ちゃんみな

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『Naked』オフィシャルインタビュー公開!

2023.4.26

ちゃんみな『Naked』完璧ではない裸の自分を肯定してくれる音楽

ちゃんみなが4thフルアルバム『Naked』をリリースする。今作は、アメリカや韓国で制作された楽曲を中心に、彼女に起きた直近の出来事と心の変化を追ったストーリー仕立ての作品になった。そこでは、今まで公には言わなかった過去のトラウマ、忘れかけていた原点、新たな感情など、24歳の彼女のリアルがあまりにも素直に、飾り気のない裸の心と言葉で歌われている。ある意味、これまでの彼女の作品の中でもっとも本質的な作品だと言えるかもしれない。「現時点での集大成」「20代前半の私を詰め込んだ」だと語るちゃんみなに、作品制作の経緯や背景を聞いた。
取材・文 山田宗太朗


「ただ音楽をやりたい」そんな裸の心を表現した

ーー韓国デビューを経て、新曲を含めた全17曲、多彩なアルバムだという印象です。

2022年はあまりリリースがなかったけれど実はたくさん曲を作っていて、作りながら今後のやりたいことや次に提示したいことを模索していました。アルバムに入れるかどうか迷った曲の数は50曲ほどあります。

ーー50曲! 今回入れなかった曲はどうするんですか?

いつかタイミングが来たらリリースできればと思っています。実は、リリースしてない曲がたくさんあるんです。たとえば今回収録した『B級』なんかも、3年くらい前に作ったものでした。

ーー3rdアルバム『ハレンチ』制作時には、『美人』を作ったあとしばらく曲が作れなくなったと言っていました。

そうでした。その後、武道館ライブの後も似たような状態になったんです。自分の中に何も残っていなくて、心がまったく動かされない状態になってしまって。もう曲は作れないかもしれないと思ったくらいでした。そんな状態でニューヨークに行ったんですね。私にとってはニューヨークは夢の街なのに、いざタイムズスクウェアに着いても、やっぱり何も感じなかったんです。本当に感情がなくなってしまったんだな……と思うと同時に、これまで自分をいじめて音楽をしてきたことに気づいてしまって。自分が傷つく方向に人生を進めて、無理やり感情を動かして、曲を作るために行動していたんだなと……。

でも、ブロードウェイでショーを見た時に、「あ、これが私の好きだった音楽だよな」と思い出したんです。すごくきれいなセットときれいなお話を、ものすごく歌のうまい人がステージで表現していて、観客が声を出して盛り上がっている。そういったエネルギッシュな場所に久しぶりに観客として身を置いて、「私が好きなのって『音楽』だったんじゃん」と気づいたんです。

それまでは、「自分にはもっと発言しなきゃいけないことがある」みたいな気持ちになっていました。だから苦しんで音楽を作らなければいけないと思っていました。幸せでいてはいけないと思い込んでいたんです。だけど「幸せでいて何が悪いんだろう。ましてや完璧である必要もないんじゃないか」と思ったんですね。完璧ではないから音楽をしているんだし、完璧ではない自分を肯定できるのが音楽だからやっていただけなのに、なんでこんなに難しく考えていたんだろうと。

ーーそこから、アメリカと韓国での曲づくりが始まったんですか?

そうなんです。自分を取り戻したかのように、驚くほど音楽が溢れてきたんです。1ヶ月半でほぼ毎日、30近いセッションをしました。だから今回は、飾らない裸の私を見せたくて『Naked』というタイトルにしました。言いたいことを言って、表現したいことを表現して、日本人であり韓国人であるという自分のアイデンティティも色濃く出た作品になったと思います。

ーー裸の自分のわりには、ジャケットの文字のデザインがトゲトゲしていたり、荊の冠を被っていたりしますが、これは?

いくら裸にしても、どんな環境にいて何をしていても、やっぱり24歳の今の私って、尖っているんですよね。そういった反骨心を表しました。

ーー今回のアルバムから本格的に歌詞に韓国語を取り入れて、3つの言語をミックスさせています。複数言語で歌詞を書くのは難しかったのではないですか。

いや、むしろ本当の私みたいなものを出せたと思います。私にとっては日本語と英語と韓国語の3つで1ヶ国語みたいなものなので。振り返れば、日本語だけで作詞していた時は表現しきれていなかった部分があった気がします。


