
アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイ、オーティス・レディング、ロバータ・フラック…といったソウル・レジェンドたちの名盤をナイス・プライスで提供する「Forever YOUNG ATLANTIC SOULシリーズ」のリリースを記念して、ソウル・スペシャル対談をお届け! 「ブラックミュージックこの1枚」の著者であり、業界きってのソウル・ファンとして知られるライター/コピーライターの印南敦史氏と、東京都調布にある名ソウル・バー「フェイム・ギャング」のソムリエ、中山豊氏に登場いただき、ソウルの魅力、面白さ、とっておきの楽しみ方…など、とことん語りつくしてもらいました。
印南敦史 : 「Fame Gang」での定番曲っていうと、どんなものがありますか?
中山豊 : ダニー・ハサウェイの『ライヴ』は、ものすごいヘヴィー・ローテーションです。ほぼ毎日かけてますね。
印南 : ソウルといえば、やっぱりダニー・ハサウェイははずせませんよね」。『ライヴ』に限らずどのアルバムにもいえますけど、ソウルのいい部分が全部はいってるから。
中山 : でも僕は『ライヴ』に関しては、かけるとき勝手に曲を飛ばしちゃうんですよ。「愛のゆくえ」から「リトル・ゲットー・ボーイ」に行って、その後に「きみの友だち」へっていう感じで。たまに、2曲目の「ゲットー」もかけるんですけど。
印南 : 独自のルールがあるわけですね(笑)。そういえば『ライヴ』は、数年前に未発表音源を加えた『ソングス・フォー・ユー・LIVE!』も出ましたよね。あれについては、個人的に思うところがあるんです。聴けなかった曲が聴けるようになったのはうれしいんだけど、でも最終的にはやっぱりオリジナルのフォーマットがいいっていう。
中山 : 本音を言っていいですか? 僕もあのアルバムは、“正規のライヴ盤がよかった”ってことが証明されただけだと思ってるんです。もちろん興味はあるんだけど、真剣に聴くと『ああ、やっぱり正規盤がいいなあ』って思っちゃうんですよ。
印南 : まったく同感です。選曲とか、ちょっと物足りないくらいのボリューム感とか、オリジナル・フォーマットの方が完成されてるんですよね。アレサ・フランクリンの『アレサ・ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト』もそう。
中山 : アレサについては未発表音源をまとめた『レア&アンリリースド・レコーディングス』はかなりいいって思ったんですけども、それでもやっぱり正規盤にはかなわない。正規盤は、プロデューサーの意向をもとにあの時代に作られたっていうところに意義があるから。
印南 : ですよね、オリジナルのフォーマットは構成の時点で完成されてるから。オーティス・レディングの『オーティス・ブルー』も少し前にコレクターズ・エディションが出ましたけど、僕は今回『フォーエバー・ヤング』で出たオリジナル・フォーマットの方が共感できるんだよなあ。アレサは『貴方だけを愛して』に3 曲、『レディ・ソウル』に4曲とそれぞれボーナス・トラックがはいってますけど、それはシングル・ヴァージョンとステレオ・ヴァージョンだからね。でもまったく違うアウトテイクが7曲も8曲も入ってるっていうのは…。
中山 : そういうものはマニア向けですよね。
印南 : それはそれでアリだと思うんだけど、“初めて聴くのに最適”っていうところに「フォーエバー・ヤング」の価値があると思うんですよ。マニアックなものばっかりになっちゃうと、ビギナーの人には入りづらくなっちゃいますしね。
印南 : ところで中山さんがソウルにハマッたのって、なにがきっかけだったんですか?
中山 : 小学生のころで、兄貴の影響ですね。僕は1960年生まれなんですけど、だから僕にとってのソウルって不良の音楽だったんですよ。
印南 : あー、それ重要!
