アンジー・マルティネスはニューヨークのラップ界で90年代の大半にわたり、ラップの最も過激なパフォーマーとして活躍し、ニューヨークのラジオ局ホット97を制覇してきた。
アルバムでは周知の通りソウル系ヒップ・ホップを提供。
前作ではラップ界のスーパースター、Jay-Z， Wyclef、Snoop Dog， Mary .J. Blige によるバッキングで「コースト・トゥ・コースト」や「デム・サングス」等大ヒットを遂げた。
母子家庭で育ったアンジーは、「自分の周りにはいつも音楽が流れていた」という恵まれた環境で育った。
「母はジャズ・ラジオ局でプログラム・ディレクターをやっていた影響もあり、他の家庭とは音楽の趣味は違っていたの。だから若い頃から新しい音には敏感だったのね。」
幼少の頃には既にヒップ・ホップに目覚めていたが、本格的にアーチストを目指すようになるにはかなりの時間がかかったと言う。
「ブルックリンで育ち、ブロンクスにも移り、ニューヨークにも住んでいた事があるわ。十代の時なんて、あまりにもワイルドになりすぎた私を母が心配して、マイアミにも住ませたのよ（笑）！！」
そんなアンジーの初めての仕事はマイアミのラジオ局だった。
電話番、車の運転、ライブ・イベントでの手伝い等を行なう。
「その時点で初めて自分の将来がはっきりと見えてきたの。母も応援してくれたわ。そしてニューヨークに戻った後、ラジオ局のＨｏｔ９７に就職する事ができたの。」
「Ｈｏｔ９７で働くようになって暫くしてから伝説のファンクマスター・フレックスと仕事をする事が出来たわ。その後は、大きなヒップ・ホップ・パーティに出演したりホストをしていたの。」
そんなアンジーをソロ・デビューさせようと説得したのが、あのＫＲＳＯＮＥだったのである。
パーティなどでアドリブを披露していたアンジーに共鳴したのである。
「ＫＲＳＯＮＥが声をかけてくれて一緒にレコーディングしたのよ。」とアンジーは語る。
その曲はアンジーとレッドマンのデュエットによる「Heart　Beat」である。
「想像してみてよ！！、初めてスタジオ・ワークでラップして横に立っているのがレッドマンとＫＲＳＯＮＥなのよ！」。
アンジーのファンはもちろんこの事実を聞いた所で驚きはしないであろう。
アンジーのキャリアは信頼性に基づいているのだ。
最初はアンダーグランド・テープで練習したり、メアリーＪ．ブライジのようなスーパスターと共に録音したり、そしてグラミー賞にノミネートされたシングル「Not Tonight」でミッシー・エリオット、リル・キム、レフト・アイやダ・ブラットとの共演もあり話題を呼んだ。
自らを「MCよりはDJだ」と言う割には悪くない実績だろう。
「いつか自分でアルバムを作る時がきたら、そのアルバムに自分のＤＪとしての体験を取り入れないと決めていたの。」、
「もっと私的で親密なアルバムを目指していたのよ。ヒップ・ホップが大好きだからＤＪをやっているけど、私には他にも多くの趣味があるから、アルバムではもっと違う自分を表現したかった。今では色々違う面で私を認めてくれる人達がいるおかげで、自分をもっと飛躍させる事が出来る気がするわ。」