自分の中に音楽が戻ってからはじまった旅

ーーでは、収録曲について具体的に聞かせてください。

1曲目の『Good』は、それこそ今話したような、ただ音楽が好きだった自分を忘れてしまっていたことに対する懺悔の曲です。無理をして自分を傷つけて音楽を作っていたから、少女の自分が家出してしまった。小さい頃の自分目線で、今の自分に向けて歌っています。歌詞の「君」は私のことですね。

ーーちゃんみならしい曲ですよね。ピアノで作曲している様が想像できるようだし、歌い方も素直です。これが1曲目にあるせいか、アルバム全体から「自然体のちゃんみな」という感じが伝わってきます。

私の中では、今回のアルバムは「旅」を意味していたりもします。アメリカに行ってから、つまり私に音楽が戻ってきてからをスタートにしたかったんです。それなのに『I’m Not OK』で終わるのはなぜか……というのは後で説明するとして、次の『RED』は、これまで言うべきか迷っていたトラウマの話です。

ーーなぜ今、言おうと思ったんでしょう。

韓国での活動を始めた理由や言語を混ぜようとする理由、それが私にとってどんな意味があることなのかを知ってもらえるバックグラウンドだからです。今でもガラスの灰皿を見ると当時のことを思い出すし、レコーディングでは泣いてしまいそうでした。でもこのアルバムを語る上で、バックグラウンドの説明は必要だと思ったんです。もしかすると、この曲を聞いた日本のリスナーの中には、ちょっと嫌な気になる人がいるかもしれません。「日本人がやったことに対する曲だ」って。でもそうは捉えてほしくないんです。

私は日本も韓国も大好きです。せめて音楽の中では、日本も韓国も飛び越えて世界のみんなが仲良くなってほしい、それがこのアルバムでの私の思いなんです。だから最後は「愛してるよサランヘI love you」と歌いました。ただし、軽い内容ではないので、シリアスな曲調になるようには意識しました。タイトルの『RED』は血の色のことです。みんな同じ赤い血が流れている。人間だけでなく動物もそうですね。YellowやBlack、Whiteではないことを強調したいです。
またこの曲のプロデュースは、韓国のGRAYというアーティスト/プロデューサーにお願いしました。GRAYの音楽はずっと聴いていたから、一緒に仕事ができて本当に嬉しかったです。

ーー次の『444』はどうでしょう。インタールード的な曲ですが。

これは「フォー・フォー・フォー」と読みます。韓国のホテルにて、従姉妹とのセッションをボイスメモでレコーディングして、それをそのまま収録しています。幼い頃に一緒に住んでいた従姉妹だから本当の妹みたいな子で、今はバイオリニストなんですけど、ふたりとも英語を話すから、しゃべっていると言語が混ざるんですよね。彼女が「お姉ちゃん何語でもいいから歌ってみてよ」って言ってくれたんです。その言葉が私にとってすごくキーになりました。それで即興で、本当に何語でもない宇宙語で歌いました。ただの遊びで録ったものだけど、このアルバムを象徴すると思ったんです。

ーーこれを3曲目という、冒頭の段階で入れたことには意味がありますよね?

やっぱり象徴だし、今回伝えたかったことだからですね。言ってみれば、服を脱いでNAKEDになっている状態です。タイトルは、セッションしながらふと時計を見た時間が午前4時44分だったことに由来します。

次の『Wake up call』も、まさに制作で東京とNYとLAとソウルを行き来していた時の話です。ちょうど昨年の5月から6月頃が、今が昼なのか夜なのか、この国がどこなのかわからないくらいめまぐるしかったんです。スタッフも同じ生活をしていたからみんな忙しくて、ジェットラグもすごくて。いつもマネージャーさんにモーニングコールで起こしてもらっていました。「起きてくださーい」っていう声が入ってますけど、あれはそのマネージャーさんの声です(笑)。この曲はほとんど遊びながら作りましたね。秒でできました。


感情をより表現できる言語を選んだ

ーー『Don’t go feat. ASH ISLAND』は、ちゃんみなにとっての韓国デビュー曲になりました。ASH ISLANDさんとたくさんおしゃべりをして親睦を深めてから制作に入ったそうですね。

曲は元々あって、「これは絶対、ASHにやってほしい!」と思ったんです。彼の曲を聴くと、過去に私が書いた歌詞と近しいことを歌っていることが多くて、自分と似ているのかもしれないと感じていたんです。会って話してみて、やっぱりそうだと感じました。彼も私の話に共感してくれて、すぐに仲良くなって。私にとって同じトラックに誰かと入ることはすごく大きなことで、本当にその人のことを心からリスペクトして好きにならないとできないんです。

