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スウェーデン・ジャズの真髄が詰まった夢のBOX SET 『Jazz in Sweden』リリース記念 スペシャル・インタビュー[後編]
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1940年代後半~60年代前半にかけて隆盛を誇った、スウェーデンの名門ジャズ・レーベル<メトロノーム>の軌跡を収めた、伝説の9枚組ボックス・セット『Jazz in Sweden』。1993年の初回盤リリースから16年の時を経て、大幅にヴァージョン・アップが施されたスペシャル仕様のボックスが発売決定! ワーナーミュージック・ライフでは、今回の再発を記念して、ジャズ・ファン垂涎ものの同ボックス・セットの魅力に迫るべく、スペシャル・インタビューを敢行! ご登場いただいたのは、初回盤の企画、ブックレットの編集・執筆はもちろん、今回のスペシャル・エディションにおいてもリライトを手掛けられた、ジャズ評論家の後藤誠氏。同ボックス・セットへのこだわり、思い入れ、誕生秘話からスウェーデン・ジャズの素晴らしさに至るまで、とことん語り尽くしてもらいました。

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インタビュアー:ワーナーミュージック・ジャパン 宮治淳一

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パッケージへの愛情やこだわりが詰まった、復刻版『Jazz In Sweden』

宮治:僕が初回版のブックレットを見て、まず驚いたのは、入手困難なオリジナルEPのジャケットがふんだんに掲載されていたことなんです。<メトロノーム>が、ものすごく気合いを入れてジャケットを作っている感じがヒシヒシと伝わってきました。なので、『Jazz In Sweden』はトータル・パッケージとして、非常によくできているものだなと思ったわけですよ。ただ、これを初回仕様のまま出したくなかったんですね。2009年仕様にヴァージョン・アップしようと。で、今回、EP文化にこだわって、ボックス自体をEPのサイズにしてみました。それぞれのジャケットもEPの質感を活かした作りになってるんですよ。

後藤:この質感は印刷技術で出してしているのですね。本当に紙がデコボコしているのかと思った(笑)。

宮治:若い俳優が、シミをつけたり、皺を描いたりして、おじいさんのメイクをしているのと一緒。そういう意味ではフェイクですけど、アナログEP文化特有の雰囲気や気分は味わってもらえるかなと。パッケージ離れが叫ばれている昨今、やはりモノを持つ楽しさっていうのは、絶対あると思うんですよ。確かに、音楽は聴けりゃいいっていう価値観もありますが、どういうシチュエーションで聴くかって大切ですよね。パッケージを愛でながら聴くのと、MP3で聴くのとは、同じではないだろうなって思います。それで、今回はパッケージそのものの魅力を最大限に出していけたらと考えまして、このような形で出すことになったんです。聴いていいのはもちろん、見ても楽しいという。少しはその成果は出ていますでしょうか?

後藤:いやもう、十分すぎるほど出ていると思います。展覧会の図録に匹敵しますよ。50年代のLPとかEPのジャケットは、ひとつのアートとして完成されていると思います。

宮治:今回の復刻版『Jazz In Sweden』は、RHINOJAPANの新企画「RHINOプレミアム・シリーズ」の第一弾なんです。単なるリイシュー作品としてリリースするのではなく、音自体はもちろん、パッケージ、アートワーク、解説に至るまで、丹精込めてこだわりぬいて作り上げるというシリーズです。RHINO JAPANから世界中の音楽マニアに訴えかけていきたいですね。


より精度が高まった新ブックレット制作秘話

後藤:今回の復刻版のお話、宮治さんから言われた時は、正直びっくりしました。まさか僕も93年当時、16年後にこういうものが復刻されるなんて夢にも思わなかったです。93年といえばパソコンはパソコン通信の時代、インターネットや電子メールが爆発的に普及する前です。当初は、改訂版だから、ブックレットの文字まわりはこのままで行きましょう、という流れでしたよね。

宮治:すごい量なので、社内で、誰かにテキストデータ打たせようかなって思っていたら、後藤さんが文字おこしを始めたとのことで。

後藤:年末年始の休みにせっせと打っていたんです。読み返してみたら、アレレって感じの箇所も少なくなく、どうしてもよりよいものにしたい、と思ってと、直したくなっちゃう。これを書いた当時は、スケジュールもタイトで、紙の資料と実際の音を吟味する時間も十分なかったから、ほとんど突貫工事でした(笑)。今回は、年末年始の休みを活用し、1枚1枚改めて音を聴き直しながら、メモを取ったり、さまざまな文献を調べて、ひとつひとつ修正しました。で、書き直していくうちに、オリジナルの曲目や作曲者クレジットの誤りに気づいたものもあるので、それは直しました。あと、名前のカタカナ表記も今回、より発音に近いものに変えました。スウェーデン在住のジャズ・ベーシストで、私の友人でもある森泰人さん(http://www.morimusic.jp/)という方からいろいろ協力頂きまして、より精度の高い内容になっていると思います。

宮治:当初は、パッケージとCDそのものを変えればいいやと思っていたものの、解説、表記を含めて、確証を得られた情報をもとに書き直して頂いたということが、今回の改訂版の重要なポイントですね。

後藤: そうです。せっかくのチャンスなので、その期待に応えないといけないと思いました。93年にやった時にも、オーナーのボルイ・エクベリとファックスでやり取りしたんです。今年80歳なんですが、彼の友人でもあるサックス奏者のジェームス・ムーディに「すいません、ムーディさん、ボルイ・エクベリさんに連絡を取りたいんですが…」ってメールを打ったんですよ、ダメもとで。そうしたらすぐ「じゃあ、そのメールを転送しておくから」って返事が来たんです。本当にびっくりしました。実は、初回のボックスセットに添付されていたブックレットがスウェーデンにもいくつか渡っていて、ボルイさんもちゃんと憶えて下さっていたんです。
 そういう経緯で、2009年に入ってから、ボルイさんとまたメールのやり取りが始まりました。昔はファックスでしたけど。60年前にレーベルを設立したメトロノームのオーナーと直接、メールを使って質疑応答できる時代が来るとは、その感動はとても言葉にできません。
 とにかく彼は、昔のことを昨日のことのように非常によく覚えている方でした。高校を出た後に、ジャズの本場ニューヨークにどうしても行きたいがために、豪華客船の客室添乗員になったエピソードとか、非常に興味深かったです。そんな、彼とのメールのやりとりで得た貴重な情報が、今回ふんだんに盛り込まれています。ひとりのジャズ・ファンが同じ世代のミュージシャンと知り合い、レーベルを立ち上げた。レコード会社って当時のベンチャー・ビジネスですよ。60年前の話ですが、彼らのやりとりを想像するだけで、計り知れないロマンを私は感じますね。

宮治:それと音についても触れておきますと、93年のヴァージョンは中身のCD自体は輸入盤だったんですけど、今回は国内盤になっています。16年前と比較すると、マスタリングの技術が格段に進化しているんで、素晴らしくふくよかな音になっていますね。2009年の音楽ファンの耳を持ってしても、鑑賞に堪えるものになっているはずだという自負はありますね。パッケージ、音、ブックレット、すべてが自信作です。


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