各界からの応援コメント
数々の洋楽名盤をお届けするフォーエヴァー・ヤング・シリーズを、様々な形で応援してくれる「フォーエヴァー・ヤング・サポーター」の皆さん。
業界にゆかりのある方々から、人生に寄り添い、共に歩んできた一生モノの1枚への想いを綴っていただきました。

9月22日に開催される『ロク漫祭 ~SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊祭り~』への出演で来日するライド!8月にリリースされたヨウガクベストの第三弾シリーズでは、バンドの軌跡をまとめたベスト盤『OX4 - The Best of Ride』も発売され、来日にむけてアルバムを聴き直ししているファンも多いはず。
今回は「わたしのフォーエヴァー・ヤング」特別編として、ライドをシューゲイザー・シーンの代表的バンドとして決定づけた衝撃のデビュー・アルバム『ノーホエア』に寄せられたコメントを紹介いたします。みなさんが彼らの作品を初めて聴いた時の経験を思い出しながら、読んでみてくださいね。
ライド『ノーホエア』
2012年春。当時17才。
ちょっと家に遊びにおいでと、弾き語りをやっていた1つ上の先輩に呼ばれた。
「オリジナル曲は録音しておいたほうが良いよ~」とカセットMTRやマイクなどの宅録機材一式を譲ってくれた。さらに「これも良いから聞いてみて」と渡されたのがオアシスのファースト・アルバムとライドの『ノーホエア』だった。
オアシスはわかるけど、ライド…?と思っていると
「シューゲイザーってジャンルなんだけど、カッコいいよ」と先輩。
「シューゲイザー」ってなんだろう…とさらにクエスチョン・マークが頭に浮かびつつ機材やCDを受け取り帰宅。自分の部屋のコンポで早速再生してみた。
音の隙間を埋めていくかのように、これでもかとギターの轟音が鳴り響くサウンド。
当時の私の感想としては「こんな音楽があるのかー」程度だった。
数年後。棚に置いてあるCDを全部聴き直そう!という自分だけのリバイバル企画を開催した時、再び手にした『ノーホエア』。
1曲目「シーガル」の疾走感、「ドリームス・バーン・ダウン」のダイナミックなドラムやギター・リフ…。リバーブやディレイのかかったなんともいえない浮遊感、それでいてどこか清涼感さえ感じるサウンドに強烈に惹きつけられた。リバイバル企画をやって良かった。
そして2024年夏。フジロックに出演しているライドのステージを配信でみている自分がいた。なんだか12年の時が線で繋がったような感覚だった(…というのは大袈裟ですね)。
ただいつも音楽はその瞬間の記憶を呼び覚ましてくれる。
私はこの『ノーホエア』を聞くたびに17歳の春を、そしてこのCDを渡された先輩の部屋を思い出す。増子先輩、元気かなぁ。
トッティー
AIR-G’FM北海道パーソナリティー

アラニス・モリセット『ジャグド・リトル・ピル』
アラニス・モリセットの「ユー・オウタ・ノウ」を初めて耳にした時の衝撃は、今でも私の音楽人生に深く刻まれています。
彼女がグラミー賞を総なめにする少し前、地元のFM局・FM NORTH WAVEからあのヒリヒリするようなイントロが流れてきた瞬間、私や周りの音楽仲間は一発でノックアウトされました。90年代半ばのグランジ/オルタナ・ロックのトレンド感をまといながら、同時に圧倒的にキャッチーでPOPなメロディ。女性の生々しい感情を激しく吐き出すその斬新なサウンドは、当時のラジオから流れるどの曲よりも異彩を放っていました。
格好いい曲が電波に乗ると、リスナーも一気に燃え上がる情熱の時代。居ても立ってもいられなくなり、その足で走ったのが、今はなきヴァージン・メガストア札幌店です。お店に飛び込むと、なんと洋楽担当のスタッフさんもあの刺激的な音にノリノリで、大々的な特設コーナーを展開している真っ最中でした。「やっぱりみんなこの時代の最先端の音にヤラれてるんだ!」と、言葉にできないほど嬉しくなったのを鮮明に思い出します。
ラジオが提示する時代の最先端のカッコよさに惹かれ、CDショップの熱い展開にワクワクさせられる。あの爆発的なヒットは、ただのブームではなく、売り手と買い手が音楽の純粋なエナジーでガッチリと繋がった結果でした。
サブスク全盛の今だからこそ、あの頃に五感で体験した熱狂をもう一度味あわせてくれる「フォーエヴァー・ヤング」での再発は、胸が熱くなる最高の音楽体験です。
札幌在住の小林くん