ーー歌詞を書く際、英語と韓国語はどんな基準で使い分けたんですか? ちゃんみなのパートを最初に聴いた時は、どこから英語でどこから韓国語なのかわかりませんでした。

単純に、どっちの方がニュアンスとして近いか、感情をより表現できるかを比べて決めました。音ではなく意味を重視しています。ASHに言われたんですけど、私の韓国語の発音は独特で、英語と混ざりやすいらしいんです。だから、わざと英語と韓国語が混ざるように歌ったわけではないんですよね。でも、英語と韓国語がシームレスにつながっているように聴こえるのは、もしかしたら武器になるかもしれないですね。

個人的にはこの曲、かなり気に入っています。80年代っぽい曲調にしたのは、歌唱力が上がって歌えるようになったから。元々こういう曲が好きで挑戦したこともあったけど、あまりしっくり来なかったんですよね。

ーーこの曲からヴィジュアルも変わって、髪の色が青になりましたよね。

韓国の国旗って青が入ってるじゃないですか。その国旗をイメージして、韓国で活動するなら一度青にしたいと思ったんです。それが今回ブロンドになったのは「どの色にも染まれる」ことを示したかったからですね。

ーー次は『サンフラワー』という曲なんですが、サンフラワーと聞くと、どうしても『Morning Mood』を思い出してしまいますが……これは深読みではないですよね?

あっ、気づきました? 深読みじゃないですね(笑)。

ーーということは、『Morning Mood』で歌われていた相手との別れという内容になると思いますが、この曲からは悲しい印象を受けません。

そうなんです。自分をものすごく愛してくれる人がいて、その人はとても良い人で自分は幸せなんだけれど、でも、「本当にその人を愛しているんだろうか、ただ相手が自分を大切にしてくれるから一緒にいるだけなんじゃないか?」という気持ちになり、別れを切り出す人の歌です。だから相手は怒り、「わざと音を立てて荷物をまとめて」「家を出て」しまうんです。そして自分はただ「ボーッとしている」、なぜなら悪いのは自分だし「I’m sorry」以外に言うべき言葉がないから。

ーー別れを切り出された立場として読んでしまったので、なんだか辛くなってしまったんですが……野暮を承知で聞くとすれば、なぜそう思うようになってしまったんでしょうか?

その答えはすべて『Mirror』に書きました。本当は隠したいことでもあるけれど、今回は『Naked』なので、自分が犯した罪のようなものも示そうと思って。


歌は練習。何回も、何年も練習してようやく歌えるようになる

ーーその直後に『You Just Walked In My Life』という、新しい人との恋を思わせるような曲が配置されていますよね。別れを切り出されたほうはおそらくまだ整理がついていないのに、切り出したほうはもう切り替えているという……。

そうなんですよね。この切り替えの速さが24歳の女性のリアルという感じがしませんか? ……あれ、なんかダメージ受けてます(笑)? まあ、この曲については内容の通りなので、歌詞を読んで察してください。

ーーこういう曲が真ん中にあることも含めて、このアルバムは今のちゃんみなの気持ちを素直に出した作品だという印象を受けました。次の『naked now』も同じ相手のことを歌っていますよね。ただしこの相手はいわゆる「バッドボーイ」だと歌詞にあります。

素敵な人と一緒にいて、その人が素敵なものをたくさんくれたとしても、それは私が欲しかったものではなかった、ということもありますよね。いわゆる良い恋愛、良い相手ではなく、一般的にはバッドボーイかもしれないけれど、自分に合う相手を見つけた、そんな歌です。

ーー恋愛の歌ではあるけれど、人生全体に敷衍して考えられそうなテーマですね。そして次が『Mirror』です。この曲には、かなり手応えがあるのではないでしょうか。

私、『Mirror』めっちゃ好きです。歌詞は何度も書き換えました。これこそ歌がうまくなったから歌えた曲です。前から歌ってみたかったけれど技術が足りなくてできなかった。

ーーその技術は具体的にどのように身につけたんですか?

