
ジャズの歴史で一番有名なのはマイルス・デイヴィス。
ジャズを演奏するのがマイルスなのか?マイルスの演奏することがジャズなのか?
さんざん語リ尽くされ、でもまだ語り尽くせない人。私ごときがここで語るには偉大すぎるほどのアーティストです。
しかし、フュージョン好きがマイルスをどう見てたか?という話もあっていいのか?と思っております。

フュージョンと言うジャンル付けの言葉は、そういう音楽ができた後に作られたもの。
ジャズにロックやファンクなどを融合(FUSION)した音楽をそう言い出したと思うのですが、たぶんそういうことを最初にやり出した・・・もしくは一番最初に商業的に成功させたのは、マイルスなのでしょう。
マイルスはもともとお金持ちで、生活のために音楽やったこととかなさそうだし、ひたすら自分はカッコいい存在でいたい!ということでジャズをやり始めたのではないか?と。
車はフェラーリ。ブランドものの服を着て、ボクシングまでやろうとする・・・そんな彼にとって当時一番クールだったのがジャズ。でも彼の軸は「カッコいいこと」なので、ど真ん中のジャズに拘らず、どんどんいろんな「カッコいい」と思われる音楽を取り込んでいったのでしょう。
例えば、ロックがカッコよくなり始めたことに反応。ジミ・ヘンドリクスとアルバムを作るプランもあったそうですが、ジャズではマイナーな楽器であったギターを積極的に取り入れ始めました。
リズム・セクションも、若くして革新的なリズムを刻むトニー・ウィリアムスをフィーチャー。世の中の動きにブレることなく、時代によってファンク・R&Bの要素を求めマーカス・ミラーをプロデューサーに立てたり、HIP HOPのイージー・モー・ビーとコラボしたり・・・・。復帰以降はPOPSの曲を取り上げたり、プリンスのことを「若き天才」と絶賛したのも有名な話。
1966年生まれの自分が最初にマイルスを知ったのは中学生のときでした。
グラビア見たさで買った当時の週刊プレイボーイに「帝王マイルスの復帰がどうのこうの・・」という記事を読んだのを覚えております。恐らく『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』の頃だったと思いますが、記事を読んで「偉そうなオッサンやなぁ・・・どんだけスゴイ人なのか?」と思ったけど、何だか怖そうで自分の聴ける音楽じゃないかも?という気がして、聴くことはなかったのです。ヘタレですんません。
時を経て1986年ワーナーに移籍。第1弾として『TUTU』をリリース。マーカス・ミラーのプロデュースなので、やっと「自分でも聴いていい音楽かも?」と思い、聴きました。初めてリアルタイムで聴いたマイルスです。
以降、遡るようにマイルスを聴きまくりました。多種多様に変化するマイルスのアルバムは基本的に全部すごいのですが、だいたい同じスタンスで作られているように思うのです。
~バックの演奏はカッコよければカッコいいほど良い。
~少しの違いの積み重ねで、どんどん音楽の表情が変化していく。
~音が鳴っていてもいなくても真ん中にマイルスがいて、演奏中の空気をコントロールしてる。
~みんな上手い(当たり前)。みんなさらに上手くなってる。みんな空気読んでる。
いろんな音楽が融合していくものをフュージョンというなら、マイルスの音楽は最高のフュージョン。
でも、耳なじみのいいメロディがあって、アドリブがあって、アンサンブルのキメがあって・・・というのが、フュージョン・ファンの求めることだとしたら、マイルスはやっぱりフュージョン・ファンの求めるものじゃないのかもしれません。
それよりも、フリージャム系の音楽に近いのかも(・・・ていうかフリージャム系の根本がマイルスなのか・・・?)
とにかく最高にクールなトラック・・・というキャンパスの上に、自由にアドリブで絵を描く・・・僕たちはひたすらマイルスはじめメンバーのソロを耳をほじくって聴くだけです。
「その場で努力したり頑張るな。」「考えるな。感じろ。」「ただ、やれ。(Just Do)」
そうやってジャズじゃないことを次々とやってジャズにしていったマイルス。
やっぱり、マイルスはジャズを演奏していたのではなく、マイルスの演奏することがジャズなのですね。
フュージョン・ファンでマイルスを聴いてない人は、とりあえず『TUTU』から。
マイルスからの伝言です。
「考えるな。感じろ。」「ただ、聴け。(Just Listen)」