣のヴィー・ジェイ・レーベルからのシングルでした。古かろうが、カヴァーだろうが、中学1年生にはそんなこと関係なく楽しめたリズム感のある大好きな曲でした。エンディングの口笛も気がつくとマネをしていたものです。この「アローン」のように以前所属していたヴィー・ジェイもシングルを出したことにより、1964年は8曲ものシングル・ヒットが生まれた当たり年となりました。
この「アローン」がきっかけで中学校で友人の輪も広がることになりました。別のクラスにフォー・シーズンズを特に好きな音楽ファンが見つかったのです。
“「アローン」のシングル盤なら僕も持っているよ”が最初にかけた言葉だったと思います。どんな場面でその言葉が出たかは忘れましたが、その曲が好きだというだけで友達になってしまいました。それ以前のフォー・シーズンズの曲に関しては、その友人から借りたレコードによって知るところが多くあり、「ビッグ・ガールズ・ドント・クライ」、「ウォーク・ライク・ア・マン」、「キャンディー・ガール」、「マーレーナ」、「ピーナッツ」など過去の名曲の素晴らしさを確認できたわけです。
自由になるおこづかいに比べると、レコードの価格は高価な時代だったので、学生が音楽を楽しむためには、レコードの貸し借りとラジオが重要な要素でした。その友人とはラジオ番組を聴いて、次の日の休み時間・昼休み・放課後とヒマさえあれば、ポップスの情報交換をしていました。FENでフォー・シーズンズの新曲が初めて流れた時などは、次の日が待ちきれずに、“今の新曲、聴いた?!”と電話であぁだこうだとやりとりをしたものでした。「レッツ・ハング・オン」を初めて聴いた時、“これは今までの最高傑作だと思うよ”と共通の感想が出たことも思い出されます。
「ワーキング・マイ・ウェイ・バック・トゥ・ユー」「オパス17」「アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン」「カモン・マリアンヌ」など1966~67年も名曲を次々と発表してくれた彼らは本当に多くの話題を提供してくれました。
あと忘れていけないのが、フランキー・ヴァリ、1967年のソロ・ヒット「君の瞳に恋してる」(キャント・テイク・マイ・アイズ・オフ・ユー)です。アメリカでの大ヒットほど日本では話題になりませんでしたが、その友人は何度もこの曲の良さを語ってくれていました。翌1968年にレターメンがこの曲を織り込んだメドレー「愛するあなたに」(ゴーイン・アウト・オブ・マイ・ヘッド/キャント・テイク・マイ・アイズ・オフ・ユー)を日本でもヒットさせましたが、“リトル・アンソニー&インペリアルズとフランキー・ヴァリのオリジナルを聴かなきゃダメだよ”なんて、一丁前なことを言ったりしていましたね、実に・・・。
いろいろとフォー・シーズンズ体験談(?)を書いてきましたが、最後に【僕の好きな1960年代のフォー・シーズンズ・シングル・ベスト・テン】で締めくくりたいと思います。
悩みますが思い切っていきます。
1) レッツ・ハング・オン
2) ラグ・ドール
3) アローン
4) シェリー
5) マーレーナ
6) アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン
7) セイヴ・イット・フォー・ミー
8) ドーン
9) ワーキング・マイ・ウェイ・バック・トゥ・ユー
10) ガール・カム・ラニング
となりました。
個人的な混乱を避けるために、フランキー・ヴァリのソロ作品は今回外すことにしました。あしからず。
近頃、フォー・シーズンズ好きの友人に会っていませんが、今度会ったら彼のベスト10を是非聞いてみようと思います。つもる話とともに・・・。
2007年11月15日
ペット・サウンズ・レコード 森 勉
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