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ライノ・レコード潜入レポート in LA  宮治淳一(ワーナーミュージック・ライフ編集長)

ライノとの付き合いは長い。1980年代初頭60sサーフィン・ミュージックのオムニバスを出来たばかりの渋谷のタワー・レコードで買って以来だから30年近くなる。1985年夏ロサンジェルスのウェストウッドにあったライノ・レコードで5時間近く粘り大量のLPを購入、それをバスに乗ってはるばるダウンタウンの安宿まで運んだ。ライノがもともとレコード店だったことを知った。1987年仕事の関係で当時サンタモニカにあったライノ・レコードに出入りするようになって彼らのマニアックなアプローチ、好きなことを仕事にしている様を見て感動した。デザイン部門の責任者ドン・ブラウンと馬が合ってオフィス裏手にあるレコード倉庫に連れて行かれ「好きなだけもっていっていいぞ」と言われ小躍りしたことを昨日のことのように思い出す。ライノはワーナーに買収されたあとワーナー・ブラザーズ・グループがあるバーバンクに移った。2010年6月短い時間だがオフィスに訪問する機会を得たのでここにライノ最新レポートをお送りする。

ライノ・ハンドメイドの責任者との邂逅

ライノ・エンタテイメントは現在ロサンジェルスの北にあるバーバンクにある。近くにはワーナー・ブラザーズ・スタジオ、同レコード、ブエナ・ヴィスタ(ウォルト・ディズニー)、少し足を伸ばせばユニバーサル・スタジオがあり、まさにLAエンタテイメントの中心地にある。ライノはワーナー・グループ各社がごっそり入っているビルの1フロアに異彩を放って鎮座している。

レーベルのロゴが美しい。実にLA的
遊び心満載のレセプション。やはりエンタテイメント・ビジネスのファサードはこうありたいもの

ハンドメイド担当A&R メイソン・ウィリアムス氏。誠実な人柄に好感がもてる。「フラワー・トラベリング・バンドのことを調べておいてね」とわたしに宿題を課すことも忘れなかった。お土産の「鳩サブレー」食べてくれたかな。

ライノはワーナー・ブラザーズを筆頭にアトランティック、エレクトラ等アメリカン・レーベルの過去のカタログ音源を一元管理している。また、80年代のモンキーズを皮切りに、シカゴやビー・ジーズなどワーナー・グループ以外のビッグ・アーティストのカタログも積極に取組んでいる。そして現在マニアから大いに注目されているのが“匠”の技が売りのライノ・ハンドメイドだ。今回のライノ訪問の最大の目的はそのライノ・ハンドメイドの責任者メイソン・ウィリアムスと会うことだ。彼はまだ30代で実に若い。明るくアグレッシヴなところがいい。とかくこのジャンルはオタク的なにおいが漂いがちだがそれがまったくない。彼とのインタヴューは実りの多いものだった。


マニアのために個性的なパッケージを

ウィリアムス氏が自信を持ってお勧めするデラニー&ボニー&フレンズ・ウィズ・エリック・クラプトン・オン・ツアー4枚組。現在予約受付中。7月下旬入荷予定。売り切れ必至?

ライノ・ハンドメイドは急激なマーケットの変貌により一時期開店休業状態であったが、本年1月のウィルソン・ピケット6枚組ボックスを皮切りに、積極的にプロダクトを出し始めた。ウィリアムス氏によれば1ヶ月最低2作品は出す計画だという。確かにピケット以降、『小鳥と蜂とモンキーズ』のデラックス・エディションジャンとディーンのアナログ+CDシカゴの4チャンネルDVDロッド・スチュワート幻のアルバムの初リリースヴァニラ・ファッジのボックスストゥージズのスペシャル・エディションジャームスの未発表ライヴCDと激しく出している。それに近々待望のデラニー&ボニー&フレンズ・ウィズ・エリック・クラプトンの驚愕の4枚組、トニー・ジョー・ホワイトの未発表ライヴ、アレサ・フランクリンの4チャンネルDVD、Jガイルズ・バンドの名ライヴ盤『フル・ハウス』のデラックス・ヴァージョンらのリリースが控えている。ライノはかなりやる気だ。


ライノ・インターナショナル担当ヘッド、デヴィッド・ドーン氏(右)、超有能なアシスタント、ランディ・リンゼイ君(左)。彼らがいなければわたしたちの仕事は完全にストップする

「もう普通のCDはどんどん売れなくなっていて、その受け皿は確実にディジタルになっている。その一方で世界の音楽マニアはこだわりの、本物のプロダクトを欲しがっている。ライノ・ハンドメイドはそのようなマニアのために個性的なパッケージを出し続ける」(ウィリアムス氏)。 幸いこのライノ・ハンドメイド再始動と時を同じくしてその一貫したポリシーであるメーカーによる直接販売が、ワーナー・ミュージック・ダイレクトをスタートさせたことで可能になり日本での商品供給が始まった。「日本の音楽ファンには大変感謝している。彼らは実に熱心だ。これからもどしどしも魅力的なパッケージを出すので是非注目して欲しい」(同氏)。


バーバンクにあるワーナー・ブラザーズ通り。これぞ映画の町の象徴

ライノ・ハンドメイドも既に10年を経過した。過去アレサ・フランクリンのフィルモア・ライヴ4枚組、アラン・トゥーサンのコンプリート・ワーナー・レコーディング など、当時日本で扱えず、かつ現在ライノで在庫切れの商品もこれを機会に扱いたいところだ。また、「ライノ・ハンドメイドの再生産はそのポリシーからしてこなかった。だが、この激変する時代にまだ通用する商品があるなら是非検討したい」(同氏)と言ってくれた。これは脈があるかもしれない。