COME ALONGの伝説?! 1979-2017

山下達郎 - COME ALONG3

山下達郎の『COME ALONG 3』が2017年8月2日に発売される。 同日には『COME ALONG 1』『COME ALONG 2』がソニー・ミュージックより発売される。 ここで『COME ALONG』とは何なのか、振り返ってみよう。 この『COME ALONG』シリーズが生まれたのは、1979年のことであった。

1979年、『Come Fly with Me!!』 誕生!
1979年の夏頃、『Come Fly with Me!!』と名づけられたアナログLPが作られた。これは一般に発売されたものではなく、レコード・ショップで流すための店頭演奏用レコードであった。レコード会社が非売品のコンピレーションを作ることは珍しいことではなかったが、この『Come Fly with Me!!』は、小林克也のD.J.をバックに山下達郎の楽曲が繋がれるという、ノン・ストップ・DJミックスの走りとも呼べるようなレコードであった。
このレコードは、山下達郎が1976年から1978年までに発表していたアルバム『CIRCUS TOWN』『SPACY』『GO AHEAD!』からセレクトされた人気曲と、1979年4月5日に発売されたばかりの最新シングル「愛を描いて-Let’s Kiss The Sun-」が収録され、A面を“Dancing Side”、B面を“KIKI Station Side”というテーマに分けて構成された。タイトルの『Come Fly with Me!!』は、小林克也が「愛を描いて-Let’s Kiss The Sun-」を紹介する際に発した「Come Fly with Me!!」というフレーズからとられた。また、デビュー・シングル「LET’S DANCE BABY」のB面「BOMBER」が大阪や神戸のディスコで人気に火が点き始めたこともあり、この曲がA面1曲目を飾っている。
随所に「蛍の光」「ドリーム・オブ・ユー」「THIS COULD BE THE NIGHT」が短いジングルとしてさりげなく挿入されているのも面白い。「蛍の光」は、山下達郎がFMの特別番組のために録音したアカペラの素材で、「ドリーム・オブ・ユー」は竹内まりやのヒット曲を達郎がアレンジしたアルバム・ヴァージョンのイントロのアカペラ。“KIKI Station Side”では、小林克也との掛け合いで竹内まりやのナレーションも聴くことが出来る。
このレコードが店頭で流され始めるやいなや大変な反響を呼び、レコード・ショップやリスナーから、「このレコードは発売されないのか?」という問い合わせが殺到した。非売品のプロモーション・レコードが正式にリリースされるという例は滅多になかったが、レコード会社は達郎に、『Come Fly with Me!!』の正式発売を打診した。そもそものアイディアは当時のレコード会社のスタッフによるもので、達郎の発案というわけではなかったこともあり、「カセット・テープのみ」で1980年3月21日に発売されることになった。タイトルは収録曲「ついておいで」の英題「FOLLOW ME ALONG」と『Come Fly with Me!!』を合わせ、『COME ALONG』と改められた。
1980年、『COME ALONG』誕生!
こうして発売されたカセット『COME ALONG』は当時の最新アルバム『MOONGLOW』に迫るほどの勢いで評判を呼んだ。ちょうどカセット・ウォークマンやカーステレオが普及し始め、音楽をアウトドアで楽しむ時代にふさわしいアイテムとなった。カセット・オンリーではあるものの、達郎にとって初の“ベスト・アルバム”という役割も果たしていた。
当時のフライヤーのキャッチコピーを引用すると、「シティ・ボーイ、サーファー・ガールの間で話題騒然!!噂のスペシャル・コピーついに発売!OUTDOOR BOYS & GIRLS VIBRATION!小林克也の快適なD.J.でつづるTATSUROのベスト・セレクション!リズミックなナンバーでまとめたSide AはDancing Side。Side BはハワイFM局KIKIステーションより、ノース・ショア、サンセット・ビーチの波の音をバックに贈る山下達郎特集。KIKIの人気サーフD.J.チャーリーよりノース・ショア、アラモナ・ビーチ、ダイアモンド・ビーチの波情報。そして達郎ファンの地元ハイスクールのマリヤ(?)からのTEL。はたまた竹内まりやによるマカハ・ビーチで行われるジープ・レースの紹介と楽しい構成だ。」
この『COME ALONG』も一役買って、ついに達郎は“ブレイク”した。
1980年5月1日、シングル「RIDE ON TIME」が発売され、瞬く間にオリコン・チャートで3位を記録したのである。それまでのアルバムも高い評価を得ていた達郎であったが、この「RIDE ON TIME」によって山下達郎の人気は決定的なものとなった。その後、9月にアルバム『RIDE ON TIME』を発表、1982年には『FOR YOU』も大ヒット。その後達郎はムーン・レコードに移籍し、1983年6月に『MELODIES』、1984年6月に『BIG WAVE』と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの快進撃を続けた。
1984年、『COME ALONG II』 誕生!
1984年3月5日に、新企画『COME ALONG II』がLPとカセットで発売された。1979年から82年までのアルバム『MOONGLOW』『RIDE ON TIME』『FOR YOU』からピックアップされたナンバーと、シングル「あまく危険な香り」を小林克也とカマサミ・コングのD.J.で紹介するという、いわば“airレーベル時代のベスト・アルバム”ともいえる内容で、ジャケットは、『FOR YOU』を手がけた鈴木英人氏のイラストが起用された。当時アルバム・チャートでTOP 10に入るほどのヒットとなったことから当時の達郎の勢いの凄さを窺い知る事ができる。

翌月の4月5日には、それまでカセットのみの発売であった『COME ALONG』が、装いも新たに鈴木英人氏のジャケットにより初LP化され、あらためてカセットも発売された。
さらに翌年1985年6月5日には『COME ALONG』『COME ALONG II』がピクチャー・レコードで発売され、これらもアルバム・チャートに入った。1986年にはどちらもCD化された。

時は経て2002年2月14日、達郎の「RCA/AIRイヤーズ」のソロ・アルバム7作品がリマスター再発売されるにあたり、全タイトル購入者への特典として、『COME ALONG』が新たにCD化された。単独で市販されることはなかったものの、達郎がマスタリングに関わり、達郎による解説文も掲載された。
2017年、『COME ALONG 3』誕生!
『COME ALONG II』から33年経った2017年の8月2日には『COME ALONG 3』が発売される。
1983年以降のムーン・レーベルのアルバム『MELODIES』『BIG WAVE』『僕の中の少年』『ARTISAN』『COZY』『RARITIES』『RAY OF HOPE』の夏にふさわしいナンバーから2016年のシングル「CHEER UP! THE SUMMER」までが小林克也のナレーションに乗って次々とプレイされる。ジャケットはもちろん鈴木英人による新しい書き下ろしだ。
そして同日の2017年の8月2日、ソニー・ミュージックから発売される『COME ALONG 1』『COME ALONG 2』は、今回あらためて達郎がマスタリングに関わり、2017年最新デジタル・リマスターで新たに甦った。
“RCAイヤーズ”の『COME ALONG 1』、“airイヤーズ”の『COME ALONG 2』、“MOONイヤーズ”の『COME ALONG 3』が揃ってリリースされる日が来るなんて予想もしていなかった。オリジナル・アルバムを全部聴き込んでいるヘヴィー・リスナーも、ちょっとしか達郎を聴いたことがないビギナーも、理屈抜きに楽しんでほしい。

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