
今の世の中、17,000円といえば大金です。
で、17,000円で何が買えるか?を調べると、例えば品川にある「カップルでアロマ・マッサージ110分・セレクト・ドリンク付」であったり、GAPのカジュアル・ジャケットだったり、ヤフオクでは「ルイ・ヴィトン エピ 2つ折 長札入れ 極美品」だったり、SONYの「VAIO VGN-FS50B」ジャンク品であったりするわけです。
もしくはエリック・クラプトン/ジェフ・ベックのジョイント・コンサートのチケット代。
恐らく「チケ代が高いから・・・」と行くのを敬遠した人も少なからずいたと思います。
が、お金の価値観は人それぞれとはいえ、2月21日と22日にさいたまスーパーアリーナに行った人は、恐らく世の中で一番幸せな17,000円の使い道をした!と胸を張って言えるものでした。
いや、お金の話にしてはいけない!2人の神を前にバチが当たる!
私のようなものが、クラプトンとベックを語るなどおこがましいのですが、クラプトンがヤードバーズから抜けた後に入ったのが1歳上のベックで、その後に2人の歩んだそれぞれの道がそのままロック・ギターの歴史となったことは周知のストーリー。その同じところから出発し、今となっては異なったスタイルでそれぞれ「神」と言われる2人を一度に、しかも一緒に見られると言うことで、ドキドキしながら行って参りました。
スペースの関係で、セットリストに基づいた詳細のレポートじゃなく、総論的な話になってしまい申し訳ありませんが、とにかく21日の模様を。
最初にアリーナに入ると目に入ったものは、ステージの両横の大きなモニタ・スクリーン。ギタリストの手元を中心に演奏の様子をずっと写してくれる!という大サービス付き。これはありがたかったです。(結果的にステージよりもスクリーンばかり見ていました・・・)
The Pump
You Never Know
Cause We’ve Ended As Lovers
Stratus
Angel
Let Boots
Pork Pie/Brush
Jeff & Tal Solo
Blue Wind
A Day In The Life
Peter Gunn
1部のジェフ・ベックのショーは、4人のアスリートによるストイックなバンド。ジェフ・ベックを見るのは久しぶりでしたが、この人は明らかに今尚進化し続けている!と痛感しました。ヴィニー・カリウタの超絶ドラミングはもちろんのこと、弱冠22歳の超キュートな女性ベーシスト、タル・ウェルケンフェルドの見事なプレイに釘付けに!オヤジ世代としては、何だか軽音楽部に可愛くてメチャメチャ上手い後輩が入部してきたときの上級生の気分を思い出し、甘酸っぱい気分になりました(こんな上手い子が入部することなかったけど・・・涙)。ベックはそれはニコやかに彼女の超絶プレイを見守り、煽り、絡む・・・。6度も結婚している男が40歳ほど年下のタル嬢によって非常に生き生きとギターを鳴らしている・・・・と言うと興味本位過ぎる見方ですが、このバンドでは力任せな感じが全くせず、自然体で攻撃的なフレーズがどんどん出てくる・・・まさにそんな感じでした。
ピックを使わない独特のスタイルに加え、チョーキング・アーミングの他、ブリッジを揺らせて音程を震わせたり、ライトハンドを多用する多様な表現方法で、神の頭の中に描く音楽をどんどんギターで実現させていく模様は圧巻。
ロックやフュージョンを通り、エレクトロニカやテクノまで通過したベックにとっては結局、ギターの後ろで鳴っている音楽のスタイルというのは自分のギターを弾くための手段の一つでしかないのかも知れません。しかしこのメンバーは明らかに彼のギターに刺激を与えプレイを引き出しております。単独公演に行かなかったことをつくづく後悔した45分間でした。
30分ほどのセット・チェンジ休憩ではトイレが大混雑!オヤジ世代はトイレが近く、排尿のきれが悪く時間がかかるのか?トイレの待ち列の進み具合が遅いぞ・・・。ブザーの音であわてて席に戻る。
Driftin
Layla
Motherless Child
Running On Faith
Tell The Truth
Queen Of Spade
Before You Accuse Me
Cocaine
Crossroads
で、2部のエリック・クラプトンが登場。
最初はアンプラグド・セットによるパフォーマンス。アコギの弾き語りで「盗めるところは盗もう!」と見ていましたが、逆に明日からアコギ弾くの止めようか、と思ってしまいました(涙)。
その後、ライトブルーのストラトキャスターに持ち替えてからは、積極的に攻めて弾くクラプトン。
思えば人間クサい神様です。
