現存する資料が少ないため、先住民の音楽についてはほとんど知られていませんが、植民地時代に本国から派遣され、新たに建立された大聖堂で楽長（カペルマイスター）として仕えたエルナンド・フランコやフアン・グティエレス・デ・パディーリャのようなヨーロッパ人音楽家たちに影響を与えたことはわかっています（彼らの作品は、当アルバムにボストン・キャメラータの演奏で収録されています）。続くバロック時代には、ヨーロッパの強い影響を受けつつも、マヌエル・デ・スマヤやイグナシオ・デ・エルサレムといったメキシ-コ生まれの作曲家たちのおかげで、独自の個性を持つ現地の楽派が花開きました（彼らにはシャンティクリアが賛辞を捧げています）。

そして20世紀初頭には、偉大な才能が開花しました。その筆頭に挙げられるのがカルロス・チャベス、シルベストレ・レブエルタス、そしてもちろんマヌエル・ポンセです。ポンセは、国際的なヒット曲『エストレリータ』や数多くのギター作品で最もよく知られています（ここではエリオット・フィスク、オスカル・カセレス、アンドレス・セゴビアによる演奏を収録）。また、コープランドの『エル・サロン・メヒコ』やパーセルの『インディアン・クイーン』など、メキシコという国からインスピレーションを得た作品も収録しています。。