Tai Phongタイ・フォン

Profile

タイ・フォンはヴェトナム出身のカーン・マイとタイ・シンの兄弟が中心になり、1975年にフランスで結成された。民族の坩堝であるフランスらしく、彼らの紡ぎ出す音楽はインターナショナルな要素を強く出しながらも、アートワークは日本を想起させるような武将を登場させるなど、どこか無国籍的感覚は今なお新鮮である。

わずか3週間で仕上げたというファースト・アルバム『恐るべき静寂』は、荒削りながらも若きメンバーの熱き想いが充満した力作に仕上がっており、シングル「シスター・ジェーン」はフランス国内のみならず全ヨーロッパ、そして日本でも大ヒットを記録している。

76年にはセカンド『ウィンドウズ』を発表したが、前作からたった1年しか経っていないにもかかわらず、その完成度の高さに再び世界中が驚かされたのである。まさにシンフォニックを絵に描いたようなサウンドは、タイ・フォンの最高傑作として誉れ高い。

その後、メンバー交替を経て79年にサード『ラスト・フライト』を発表。ウェスト・コーストにも繋がるさわやかなコーラス・ワークや、新メンバーが持ち込んだジャズの影響が見え隠れし、ある意味で初の新機軸に挑戦した好盤であったが、世のディスコ・ブームの煽りを受けてバンドは解散へと追い込まれる。

リーダー格のひとりであったジャン・ジャック・ゴールドマンはバンド解散後81年にソロとしてデビューし、現在までに1500万枚以上も売り上げているばかりではなく、セリーヌ・ディオン、パトリシア・カース、ジョニー・アリディなどのプロデュースを担当するなど、その活躍は世界規模を誇っている。

タイ・フォンは86年にオリジナル・メンバーのカーンとステファン・コーサリューを中心に再結成しシングル「I'm your son / Broken dreams」をリリースするものの再び沈黙に入る。さらに2000年には再度カーンとステファンが中心となって集結し、21年ぶりのアルバム『SUN』を発表し見事復活を遂げる。タイ・フォンは現在も女性ヴォーカルを含む8人編成のバンドとして活動を続けているが、往年のプログレッシヴ・ロックの雄姿を堪能できるのは70年代にワーナーに残した3作品のみである。

そして2014年10月タイフォンが日本初上陸する。

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