テネシー州メンフィスで1957年に設立されたスタックス・レコードが、めでたくアトランティックと契約を結んだのは1960年のことだ。アトランティックの重要なブレーンであるジェリー・ウェクスラーが「同地の黒人音楽局“WDIA”の番組で、カーラ(当時17歳だった!)&ルーファス・トーマスの「Cause I Love You」がヒットしている」という情報を聞きつけ、コンタクトしたのである。いかにも、黒人音楽の発展に並々ならぬ情熱を注いだウェクスラーらしい判断。
ちなみに「Cause I Love You」がひんぱんにかかっていたことには理由があって、つまりこの局でディスクジョッキーを担当していたのが、スタックスがサテライトと名乗っていた時代からの交流を持つルーファス・トーマスその人だったんですね。そこには“娘とのデュエットがうれしくってたまらない親父”みたいな構図が見えて微笑ましいんだけど、どうあれこれがきっかけでカーラ・トーマスのシングル「Ghee Whiz」が1961年に誕生したというわけ。そして情感豊かなこのバラードがR&Bチャート5位、ポップ・チャート10位の大ヒットになったことを契機に、アトランティックはスタックスと連携して多数の黒人アーティストを送り出していくことになったのだ。
さらにロイヤル・スペイズ(Royal Spades)名義で活動を続けてきた白人R&Bバンドのマーキーズが放った超ファンキーなインストゥルメンタル・ナンバー「Last Night」がR&Bチャート2位、ポップ・チャート3位の実績を打ち立てると、その立ち位置は不動のものに。なおマーキーズがその後、ピアニストのブッカー・T・ジョーンズと知り合ってブッカー・T&ザ・MGsとなり大活躍したことはいうまでもありませんよね。
そして同時期の1962年には、スタックス傘下にリズム&ブルース専門レーベルのヴォルト(Volt)が設立されるが、ここから誕生した最初のアーティストがオーティス・レディングである。圧倒的な声量と表現力を持つオーティスは瞬く間にリスナーを魅了し、1963年の「These Arms Of Mine」、「That’s What My Heart Needs」、「Pain In My Heart」を筆頭に、 「Mr.Pitiful」(1965) 「Try A Little Tenderness」(1966)、「Tramp」(1967)など数々の名曲を生み出していった。とりわけ「I’ve Been Loving You Too Long」、「Respect」、「Satisfaction」と大ヒットを連発した1965年のアルバム『Otis Blue』は、いまなお輝きを失わない歴史的名盤だ。
こうして以後もアトランティック傘下のスタックス/ヴォルト周辺からは 「Hold On I’m Comin’」(1966)、「Soul Man」(1967)などのヒットを放った“ダブル・ダイナマイト”、サム&デイヴ、1966年に「Knock On Wood」の大ヒットを飛ばしたエディ・フロイドなど数多くの逸材が登場して歴史に名を残したのだが、残念ながら1967年にはそんな同社にとっての節目が訪れる。アトランティックがワーナー・グループに買収され、スタックスとの配給契約の見直しが検討されたのだ。結果的にはこれが1976年の倒産に結びつくわけだけれど、同じ67年の暮れに看板アーティストだったオーティス・レディングが飛行機事故で他界したというのも、なんだか皮肉な話ではある。
しかし、そうはいってもスタックス/ヴォルトが残した功績はいまなお偉大だ。ためしに、昨年再発された9枚組ボックス『ザ・コンプリート・スタックス/ヴォルト・シングルズ1959-1968』を聴いてみよう。あの時代には名の知れたトップ・アーティストから無名のシンガーまでが一丸となって、ひとつのうねりを生み出していたことがわかるはずだから。
キング・オブ・ソウルこと、オーティス・レディング、3枚目のオリジナル・アルバムのスペシャル盤! レア音源満載の2枚組全40曲。
60年代ソウル・ミュージック界の至宝、オーティス・レディングの魅力がとことん詰まった一枚。オーティス聴かずして、ソウルを語ることなかれ!
スタックスが誇る名うてのキーボード奏者、ブッカーT・ジョーンズ率いるインスト・バンドのベスト。歴史的名曲「Green Onion」「Hip Hug-Her」等を収録。
ソウル界の至宝、サム&デイヴ。濃厚でパワフル! それでいてスウィートなパフォーマンスを堪能すべし!
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スタックスきっての個性派、エディー・フロイドの軌跡を振り返るにうってつけの一枚。 大名曲「Raise Your Hand」「Love Is A Doggone Good Thing」収録。
父ルーファス・トーマスの才能を受け継いだ、屈指のエンターテイナー、カーラ・トーマス。オーティス・レディングとの名デュエット・ソング「Tramp」収録の最強盤!
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