
1990年、大阪ブルーノートのOPENの?(こけら)落とし公演が、確かジョージ・ベンソンでした。
その時の客層は、音楽好き4割、オシャレなSPOT好き3割、法人会員と思われるお金持ってそうなオトナ3割、という感じだったような。
客席の反応を見ても、優しい目をして「ん~~~♪」とスウィートな歌を歌うベンソンを、「ヒット曲を持つベテラン黒人R&Bシンガー」として見に来てる人も多いんだろうなぁ、と感じたものです。
「ヒット曲を持つベテラン黒人R&Bシンガー」・・・・それに間違いはないが・・・・終演後に「結構ギターとかも上手い人なんだね」とかとか言ってた人には、さすがに突っ込みたくなります。
「天才的に上手いジャズギタリストが、たまたま歌が上手いので歌ってるだけですわ!」と。
個人的な見解ですが、私は現在ジャズ・ギタリストとして活躍している人の中で、ジョージ・ベンソンが一番上手い、と信じております。人気No.1のパット・メセニーも凄いですが、それはむしろコンポーザーやプロデューサーとしての活躍も併さった評価であり、「ギターを弾く」ということだけをとってみれば、ジョージ・ベンソンが一番凄いのではないか?と。

チャーリー・クリスチャンから始まったジャズ・ギターを進化させ、ギターを立派なソロ楽器にしたウェス・モンゴメリー。このジャズ・ギタリスト史で一番偉大なお方の後継者は、ベンソンしかいない!と断言します。
なぜならウェスは、非常にPOPな感覚を持った人でした。その後に出た有名なギタリスト・・・例えばジム・ホールや(今は亡き)ジョー・パスって、どちらかと言うとジャズを突き詰めるタイプで、わかりやすいPOPな部分があまり無かったりします。なので、ベンソンのPOPな歌心に加え、正確かつ爆発的に凄いグルーヴ感とテクニックを駆使して繰り広げられるギターソロを聴くと、まさに彼こそがウェスの聖なる後継者であり、更なる発展系だと強く思うわけです。・・・だって、JAZZって本来はPOPな音楽なのだから!
彼は、マイルス・デイヴィスのエレクトリック路線の野心作『マイルス・イン・ザ・スカイ』に参加以降、徐々にフュージョン路線を歩むことになり、ワーナーに移籍直後、フュージョンの名盤『ブリージン』を発表し大ヒット。そのアルバムで歌声まで披露し、ギターだけでなく歌の上手さも半端じゃないことを世に知らしめ、その後はボーカル専念アルバムもリリースしPOPな方向に進み、さらに大ヒットに至ったのでした。
なので、ヒット曲しか知らないオネーサンたちが「ジョージ・ベンソンってギターも上手いのね」と言うのも仕方ないのですが、わかって欲しいのは、ベンソンのギター弾きは抜群で、どんな音楽をやってもジャジーで、ブルージーで、とびきりPOPだということです。4ビートも8ビートも16ビートも、バラードまでも、「ご機嫌」なのです。
だからジャズやフュージョンを難しい音楽と思ってる人には、まずはジョージ・ベンソンを進めることにしております。
「ご機嫌」な音楽が嫌いな人はいないわけですから。
でも、ここまですごいのに、ジャズに固執せず、流行り唄歌いにもなってしまう彼のスタンスって、どこから来るのでしょうか?まぁギター仙人になってくれ・・・とも言わないですが・・・。
彼のギタリストとしての凄さは、ワーナーからの作品よりCTIから出ている音源の方が堪能できますが、まぁまずはフュージョンの代表的名盤『ブリージン』を聴いてみましょう。「そんなもん何度も聴いてるわ!」という人も、是非リマスター盤で聴き直してくださいね。