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VARIOUS
HOMMAGE A NESUHI - ATLANTIC JAZZ A 60TH ANNIVERSARY COLLECTION (RHINO HANDMADE)
オマージュ・ア・ネスヒ - アトランティック・ジャズ・ア・60TH・アニヴァーサリー・コレクション(ライノ・ホームメイド)
ジャズの師ネスヒ・アーティガンに捧げた、名プロデューサー、ジョエル・ドーンの遺作
1947年、アーメット・アーティガンとハーブ・エイブラムソンの2人が設立したアトランティックはリズム&ブルースとロックン・ロール中心の独立系レーベルとしてスタートし、その後アメリカを代表するメジャー・レーベルに発展していったが、それとは別に、ジャズの名門レーベルとしての側面も持っている。
そのアトランティック・ジャズの部門責任者となったのが、アーメットの実兄ネスヒ・アーティガン(1917~89)である。ネスヒは1955年から、チャールズ・ミンガスやジョン・コルトレーン、オーネット・コールマンらと契約し、50年代後半から60年代にかけて、モダン・ジャズの歴史的名盤を数多く世に送り出す。60年代に入り、ジャズ界を取り巻く状況が変わると、ネスヒをサポートする形で、プロデューサーとして活躍したのがジョエル・ドーン(1942~2007)であった。
ドーンはアトランティック60周年にふさわしいジャズの名演集を編纂することを、自ら最期の仕事として選んでいた。そして「ネスヒに捧げるオマージュ」という形で、このボックス・セットを作り上げるプロジェクトに取り組み、ほぼ完成までこぎつけた段階で2007年12月17日に、この世を去った。ジョエル・ドーンの遺志を継承し、最後に完成させたのは息子のデヴィッド・ドーンである。
ジョエル・ドーンにとってネスヒは、文字通りジャズの師である。2人の出会いは、ドーンが14歳の頃に始まる。フィラデルフィアでも屈指の音楽少年だったドーンは、アトランティックの熱烈なファンで、アトランティック社にファンレターを送っていた。やがてネスヒから返事をもらうようになり、2人の文通が始まる。その時の喜びは、音楽ファンなら想像に難くないだろう。本書の解説書の冒頭に、ゲイリー・バートンのセッションで撮影された3人の写真と、1958年10月10日付けでネスヒがドーンに宛てた感謝状が紹介されている。
■1枚ずつテーマ別に選曲、豪華解説書には愛情溢れる文章と貴重な写真が満載
5枚のCDには厳選されたジャズの名演が収められている。日本でいういわゆる名演を、ただ単純に時系列に並べるのではなく、1枚ごとにテーマを決めて選曲している点が見逃せない。たとえばディスク1(Some Atlantic Jazz)とディスク5(Some More Atlantic Jazz)には、文字通りアトランティック・ジャズのアーティストたちによるモダン・ジャズ名演集を。ディスク2(Shades of Blues)には、ブルース系のアーティストおよびジャズ系アーティストによるブルースを中心にセレクトしている。ディスク3(Live)は文字通りライブ音源からの名演、ディスク4(On the Edge)は当時話題を集めた革新的&最先端の演奏をセレクト、といった具合だ。
これらの名演を、詳細な英文解説と貴重な写真で補完するのが豪華な解説書(写真集)だ。解説はボブ・ポーターによる「アトランティック・ジャズの歴史」を筆頭に、スー・ミンガス(チャールズ・ミンガス未亡人)、ナット・ヘントフ、マイケル・カスクーナ、ドクター・ジョン、アイラ・ギトラー、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー、ミルヤナ・ルイス(ジョン・ルイス未亡人)、ガンサー・シュラー、デヴィッド・リッツ、ハル・ウィルナーなど、生前のネスヒを知る友人たちによるエッセイを収録。もちろんプロデューサー、ジョエル・ドーンの文章も読むことができる。アトランティック・ジャズを代表するアーティストたちのポートレイト(白黒&カラー)も多数見ることができる。
解説書とは別に、豪華厚紙に高品質で印刷された10インチ盤サイズのポートレイト群も非常にうれしい。アーティストは、ジョン・コルトレーン、ビッグ・ジョー・タナー、オーネット・コールマン&ドン・チェリー、デヴィッド・ニューマン、モーズ・アリソン、MJQ、キング・カーティス、ネスヒ・アーティガン、チャンピオン・ジャック・デュプリー、ユセフ・ラティーフ、レイ・チャールズ、ラサーン・ローランド・カーク、ハンク・クロフォード、エディ・ハリス、チャールズ・ミンガス。ネスヒ・アーティガンのポートレイトもある。これらは写真家リー・フリードランダーがジャケット用に撮影した別テイク・ショットといった感じで鑑賞することができる。
■パッケージとしての魅力がぎっしり詰まった、音楽のプロによるホンモノの仕事
この『Homage to Nesuhi』は、単なるアトランティック・ジャズの名演集5枚組ではない。通常の5枚組に比べると値段はかなり高いが、この内容と装丁を知ると、値段以上の価値があることがわかる。このボックスを手にすれば、ジョエル・ドーンがどれだけネスヒ・アーティガンを尊敬していたかがよくわかるのだ。パッケージとしての存在感とずっしりとした重量感。そして選びぬかれた写真、関係者たちの愛情溢れる文章。これぞプロの仕事、ホンモノの仕事であることを確信する。
このボックス・セットを最期の仕事に選んだジョエル・ドーンは、完成直前に永遠の旅に出た。しかし今は天国で、師匠のネスヒと再びジャズ談義に華を咲かせているに違いない。ありがとうネスヒ、ありがとうジョエル。
TEXT BY 後藤 誠
*右下の写真:父の遺作を手にするデヴィッド・ドーン。現在ライノ・レコードのイクゼクティヴで日本を含む海外地域のマーケティングを担当している。「このパッケージは損得を離れ、偉大なアトランティック・ジャズの創始者へのパッションから生まれたものだ」と誇らしげに語った。
収録内容
DISC 1
SOME ATLANTIC JAZZ
- David Newman & Ray Charles--Hard Times
- The Modern Jazz Quartet--Summertime
- Yusef Lateef--Stay With Me
- Eddie Harris--Listen Here
