ポスト・パンク/ニューウェイヴ・シーンにおける最重要バンドであり、ニュー・オーダーの前身バンドとしても知られるジョイ・ディヴィジョンは、1976年にマンチェスターにて結成された。メンバーは、イアン・カーティス(vo&g)、バーナード・サムナー(g&key)、ピーター・フック(b)、スティーヴン・モリス(dr)の4人。セックス・ピストルズやバズコックスといったパンク・オリジネイターたちのアグレッシヴなバンド・サウンド、デヴィッド・ボウイに代表されるUKロック的な耽美趣味……を継承しつつも彼らならではの解釈を加えた記名性の高い音楽性、イアン・カーティスによる絶望と退廃をモチーフとした著しくダークで深遠な歌詞世界、ジム・モリスンを思わせるカリスマ性に富んだヴォーカル・ワークで、世界中のロック・シーンにおいて絶大な足跡を残した偉大なるグループだ。1980年のイアン・カーティスの死によって、その歴史に終止符が打たれることになるが、彼らが残した2枚のオリジナル・アルバムは決して色褪せることはないだろう。
本作は、そんなジョイ・ディヴィジョンの記念すべき1stアルバムのコレクターズ・エディション(オリジナル盤がリリースされた直後の1979年7月にファクトリーにて行なわれたパフォーマンスをフルで収録したライヴ音源がDisc-2に収録。ライヴ・バンドとしてのポテンシャル、イアン・カーティスのカリスマぶりを確認できるはず)。ロック史の残る名盤との呼び声も高いこの『アンノウン・プレジャーズ』だが、改めて耳にして思うのは、まず何よりも彼らのサウンドの特殊性。ポスト・パンクならではの自由でボーダレスな発想から生まれる、それまで誰も鳴らしたことのなかったバンド・サウンド、その革新性たるや……。ギター/鍵盤/ベース/ドラム、それぞれのアレンジ/フレーズがことごとく斬新。それでいて、きっちりとロック的なダイナミズムを保持しているあたりがとんでもなく素晴らしい。名プロデューサー、マーティン・ハネットの手腕によるところが大きいのだろうが、1stアルバムにしてこの完成度は驚くばかりだ。また、演奏スキル自体は決して高くはないものの、アイディア次第でこれほどまでにクールなサウンドを生み出せることを証明してみせたという点も見逃せない。
UKポスト・パンク・シーンを象徴する歴史的グループ、ジョイ・ディヴィジョンの2ndアルバム。同アルバムのリリースと初アメリカ・ツアーを控えた 1980年5月、中心メンバーのイアン・カーティス(vo&g)が自殺によりこの世を去ったため、本作がラスト作品となっている。
1979年にリリースされた前作『アンノウン・プレジャーズ』は、先鋭的なメディアやコアな音楽リスナーたちの間で大きな話題となるとともに、当時のUK を取り巻く社会的な閉塞感とシンクロし、彼らはシーンの台風の目となりつつあった。バンドへの期待が高まる真っ只中の1980年3月に制作された、この『クローサー』だが、荒削りなバンド・サウンドは若干鳴りを潜め、イアンの描く混沌と絶望の世界を、ソリッドかつ冷徹なアンサンブルで表現することに成功。「アイソレーション」「ハート・アンド・ソウル」「24時間」等のイアン・カーティスの魅力が余すところなく発揮された名曲が多数生まれている。また、残されたメンバーたちによって1980年に結成されたニュー・オーダーの音楽性を思わせるアイディアが随所に見受けられる点にも注目してほしい。
今回のコレクターズ・エディション盤には、『クローサー』レコーディング直前に行なわれたロンドン・ユニオン大学でのライヴの模様が収録されている。後に彼らの代表曲となった永遠の名曲「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート」の貴重なライヴ音源を堪能できる。最新リマスタリー音源。
1980年、イアン・カーティスの急逝により、その歴史に終止符を打たれたジョイ・ディヴィジョンのレアトラック集。『アンノウン・プレジャーズ』『クローサー』未収録のスタジオ録音トラック9曲に加え、1980年4月にロンドンのムーンライト・クラブでのパフォーマンスで披露されたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー「シスター・レイ」、さらに同年5月バーミンガム大学でのライヴ音源10曲が収められている。
バズコックスばりのクラシカルなパンク・チューン「アイス・エイジ」「ウォークト・イン・ライン」、ギャング・オブ・フォーにも通じるソリッドでスリリングなロック・ナンバー「グラス」、ハードコア的なアグレッシヴさをたたえたレジェンダリー・パンク・チューン「ザ・キル」……などなど、パンク・ロックを源流とした結成当初の彼らのアイデンティティを感じさせる楽曲の数々がとにかく生々しくてカッコいい。ジョイ・ディヴィジョンの記名性の高いサウンド・スタイルがいかにして生まれたか、その過程を窺い知ることができる格好の一枚となっている。また、ニュー・オーダーの1stシングル「セレモニー」のライヴ・ヴァージョンが収録されている点も特筆したい。
