パリを拠点に活躍する作曲家・ピアニスト、キリル・リヒターは「表現的ミニマリズム」と称される独自のスタイルで国際的に注目を集めています。ミニマルな技法に力強く心を打つ旋律を融合させ、オペラ、バレエ、映画、ファッション、スポーツと幅広い分野で活動。2018年には《Where Angels Fear to Tread》がFIFAワールドカップ公式テーマ曲に採用され、全世界にその名を知らしめました。

ベルリン・フィルハーモニーやロイヤル・アルバート・ホールなど世界有数の舞台で聴衆を魅了してきた彼の音楽は、「人生のサウンドトラック」として共感と感動を呼び起こします。

愛する都へ ― 憧憬と再生の旅

作曲家・ピアニスト、キリル・リヒターによる新作アルバム『Towards the Beloved City』は、心の奥にある“愛する都”へ向かう旅を描いたピアノ・ワルツ集です。

届かない人を愛した経験、光を失わせる関係からの別れ、自分を愛し直すことで見つけた新たな一歩――。それぞれのワルツには、失われたつながりの痛みや小さな喜び、壊れた心で進む重さ、そして再び「見つめられ、選ばれ、守られる場所」があるという希望が込められています。

リヒターは「この音楽が、人々の孤独な瞬間をそっと支え、共に歩む存在であってほしい」と語ります。詩的で映画的な旋律が、聴く者を憧憬と再生の物語へと誘う作品です。