- Les McCann--With These Hands
- Ray Charles--Sweet Sixteen Bars
- Mose Allison--Your Mind Is On Vacation
- Shorty Rogers & His Giants--Martians Go Home
- Chris Connor--I Miss You So
- The Modern Jazz Quartet--The Golden Striker
- Oscar Brown, Jr.--A Ladiesman
- Herbie Mann--Memphis Underground
- Ray Charles--Come Rain Or Come Shine
DISC 2
SHADES OF BLUE
- Joe Turner--Cherry Red
- Ray Charles--Doodlin'
- Sonny Stitt--Deuces Wild
- Ray Charles--Am I Blue
- Yusef Lateef--In the Evening
- LaVern Baker--Empty Bed Blues
- Rahsaan Roland Kirk--The Entertainer
[Done in the Style of the Blues]
- Hank Crawford--What Will I Tell My Heart
- Mose Allison--Stop This World
- John Coltrane--Cousin Mary
- David Newman--I Wish You Love
- Charles Mingus--Oh Lord Don'tLet Them Drop That Atomic Bomb On Me
- Yusef Lateef--Like It Is
- Ray Bryant--Blues #3 - Willow Weep For Me
[Live at the Montreux Jazz Fest 23, 1972]
DISC 3
"LIVE"
- Ray Charles--Drown In My Own Tears
[Live at Herdon Stadium, Atlanta, GA, May 28, 1959]
- The Modern Jazz Quartet--Bluesology
[Live in Stockholm,Sweden, April 12, 1960]
- Ray Bryant--After Hours
[Live at the Montreux Jazz Festival,June 23, 1972]
- Herbie Mann--Comin' Home Baby
[Live at The Village Gate,NYC, November 17, 1961]
- Rahsaan Roland Kirk--If I Loved You
[Live at Keystone Korner, San Francisco, CA, June 9,1973]
- The Mitchell-Ruff Trio featuring Charlie Smith--The Catbird Seat
[Live at The Playback Club,New Haven, CT, July 21, 1961]
- Les McCann & Eddie Harris--Compared To What
[Live at Montreux Jazz Festival, June21 or 22, 1969]
- King Curtis with Jack Dupree--I'm Having Fun
[Live at Montreux Jazz Festival, June 17, 1971]
- Rahsaan Roland Kirk--One Ton
[Live at Newport Jazz Festival, July 7, 1968]
- Ray Charles--Drown In My Own Tears
[Live at Herdon Stadium, Atlanta, GA, May 28, 1959]
DISC 4
"ON THE EDGE"
- John Coltrane--Giant Steps
- Eddie Harris--Silver Cycles
- John Coltrane--My Favorite Things
- Ornette Coleman--Ramblin'
- Gary Burton--Vibrafinger
- Ornette Coleman--Una Muy Bonita
- Charles Mingus--Hog Calling Blues
- Rahsaan Roland Kirk--The Inflated Tear
- Charles Mingus--Passions Of A Man
- Jimmy Scott--Day By Day
- Yusef Lateef--In a Little SpanishTown
[T'was On a Night Like This]
DISC 5
"SOME MORE ATLANTIC JAZZ"
- Milt Jackson--The Spirit-Feel
- Eddie Harris--Love Theme From "The Sandpiper"
[The Shadow Of Your Smile]
- The Modern Jazz Quartet featuring Laurindo Almeida--One Note Samba
- John Coltrane--Naima
- Yusef Lateef--Nubian Lady
- Joe Zawinul--The Soul Of AVillage - Part II
- Rahsaan Roland Kirk--Ain't No Sunshine
- Hubert Laws--Let Her Go
- Charles Lloyd Quartet--Sombrero Sam
- Hank Crawford--The Story
- Phineas Newborn Jr.--Barbados
- Max Roach--Nommo
- John Coltrane--Equinox