この作品は、まさにその過程を音で描いています。冒頭は張りつめた緊張感を伴い、何かが引っ張られ、引き伸ばされているような感覚があります。まるで一音ごとに代償が伴っているかのように。むき出しのピアノの弦の響きや振動、その生々しさが、鍵盤を打つたびに何かが内側から剥がれ落ちていくような印象を与えます。そこには重みがあり、抵抗があり、必死にしがみついている感覚があります。ですが、ある瞬間、突然すべてが変わります。緊張がほどけ、プロセスが完了し、音楽は透明で開かれた、光に満ちた空間へと移っていきます。

この変化こそが、私にとっての「豊穣」のモチーフを体現しています。この言葉が音としてどのように響くのか、豊かさに至るまでの緊張や道のりをどう表現できるのか――それを探りたかったのです。この作品は、反復するモチーフに頼るのではなく、場面から場面へと移り変わる“物語”のように展開していきます。構造的にも、感情的にも、私にとって実験的な試みでした。新しいアプローチで作曲に向き合う、貴重な旅だったのです。