アン・ヴォーグ『ファンキー・ディヴァス』
1992年
自分にとっては完全なる後追い作品である。
今、私がいる放送局から90年代後期に、
今で言う90年代R&Bクラシックがヘビー・プレイされていて、
当時はイン・シンクやテイク・ザット、ボーイズⅡメンなどのボーイズ・グループやコーラス・グループの曲をラジオから聞こえてきてはメモをして集めていた。
そんな中で特にハマったのがニュー・ジャック・スウィングという80年代後半から90年代前半にかけて世界中で大ブームを巻き起こした跳ねたビート。
そこで出会ったアン・ヴォーグ。
その中でも特に90年代R&Bを代表する名盤のひとつと思って1枚取り上げたいのが
『ファンキー・ディヴァス』
1曲目、ど頭はトークから始まり、やや雑に4人の歌声が重なっていく。
まるで本番前のリハーサルの楽屋だ。
目を閉じると楽屋からステージに上がっていく4人の姿が見えた。
ビタビタにあわせたハーモニーとソウルフルでグルーヴ感のある歌唱。
まるで自宅ステレオの前はライヴ・ハウスかクラブかと思うくらいフロアライクな曲が続く。
ただ、踊れるトラックだけが続くわけではなく、ロックの要素も取り入れた「フリー・ユア・マインド」は、「見た目や偏見で人を判断するな」という当時としてはかなり先進的な社会的なメッセージも詰まった楽曲も収録されていた。
自立した女性像や自己表現を力強く打ち出したアルバムは、当時ガールズ・グループの枠を超えていたようにも感じる。
言うまでもなく後にでてくるTLCやデスティニーズ・チャイルドなどに大きな影響を与えたことでしょう。
こうして改めて想いを巡らせながら、2026年の今、『ファンキー・ディヴァス』をプレイする。 あの頃と何ひとつ変わらない。
自然と体がリズムを刻み、気づけば音に身を委ねている。
どうやら、このアルバムとはまだしばらく長い付き合いになりそうだ。
DJカツノリ
FM NORTH WAVE
マドンナ『MUSIC』
母のことを思い出す時、必ずマドンナが浮かぶ。
母が好きなものは、マドンナ以外に知らなかった。それくらい、マドンナは母の一部だった。ライヴに行ってはお土産を買ってきた。あるとき持ち帰ってきたのは、胸の前にマドンナの顔がでかでかとプリントされたタンクトップ。さすがマドンナと思わず言いたくなるほど派手で、今も大事に持っているけれど、一度も着られていない。
そのタンクトップは今、形見になった。
このアルバムは、母が一番よく聴いていた一枚だった。
だから私にとって『MUSIC』は、音楽としての評価よりも先に、母の気配がする。当時5歳の私を送り迎えしてくれた車の中でかかっていたり、母が家事をしている時にも生活の一部のようにかかっていた。あの頃は曲の意味もよくわからないまま、ただ耳に馴染んでいた。
大人になってから、改めてこのアルバムを聴いた。クールなエレクトロと温かみのあるカントリーが違和感なく混ざり合う、あの自由なサウンド。マドンナがこんなにも「遊んでいた」ことに、今さら気づく。もしかしたら、母はそういうところが好きだったのかもしれない。枠にはまらないその姿に、何かを重ねていたのかもしれない。
きっと世界中に、それぞれのマドンナがいる。それぞれの『MUSIC』がある。
私は聴くたびに、母のことを考える作品である。
ちゃぼ
ラジオDJ・タレント
FM NORTH WAVE