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口笛太郎のFUSION万歳!
今回ご紹介する1枚 ハイラム・ブロック フロム・オール・サイズ

#006
ハイラム・ブロック
フロム・オール・サイズ


個人事ですが、僕はハイラム・ブロックが一番好きなのです。
なので長文お許し下さいませ。

サンボーンの「ストレイト・トゥ・ザ・ハート」で、「何だか荒っぽいギターを弾く人だなぁ」と思ったのが出会いでした。次に聴いたカーラ・ブレイの「SEXTET」では「繊細だけど大胆なギターを弾く人」となり、ソロ・アルバム「フロム・オール・サイズ」で完全にヤラれました。どれくらいヤラレたかというと、持ってる自分のストラトをやすりやら何やらで傷つけて満足するようになったほどです。

ハイラム・ブロック

その後は遡るように24丁目バンドや、チャカ・カーンギル・エヴァンス&マンデイ・ナイト・オーケストラ、テリ・リン・キャリントンのソロ・アルバムから安部恭弘のアルバムまで、とにかくハイラムが参加しているアルバムを片っ端から聴きました。スティングの「ナッシング・ライク・ザ・サン」はハイラム目当てで買いました。
初めて本人を見たのは、ライブ・アンダー・ザ・スカイでデイヴィッド・サンボーン・バンドとして来日した時で、青いスパッツを穿いて走りまくる姿にさらにヤラれました。どれくらいヤラれたかというと、大学のときに自分がライブ出るときはそれ以降、スパッツ穿いてたほどです(青ではなかったが)。

今考えても、なぜこんなにハイラムのことが好きになったのかさっぱりわかりません。
クセのあるカッティングと音色、独特のフレージング。上手いのか下手なのかわからないけど魅力的なボーカル。「なぜハイラムみたいに弾けないのか?」と真剣に悩み、とにかく真似したくて研究しましたが、やればやるほど手の届かないギタリストだとわかり、淋しい思いをしたものです(ハイラムに限ったことではないのですが・・・)。


やがて僕にチャンスがあって「世界で初めてのハイラムのベスト・アルバムを作る!」と企画し、雑誌「ADLIB」の松下編集長のサポートもあり、選曲もジャケットもタイトルも自分で考えた「Best Groove Selection」を発売したときは、嬉しさのあまり丸1日寝込みました。
で、ハイラム来日のときに楽屋に挨拶に行き初めて会って、ベスト盤を手渡したときに「内容もタイトルもいいね!いい仕事をした!」と誉めてもらったときは、嬉しさのあまり、もういつ死んでもいいと思って、その晩は泥酔しました。

ハイラムの魅力は、ステージでの派手なパフォーマンスや荒々しくエモーショナルなプレイもさることながら、実に繊細なタッチと歌心のあるギターを弾くのです。 彼の教則ビデオは見るからにラリってますが、カッコよすぎます。
他の人が弾くとメカニカルなフレーズでも、ハイラムの歌心を通って出てきたフレーズは実に人間くさいものになる。バークリーに行ってた友達は「ギター・ソロにおけるジョンスコ・アウトとハイラム・アウトは研究対象」と言ってましたが、考えてやってるのか本能のままにやってるのかがわからないのがスゴイ。「WAYCOOL」あたりにそういう曲は結構出てきます。死ぬほど研究したから、僕は良く知ってるつもりでした。


ハイラム・ブロック

そろそろ亡くなって1年。
天国ではもう少しヤセてカッコいい頃のハイラムになってるかな?とか。
手放してしまったあのストラトは取り戻したかい?とか。
向こうの世界でジャコとはもう会ったのか?とか。気になることばっかり。
天国でのことまで気になるなんて・・・生きてればいろんなニュースも入ってきたのに。

昨年突然ハイラムが死んだときは、喪に服して一晩ハイラムを聴いて、「From All Sides」のアナログ・ジャケを見ながら一人で飲み明かしました。
NYで行われた彼の葬儀では、献花の代わりにハイラムの遺族は自然を守る慈善事業団体(特に北極グマに対する)に寄付をお願いしてたそうです。
彼がそんなこと考えてたなんてね。
僕は大好きだったハイラムのことを、結局何も知らなかったのかなぁ、と。
家族でも友達でも仕事仲間でもないし、インタビューしたこともなければ、親しく話したこともない。
来日時に楽屋挨拶を2回ほどしただけの関係なので、当たり前っちゃ当たり前なのですけど。

どうしてこんな気持ちになるのでしょう?
本当にいつまで経っても、自分でもわからないのです。


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