中山 : 僕の生まれ育ったところは調布でもすごく治安の悪い地域だったんで、悪い人が多かったんです。で、ソウルはそういう人が聴く音楽っていう感じだったんですよ。たとえばジャクソン5で大半の人が思い出すのは、「アイ・ウォント・ユー・バック」とか「ABC」みたいな大ヒット曲じゃないですか。でも、僕にとっていちばん印象深い曲は「Lookin' Through the Windows」なんです。あれって、不良が聴いてた音楽なんですよ。いまでも店に上の世代の人がたまに来るんですけど、やっぱりそういう人たちは “「Lookin' Through the Windows」をかけてよ”っていうんですよね。あとフォー・トップスといえば「I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch)」とか「It's the Same Old Song」が一般的ですけど、不良にとっては「Reach Out (I'll Be There)」なんです。
印南 : うんうん、そうですよね。いわゆるソウル・マニアと、現場で聴いてた人たちの感覚は違いますからね。
中山 : だから僕がソウルにのめり込んだころって、フィラデルフィア・ソウルをよしとするソウル・ファンは許されなかったんですよ。

印南 : フィラデルフィア・ソウルは、ポップス的に流行ってましたからね。でも僕はもう少し下の世代だから、小学校高学年のころにフィラデルフィアを入り口にしたんです。だから、スリー・ディグリーズとスタイリスティックスにすごくハマりました。
中山 : 僕の場合はそういう事情があったから、“ちょっと遅れてきたフィラデルフィア・ファン”なんです。コアなソウル・ファンからすると、当時流行ってたスリー・ディグリーズなんかポップスっぽいじゃないですか。だから敬遠されたんでしょうね。ちゃんと聴くといいんだけど。
印南 : その点、中山さんは好きなポイントがぶれてないですね。
中山 : そうみたいで、よくいわれますすね。自分ではあんまり意識してないんですけど。
印南 : 印象的なのはエボニーズ(ややマイナーなフィラデルフィア・ソウル・グループ)の話ですよ。大好きすぎて、中古盤を買い集めては“いいから”って人にあげてるっていう話。
中山 : つまり僕は、ポップでわかりやすい曲が好きなんですよ。だからドナ・サマーもラヴ・アンリミテッドも好きだし。逆に、複雑なコード進行を多用した90年代以降のソウルはちょっとね。
印南 : それも同感できるな。本来、ソウルってわかりやすいものですもんね。
中山 : そうですよ、黒人の歌謡ショーですから。
印南 : そうそう、黒人の流行歌。
中山 : 流行歌ですよ。もともと歌謡曲が好きだったんで、その延長ですよね。
印南 : そうなると、必然的にスウィート・ソウルにつながりますよね。ワーナーでいえば、 「I’ll Be Around」のころのスピナーズなんかも含まれると思うんだけど。あと、やっぱりスタイリスティックスの功績は大きいなあ。
中山 : 実際、スタイリスティックスはすごくリクエストがありますよ。
印南 : あと、ちょっとマニアックかもしれないけどブルー・マジックとかね。スタイリスティックスにしてもブルー・マジックにしても、ポップだけどちゃんとソウルじゃないですか。でも、ポップでわかりやすいていう。それに、究極的にはよければいいわけだから。逆にね、曲のよさを評価するんじゃなくて、レアだというだけで7インチのトレードをしているようなノリが僕はだめなんですよ。
中山 : うちではそういうマニアの人が来たときのために、飛び道具的なレアな7インチ音源も用意してますけどね(笑)。個人的にはポップなものの方が好きなんだけど。
印南 : その音源の話ですけど、「フェイム・ギャング」には中山さんが自分の好みで選んだCDが用意してあるんですよね。
中山 : そうなんです。もちろん一曲ずつかけられればそれが理想なんですけど、レコードをかけてるだけじゃ仕事にならないじゃないですか。だからといってアルバムをかけっ放しにしたくもないし、それで自分の好みを反映したCDをいっぱいつくってあるんですよ。
印南 : それも、しっかり“中山色”。
中山 : いろんな系統のCDがあるんですけど、どれをかけても“マスターの好みだね”ってお客さんにいわれるんですよ。
印南 : わかるな(笑)。そういえば「フェイム・ギャング」っていつ開店したんでしたっけ?

中山 : 1994年ですね。
印南 : 僕がこの店に引かれた理由って、一般的なソウル・バーみたいにコテコテした感じがないからなんですよね。料理はイタリアンだし、中山さんはソムリエでもあるからワインがおいしいし。こういうタイプのソウル・バーってあんまりないと思うんですけど、どうしてこういうスタイルにしたんですか?
