このアルバムは、キューバのサルスエラであるエルネスト・レクオーナの『マリア・ラ・オ』（1930年）で幕を開けます。キューバは、2,500以上のサルスエラが作曲された、サルスエラの第二の大国であり、エルネスト・レクオーナとゴンサロ・ロイグは、キューバのサルスエラの2つの柱とされています。キューバのサルスエラは、奴隷制や人種差別といった厳しい社会問題を舞台に持ち込み、よりドラマチックな側面を持っています。アルバムの締めくくりには、カタルーニャ出身の作曲家ゴンサロ・ロイグ（1890-1970）の伝説的な『セシリア・バルデス』が収録されています。人類学者フェルナンド・オルティスは、この作品を「完全で、感情がこもり、意識的で望まれたキューバらしさのサルスエラ」と定義しました。『セシリア・バルデス』は、強い人種的内容を持ち、奴隷制がその中心テーマの一つです。ロイグは、黒人音楽、クレオール農民音楽、スペイン音楽の融合をこの作品で再確認しています。

この素晴らしいアルバムは、リゼット・オロペサによって見事に演奏され、彼女の心の中に刻まれた音楽です。彼女の多彩な声は、最も難しい声楽パッセージさえも驚くほどの容易さでマスターしています。サルスエラの音楽は、リゼットにとって非常に大切なものであり、彼女のルーツを思い起こさせます。このアルバムに収録されている曲は、リゼット自身が慎重に選んだもので、彼女のお気に入りのサルスエラをいくつか紹介しています。

【収録予定曲】
1.レクオーナ:サルスエラ《マリア・ラ・オ》～Mulata infeliz
2.バルビエリ:サルスエラ《ラバピエスの理髪師》～Cancion de Paloma
3.ヒメネス&ビベス:サルスエラ《軽騎兵の衛兵》～Un pobre nido
4.ペネーリャ:サルスエラ《アルカラのドン・ヒル》～Bendita cruz
5.ルナ:サルスエラ《ユダヤの子》～De Espana vengo
6.ソロサーバル:サルスエラ《港の酒場女》～En un pais de fabula
7.チャピ:サルスエラ《セベデオの娘たち》～Carceleras
8.トローバ:サルスエラ《モンテ・カルメロ》～Madre de mis amores
9.レクオーナ:サルスエラ《マリア・ラ・オ》～Escucha al ruisenor
10.ロイグ:サルスエラ《セシリア・バルデース》～Salida de Cecilia

【演奏】
リセット・オロペサ(ソプラノ)
マドリード州立管弦楽団(2,3,6,&10)
マドリード交響楽団
オリベル・ディアス (指揮)

【録音】
2023年7/8月、オーケストラ・リハーサル室、マドリード王立劇場、マドリード