それは日々の練習ですよ。やっぱり歌は練習ですから。今回急にできるようになったのではなく、何回も、何年も練習して、ようやく歌えるようになりました。歌がうまくなるには時間がかかります。

ーーMVを発表した時、SNSで「アヴリル・ラヴィーンみたい」という声をたくさん見かけました。

私は全然違うと思っているんですけど、ギターを片手に歌えばそう言われるだろうと思っていたし、私、アヴリル・ラヴィーン大好きなので、別に嫌な気はしなかったです。誰かを参考にしたわけではないけれど、私らしいロックをやりたい気持ちはありました。

ーー鏡というモチーフはちゃんみなにとって結構、大事ですか? 過去のライブでは鏡を使った印象的な演出がありましたが。

大事ですね。まず、等身大の自分を見つめることを大切にしています。自分を大きくも小さくも見せず、そのままの姿を客観視しなければと常に思っています。それから、周りの人が自分の鏡であるという考え方を信じています。『Mirror』は、似たような状況にいた似たもの同士が恋をしてしまった物語です。


「私は大丈夫じゃない!」と高らかに歌いたかった

ーー次の『FUCK LOVE』も恋の歌ですよね。

20代前半って、ちょっと大人になって恋愛観が変わってくるフェーズだと思うんです。私の場合は、愛や安心感を手にしていたのに、自分はそういうものが必要ないタイプの人間だと気づきました。だから「もう愛なんていらないわ、FUCK LOVE」みたいな気持ちになったんですよね。諦めにも近い「なるようになれ」みたいな感情です。

次の『Miso Soup』はノリで作った曲なので、耳には残るけれど、あんまり語ることがありません(笑)。『B級』は、3年くらい前に作った曲で、いつかリリースしたいと思っていたんです。『Naked』のテーマに合うのでようやく入れられました。悪ふざけで歌詞に顔文字を入れました。

ーー『美人 (REMIX) feat. Awich』でAwichさんを迎えたのには驚きました。

実は、『美人』をリリースした直後にAwichさんにはオファーしていたんです。私はAwichさんのことを、同じメッセージを同じ強さで伝えられるアーティストだと思っていて。いろいろあってすぐには叶わなかったけれど、ようやく実現しました。信頼しているので、「好きにやってください」と完全に投げる形でお願いしました。Awichさんが入ることで説得力が増したし、自分の話をしてくれたのですごく嬉しかったです。戦友が増えたと感じていますね。この曲も今の私には欠かせないし、そこにAwichさんが乗っかってくれたのはすごく意味のあることだったので、今回のアルバムに入れました。

『TOKYO 4AM』も、今の自分にとって大切な感情を込めた曲です。私の過去は東京にあり、東京で生き、愛されてきた証や記憶のようなものを曲にしました。一方、『Love Face』は「あなたしか見えない、なんでもいいからそばにいて」という燃えるような感情の曲で、この感覚も24歳っぽいなと思ったんです。「あなたと死にたい」とまで言っていて、他人からするとちょっと笑っちゃうような感覚は今しか書けないと思って。

ーーそして最後が『I’m Not OK』ですね。

『Good』で始まって『I’m Not OK』で終わりたかったんです。このアルバムで何をいちばん言いたかったかというと、実は、「私は大丈夫じゃない」ってことなんです。私は常に緊張しているし、常に不安だし、完璧な人間ではないということが、24歳にしてわかった。これまでは、『美人』で「I’m a fucking woman and I’m fucking beautiful」と歌っていたようにポジティブにまとめていたけれど、「私は大丈夫じゃない!」と高らかに歌った曲はなかったと思うんです。だけど大丈夫じゃないのも私だし、大丈夫じゃなくて大丈夫なんだよ、ということを伝えたくて。

ーー不安定で安定している?

そう、私は不安定で安定しているんです。自分が不安定な人間だと自分で認めたんですね。曲を書いていてそう思いました。不安定な自分を楽しんでいる自分がいるし、そういう自分でいることが生きているって感じがするんです。

そう考えると、『Good』という曲は、素直に書いたけれどまだ強がっているんですよね。それが『I’m Not OK』まで来て「finaly got the nerve to say I’m not ok」と言えるようになった。「私は大丈夫」から始まって、バックグラウンドの説明があって、いろんな恋愛をして、幸せだったのになんか違うなと感じていて、なんだか自分は変なことしているし普通の生活ができないし、あーなんか私大丈夫じゃないなーってだんだん気づいてきて最後に「私大丈夫じゃないわ!」と叫んで終わる。

ーーストーリーですね。

そうなんです。ストーリーを重視しました。ある種、自分を取り戻していくストーリーだと思っています。このアルバムは今の自分の集大成だと感じていて、かなりやりきった感覚ですね。


Naked配信/購入リンク:https://chanmina.lnk.to/naked
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