中山 : それは単純な理由で、調布だからですよ。都心とは違うから、なにかアイデアを加えなきゃっていうところで。
印南 : 結果的にはそれが成功したわけですね。コアな感じがないから、普通の女の子でも来られるし。(店内を見わたして)実際いまも、いるのは女の子の方が多いですよね。
中山 : さっきもいったとおり僕自身もマニアックなスタンスは嫌で、ポピュラリティのあるものが好きですから。だからマニアックな店にしたくないっていうのはありました。

印南 : ソウル・バーっていうと大きな音っていうイメージがありますけど、音量も控えめですしね。
中山 : ボリュームは基本的に落とし目ですけど、上げた方がいいときもありますし、あくまで雰囲気重視ですね。
印南 : コテコテな感じよりは、適切なボリュームでかかってる方がいいですからね。
中山 : 飲みながら会話するのが楽しいわけで。それに、あんまり堅苦しくしたくないんですよ。だから深夜になると、お客さんのニーズによってはロックもかけますよ。レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、リトル・フィート、バッド・カンパニーとか。70年代前半までぐらいで、ヴァン・ヘイレンまでは行かないですけどね。
印南 : さすがにヴァン・ヘイレンっぽくはないですよね(笑)。
Foods & Bar 「フェイム・ギャング」
〒182-0026 東京都調布市小島町1-36-1 内田ビル5F
TEL : 0424-81-8999
MAIL : soul@famegang.com
URL : http://www.famegang.com/
★フェイム・ギャング イベント情報★
Pops&Rock Bar「Tears Drop」
TEL:044-223-1978
JR川崎駅から徒歩6分/京急川崎駅から徒歩7分
営業時間18:30~25:00
日・祝・祭日、お休みです。
http://www.tearsdrop.net/
■ ソウル・ファン向け
1. 「Just My Imagination」 / The Temptations
2. 「That’s The Way Of The World」 / Earth,Wind & Fire
3. 「The Day I Found Myself」 / Honey Cone
4. 「I Believe」 / The Ebonys
5. 「So In Love」 / Curtis Mayfield
6. 「Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do) / Aretha Franklin
7. 「I Pray She’ll Never Go Away」 / The Dramatica
8. 「Lookin’ Up」 / Dayton
9. 「Feel Like Makin’ Love」 / Roerta Flack
10. 「Clean Up Woman」 / Bettyu Wright
11. 「Am I The Same Girl」 / Barbara Acklin
12. 「Just The Two Of Us」 / Grover Washington Jr
13. 「After The Love Is Gone」 / Earth,Wind & Fire
14. 「Nightshift」 / The Commodres
15. 「Secret Lovers」 / Atlantic Starr
16. 「Memories」 / The Temptations
17. 「Be Alright」 / Zapp
■ ビギナー向け
1. 「You Don’t Have To Be Star (To Be In My Show) 」/ Mccoo Marilyn
2. 「Rock Your Baby」 / George McCrae
3. 「Rock The Boat」 / The Hues Corporation
4. 「My Girl」 / The Temptations
5. 「Stop! In The Name Of Love」 / Diana Ross & The Supremes
6. 「I Can’t Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch)」 / The Four Tops
7. 「Get Ready」 / The Temptations
8. 「Reach Out I’ll Be There」 / The Four Tops
9. 「I Want You Back」 / The Jackson Five
10. 「I’ll Be There」 / The Jackson Five
11. 「Lookin’ Through The Windows」 / The Jackson Five
12. 「Ben」 / Michael Jackson
13. 「Midnight Train To Georgia」 / Gladys Knight & The Pips
14. 「I’ve Got To Use My Imagination」 / Gladys Knight & The Pips
15. 「The Hustle」 / Van McCoy
16. 「I’m Gonna Make You Love Me」 / Diana Ross & The Supremes
17. 「You Make Me Feel Brand New」 / The Stylistics
18. 「You Are Everything」 / The Stylistics
19. 「When Will I See You Again」 / The Three Degrees
20. 「A Whiter Shade Of Pale」 / Procol Harum
21. 「Misty Blue」 / Dorothy Moore
22. 「Reunited」 / Peaches&Herb
■ スウィート女性ヴォーカル・リスト
1. 「Say You Love Me」 / Patti Austin
2. 「You Bring Me Joy」 / Anita Baker
3. 「Caught Up In The Rapture」 / Anita Baker
4. 「Simple Things」 / Minnie Riperton
5. 「Lovin’ You」 / Minnie Riperton
6. 「Baby, I Need Your Love」 / Angela Bofill
7. 「Loving You Was Like A Party」 / Marlena Shaw
8. 「Let’s Stay Together」 / Margie Joseph
9. 「Music」 / Carmen McRae
10. 「Feel Like Makin’ Love」 / Marlena Shaw
11. 「He Loves You」 / Seawind
12. 「Greatest Love Of All」 / Whitney Houston
13. 「Get Here」 / Oleta Adams
14. 「Has It Come To This」 / Amy Keys
15. 「Mystery」 / Anita Baker
16. 「Saving All My Love For You」 / Whitney Houston
17. 「Look At Me, Look At You (We’re Flying)」 / Marlena Shaw
18. 「Miracle」 / Whitney Houston
<10月の落語会>
日時:10月18日(土) 17:00~
出演:三遊亭好二郎 改め 兼好
※この秋真打ちに昇進。
真打ち披露ということで、12日の「笑点」に出演します。
木戸銭:落語のみ、2200円
演終了後食事飲み放題付き、6000円
※演目は当日発表となります。
<ピアノ弾き語りライブ>
日時:11月3日祝日
演奏:林仁美さん
※アメリカでプロの演奏活動をしていた方です。
ジャンルは、スタンダード、ジャズ、ポップス。
料金:ライブチャージ 1500円、ワンドリンク+ワンフード付き。
19時くらいから、3ステージほどを予定
(1ステージ20~30分、最終ステージ 22:30~予定)