コレクターズ・エディション盤には、Disc-2として1980年2月のワイコム・タウン公会堂公演の模様が収録。ライヴ本編の音源8曲に加え、サウンドチェック音源6曲(かなりの名演です)が収められている。「アイス・エイジ」「ザ・サウンド・オブ・ミュージック」などの貴重すぎるライヴ・ヴァージョンを楽しむことができる。最新リマスタリー音源。
ジョイ・ディヴィジョンが残した2枚の名盤『アンノウン・プレジャーズ』『クローサー』、アルバム未収録のシングル曲群、そして未発表音源集『スティル』収録のナンバーの中から選りすぐりのトラックを集めたベスト・アルバム。まず、「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート」「トランスミッション」「アトモスフィア」といったアルバム未収録のシングル曲(スタジオ・ヴァージョン)が収録されているところが何より嬉しいところ。2枚のオリジナル・アルバムの有するコンセプチュアルで一貫した世界観が素晴らしいことは言うまでもないが、シングル・ヒットを確実に狙えるこのキャッチーさもジョイ・ディヴィジョンの大きな魅力であることを改めて思い知らされるはず。その他、「ディスオーダー」「アイソレーション」「ハート・アンド・ソウル」など、定番のチューンもしっかり収録。彼らの軌跡を振り返るには、これ以上ないほど、ばっちりな選曲がなされている。さらに、BBCライヴ・セッションにおける音源10曲、イギリスを代表する音楽番組司会者、リチャード・スキナーによるイアン・カーティスとスティーヴン・モリスへのインタビュー音源も収録されている。 最新リマスタリー音源。
ポスト・パンク・シーンの伝説的バンド、ジョイ・ディヴィジョンのフロントマン、イアン・カーティスの波乱の生涯を描いた映画『コントロール』のオリジナル・サウンドトラック。イアンの極度に繊細な人間性、当時のUK音楽シーンの喧騒、ジョイ・ディヴィジョンというバンドそのものを余すところなく描いた同映画に、花を添える楽曲たちがとにかく素晴らしい。まず、特筆すべきは、インストゥルメンタルながらも3曲も収録されたニュー・オーダーの新曲(!)。ニュー・オーダーとしての原点が、紛れもなくジョイ・ディヴィジョンでありイアン・カーティスあることを宣言しているかのようなナンバーで、ファンなら涙腺がゆるむこと必至だ。その他の収録曲は、ジョイ・ディヴィジョン自身の代表的ナンバー4曲に加え、セックス・ピストルズ、バズコックス、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、デヴィッド・ボウイ(ジョイ・ディヴィジョンの前のバンド名は彼の「ワルシャワ」に由来)、ロキシー・ミュージック、イギー・ポップ……とジョイ・ディヴィジョンの音楽性を語る上で欠かせないアーティストのナンバーがずらり。この“分かってる”感あふれる選曲が、何とも嬉しい限りだ。映画『コントロール』に感極まった輩には、激しくマストな一枚であろう。
成功を手中にする直前で、イアンの死により活動休止を余儀なくされたジョイ・ディヴィジョン。残された、3人のメンバー、バーナード・サムナー(g&key)、ピーター・フック(b)、スティーヴン・モリス(dr)によって、新たに結成されたのがニュー・オーダーである。エレクトロニカ・ビートとバンド・サウンドの中庸を行く先鋭的でありながらもキャッチーで親しみやすい音楽性、ポップでメロディアスなヴォーカル・アレンジ、フックの効いたベース・ライン……をもってして、ジョイ・ディヴィジョンを大きく超えるワールドワイドな成功を収めたことは周知の通りだ。そんな彼らの4半世紀以上に及ぶ、歴史をコンパイルしたベスト・アルバムが本作。ジョイ・ディヴィジョン時代の楽曲にして、デビュー曲「セレモニー」、イアン・カーティスの衝撃的な死をテーマとしたあまりにも有名なキラーダンス・チューン「ブルー・マンデイ」、彼らのポップ性が花開いた名曲「ビザール・ラヴ・トライアングル」、2005年の大ヒット曲「クラフティー」……などなど、ニュー・オーダーの軌跡をギュット詰め込んだ2枚組。全33曲収録。最新リマスタリー音源。
U2など名だたるアーティストのフォトグラフ&PVを手がけているアントン・コービンの記念すべき初監督作品。イアンとも親交のあった彼が <音楽映画ではない映画>にこだわって作った本作は、青春期の若者の心の痛みを描いた一級のドラマとして各国で大絶賛、新人監督の登竜門であるカンヌ国際映画祭カメラドール/スペシャル・メンション賞をはじめ、海外映画祭でも数々の賞を受賞している。また、主人公イアンを演じるのは、新人のサム・ライリー。イライジャ・ウッド、キリアン・マーフィを抑えて抜擢されたサムは、恵まれた容姿と神々しい魅力でブレイク直前。そして、妻デボラを演じるのは、『ギター弾きの恋』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたサマンサ・モートン。愛人アニーク役は『ヒトラー~最期の12日間~』のアレクサンドラ・マリア・ララ。物語が進むにつれ、イアンの歌詞は悩める魂を切り取った言葉で紡がれ、観る者の心に切なく訴えかける。美しいモノクロームの一生忘れられない映像と若さゆえのはかなさを堪能できるはずだ。
『CONTROL』 オフィシャル・サイト