出会いと別れを繰り返す劇的な生き様もさることながら、ここまで熟成を重ねた今でも、共演者でプレイがかなり違う!前回のツアーのデレク・トラックスのプレイに引っ張られるがごとく、非常にエキサイトして弾きまくっていた姿に比べれば、今回の単独コンサートも悪くはない・・・という感じだったのですが、この日のクラプトンは、ステージにベックの超人的なプレイの余韻を感じたのか、単独公演以上に気合いの入ったプレイを披露していたような気がします。
また、バンドで目を引いたのは、ドイル・ブラムホールⅡのかなりいいギター・プレイと、ドラムのエイブラアム・ラボリエルJr.のグルーヴィーなリズム。若手ご両人は、それぞれ父親が有名なミュージシャンという2世で、日本の政治家と違いアメリカのミュージシャンの2世は凄いぞ!と思い知らされたのでした。
10分ほどのセット・チェンジ後は、クラプトンのバンドにベックが入る・・・というスタイルになります。ロックを背負ってきた2人の間には、もしかすると過去にいいことも悪いこともあったのかもしれませんが、こんな形で競演するのは世界初!実にニコニコしながら仲良さそうに出てきて、世紀のジョイントが始まりました。
You Need Love
Listen Here -- Compared To What
Here But I’m Gone
Outside Woman
Brown Bird
Wee Wee Baby
Want To Take You Higher
3コードのブルースからは、もうそんなに新しいことは出てこない、なんて思っていた私の愚かさを微塵に砕けさせるようなベックの異次元ブルース・ギター!そしてその後は、「アイツに対抗するのは、ド真ん中のブルースしかない!」との決意の表れのような、ギミック無しにハードに弾くクラプトン。何よりも演奏が終わった後に交わすお互いを称えるような笑顔が、歴史の証人として立ち会った僕たちにとっては嬉しいものでした。たぶん僕たちが待っていたのはこういう全てのことなのだと。こうして夢のような時間はあっという間に過ぎたのでした。
ネットの書き込みなどを見ると、このジョイント・コンサートを「2人の対決」よろしく、どっちが凄かったか?を語る人も結構いらっしゃいますが、僕はそれはちょっと違うと思います。
ジェフ・ベックは、ストラトキャスターの・・・いや、エレキ・ギターの可能性を追求する「求道者」として、前人未到の旅をしている人。片やエリック・クラプトンは「ブルース」を背負い、前人の偉大なる足跡を辿る巡礼の旅をしている人。そこにあるのはレベルの差などではなく、旅の目的地の違いなのです。
そしてそんな2人が、旅の途中で出会ったのがこの日だったのだと。さらに二人が出会った歴史的な交差点(CROSSROAD)に、僕たちも居合わせることができたのです!
こんな素敵なことって人生にそう何度もないと思うのです。
で、今回の公演で学んだこと。
カワイイ子がバンドに入ると・・・その子が上手いとなると尚更・・・演奏する方も見てるほうも気合が入る!クラプトンの次のツアーのベースがタル嬢だったりすると最高です。で、今度はジェフ・ベックと女の子を取り合いして名曲が生まれたり・・・・って「歴史は繰り返す」とはいえ、それは考えすぎですけどね・・・。
それから見たいアーティストのライブは高くても行ったほうがいいです。
行かないで後悔するよりずっと幸せで、行かなかった人を後悔させるのも幸せなのです!
Live Report:
口笛太郎
★DATE:2009 2/21 sat. - 2/22 sun.
★SHOW TIME:5:00p.m.
★MEMBER (エリック・クラプトン):
Doyle Bramhall II - Guitar, Vocals ドイル・ブラムホールII
Chris Stainton - Keyboards クリス・ステイントン
Willie Weeks - Bass ウィリー・ウィークス
Abe Laboriel Jr. - Drums エイブ・ラボリエルJr
Michelle John - Backing Vocals ミッシェル・ジョン
Sharon White - Backing Vocals シャロン・ホワイ
★MEMBER (ジェフ・ベック):
Vinnie Colaiuta - Drums ヴィニー・カリウタ
Tal Wilkenfeld - Bass タル・ウェルケンフェルド
David Sancious - Keyboard デヴィッド・サンシャス


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エリック・クラプトンが、2007年7月にシカゴで行われた「クロスロード・ギター・フェスティヴァル」に出演した時の模様を収録。クラプトンとBBキング、ジェフ・ベックらギターの名手たちによるいぶし銀のパフォーマンスが楽しめる。もちろん、タル・ウェルケンフェルド嬢、20歳のときのジェフ・ベックとの共演も収録!