David Bowieデヴィッド・ボウイ
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「横山健に聞く、デヴィッド・ボウイ」本日、全文公開。
2016.11.25
リリース日に朝日新聞にて“異例のツーショット写真”が公開され、大きな話題となった“デヴィッド・ボウイ × 横山健”。
「デヴィッド・ボウイは避けて通れない人」、「「ロックン・ロールの自殺者」は、いつでもできるように準備しています。」など、横山健がボウイから受けた影響や楽曲の普遍的な魅力について語っていますので、ぜひチェックしてください。
デヴィッド・ボウイが逝去した2016年、日本でも数多くのアーティストが、哀悼の意とともにボウイへのリスペクトを公言している。
そして、こんな意外な男もボウイ・ファンのひとりだ。
横山健。言わずと知れた、日本が誇るリアル・パンクス。そして「デヴィッド・ボウイは避けて通れない人」と語る横山健の言葉から浮き彫りになるのは、ボウイのミュージシャンシップの高さ、そしてその楽曲群の普遍性という、ともすると忘れられてしまいがちな”音楽家”としての本質だ。
横山健とデヴィッド・ボウイの出会いは、中学生の時だった。
「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」をカヴァーしているライヴ映像を観て、その時は何者かもわかっていなかったんですけど、なんかパンクだと思ったんです。ちょっと荒っぽくて、カッコいいロックン・ロールだなって。僕の印象がパブリック・イメージと離れているのは理解しているけど、自分の中ではツェッペリンとかAC/DCとかと並ぶロック・クラシックなんですね。すごく平たく言えば、マスト中のマストだと思います」
特に好きなのが初期~中期のボウイ。アルバムでは『ジギー・スターダスト』、楽曲単位ではモット・ザ・フープルに提供した「すべての若き野郎ども」を筆頭に、「火星の生活」「チェンジズ」「ユー・プリティ・シングス」「愛しき反抗」などがお気に入り。
「曲がいいというのが、一番の魅力じゃないですかね。意外とトリック・スター的なことを言われていますけど、音楽的には大王道、ど真ん中を行っていると思うんですよ。特に初期から中期にかけては、それが顕著な気がしますね。今まで曲をカヴァーしたことはないです。ただ、「ロックン・ロールの自殺者」は、いつでもできるように準備しています。もう何十年も(笑)。あと、「ジギー・スターダスト(屈折する星くず)」とか「愛しき反抗」とかは、ギターを持つと試し弾きフレーズで必ず弾きますね。これはもう、ずっと体に染み付いちゃっているものなので。“天国への階段”とかと同じレべルですね」
固定スタイルを持たないのがスタイル、というようなボウイの音楽性やヴィジュアルについては、「自分が何をしたいか、どういったものを表現したいかということに対して、ものすごく誠実な人」としつつ、「でもそれはソロだからできたんじゃないかな」と言う。
「基本ソロ・シンガーじゃないですか。だからいろんなことに興味を向けやすかったし、でもその分、孤独だったんだろうなっていう気がします。バンドって、いいことも悪いこともシェアできたりするんですよ。ものすごく独特の絆があったりして。それをボウイは持っていなかったと思うので、いろんなところで表現することで補完していたのかなと」
そして、年明け早々に届いた訃報。
「誤解を恐れずに言うと、見事な散り際だったなと。最後の作品を出して、それと一緒に亡くなるという。もうこれ以上ない消え方ですよね。もちろん悲しみはありましたけど、まあ人が亡くなっていくことは順番なので、特別悲しみが深いかというとそうではなく、やっぱり見事としか言いようがないです。僕が一番影響を受けたのは音楽だし、生きざまそのものは、もしかしたらこれから学ぶのかもしれないですね。そういう死に方をしてくれたというか」
最後に横山健は、本音を交えて熱い想いを明かしてくれた。
「『避けて通れない』と言いましたけど、同じようなカッコは避けますね(笑)。正直、ファッション面とかアート面とかには、僕はほぼ興味がなくて、ボウイは音楽なんです。彼の音楽から何かを引っ張り出して、パンク・ロックに混ぜ込んで新しいものを出していきたい。ボウイは僕のことを知らないですけど、僕はボウイを知ってる気でいるので、それをやっていくことが恩返しだと思っています」