プロデュース：
エリック・クラプトン＆サイモン・クライミー
パーソネル：
エリック・クラプトン（g, vo）、スティーヴ・ガッド（ds）、ネイザン・イースト（b）、アンディー・フェアウェザー・ロウ（g）、ドイル・ブラムホールII（g）、ビリー・プレストン（key）
ゲスト：スティーヴ・ウィンウッド（synth）、ジョン・メイヤー（g）、ロバート・ランドルフ（dobro）、クリス・ステイントン（fender rose）、スティーヴン・マーリー（perc）、アブラハム・ラボリエル Jr.（ds）、ピノ・パラディーノ（b）、トビー・ベイカー（key）、ニック・イングマン（strings arrange）、キック・ホーンズ（horns）

2005年1月：『セッションズ・フォー・ロバート・J』をリリース、ツナミ・チャリティー・コンサート参加、3月：愛知万博「愛・地球博」のオフィシャル・コンピレーション・アルバム『Love The Earth』にて、愛知万博の音楽催事イベント「Love The Earth」のシンボル楽曲「セイ・ホワット・ユー・ウィル」発表、5月：伝説のスーパー・バンド：クリームの37年振りとなる再結成公演、と還暦を迎えたメモリヤル・イヤーを自ら記念するかのように信じられないペースで意欲的に活動を続けるエリック・クラプトン4年ぶりのオリジナル・ニュー・アルバム『バック・ホーム』をリリース。
全編を通して感じることのできる幸せに満ち溢れたムード、そして随所から感じられる愛情の匂い、それがこのアルバムを象徴するテーマだ。2005年2月に三女が誕生し、60歳にして家族の愛、そして幸せを遂に得ることが出来たクラプトンの心身共に充実した現在の姿が映し出されている。アルバム1曲目の「ソー・タイアード」は赤ん坊を育てることの心地よい疲れをテーマにしており、2曲目の「セイ・ホワット・ユー・ウィル」（アルバム・ヴァージョン）ではかけがえのない友情をテーマにしつつも、やはり家族への愛情が根底にあるのでは、と思わせる。ちなみにこのアルバムに収録されているのは『Love The Erath』で発表されたヴァージョンとは違う、爽やかなレゲエ・ヴァージョンで収録されている。セット・アップ・シングル「レヴォリューション」は、クラプトンの十八番であるルーツ・レゲエ・スタイルのクール・トラック。クラプトンといえば、かつてボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカヴァーし、レゲエを世界に広めた立役者でもあり、ボブ・ディランの「天国の扉」をレゲエ・ヴァージョンでカヴァーするなど、レゲエへの造詣が深いことでも知られている。
そして、このアルバムのエンディングを飾るラストの2曲が素晴らしくアルバムの内容を象徴している。「ラン・ホーム・トゥ・ミー」は泣きのギター・ソロが聴けるこのアルバムを代表する珠玉のバラード・ナンバー。美しく絡み合うストリングスが花を添えている。ラストの「バック・ホーム」は、近年のクラプトンのスタイルでもあるアコースティック・ギターをメインにしたクロージング・ナンバー。このアルバムに度々登場する「home」というキーワードがやはり現在の家族のことであり、家族を持つことの素晴らしさを表現したかったのではないか、と想像させるに十分な1曲だ。
他にも話題曲が満載だ。中でもジョージ・ハリスンの「愛はすべての人に」（アルバム『慈愛の輝き』（'79）の1曲目に収録）のカヴァーは注目だ。実はこの曲、原曲でもクラプトンがギターで参加している。ジョージのトリビュート・ライヴを自ら主宰、その深い友情を捧げた、クラプトンからジョージへのもうひとつのトリビュートなのであろう。「ゴーイング・レフト」はスティーヴィー・ワンダーとかつてスティーヴィーの奥さんでもあったシリータ・ライトのペンによる曲でシリータ・ライトのアルバム『スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ・ライト』（'74）に収録。