Feature

「わたしのフォーエヴァー・ヤング⑤」

各界からの応援コメント

数々の洋楽名盤をお届けするフォーエヴァー・ヤング・シリーズを、様々な形で応援してくれる「フォーエヴァー・ヤング・サポーター」の皆さん。
業界にゆかりのある方々から、人生に寄り添い、共に歩んできた一生モノの1枚への想いを綴っていただきました。

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アラニス・モリセット『ジャグド・リトル・ピル』

アラニス・モリセットの「ユー・オウタ・ノウ」を初めて耳にした時の衝撃は、今でも私の音楽人生に深く刻まれています。
彼女がグラミー賞を総なめにする少し前、地元のFM局・FM NORTH WAVEからあのヒリヒリするようなイントロが流れてきた瞬間、私や周りの音楽仲間は一発でノックアウトされました。90年代半ばのグランジ/オルタナ・ロックのトレンド感をまといながら、同時に圧倒的にキャッチーでPOPなメロディ。女性の生々しい感情を激しく吐き出すその斬新なサウンドは、当時のラジオから流れるどの曲よりも異彩を放っていました。
格好いい曲が電波に乗ると、リスナーも一気に燃え上がる情熱の時代。居ても立ってもいられなくなり、その足で走ったのが、今はなきヴァージン・メガストア札幌店です。お店に飛び込むと、なんと洋楽担当のスタッフさんもあの刺激的な音にノリノリで、大々的な特設コーナーを展開している真っ最中でした。「やっぱりみんなこの時代の最先端の音にヤラれてるんだ!」と、言葉にできないほど嬉しくなったのを鮮明に思い出します。
ラジオが提示する時代の最先端のカッコよさに惹かれ、CDショップの熱い展開にワクワクさせられる。あの爆発的なヒットは、ただのブームではなく、売り手と買い手が音楽の純粋なエナジーでガッチリと繋がった結果でした。
サブスク全盛の今だからこそ、あの頃に五感で体験した熱狂をもう一度味あわせてくれる「フォーエヴァー・ヤング」での再発は、胸が熱くなる最高の音楽体験です。

札幌在住の小林くん

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アン・ヴォーグ『ファンキー・ディヴァス』

1992年
自分にとっては完全なる後追い作品である。
今、私がいる放送局から90年代後期に、
今で言う90年代R&Bクラシックがヘビー・プレイされていて、
当時はイン・シンクやテイク・ザット、ボーイズⅡメンなどのボーイズ・グループやコーラス・グループの曲をラジオから聞こえてきてはメモをして集めていた。

そんな中で特にハマったのがニュー・ジャック・スウィングという80年代後半から90年代前半にかけて世界中で大ブームを巻き起こした跳ねたビート。
そこで出会ったアン・ヴォーグ。
その中でも特に90年代R&Bを代表する名盤のひとつと思って1枚取り上げたいのが
『ファンキー・ディヴァス』
1曲目、ど頭はトークから始まり、やや雑に4人の歌声が重なっていく。
まるで本番前のリハーサルの楽屋だ。
目を閉じると楽屋からステージに上がっていく4人の姿が見えた。
ビタビタにあわせたハーモニーとソウルフルでグルーヴ感のある歌唱。
まるで自宅ステレオの前はライヴ・ハウスかクラブかと思うくらいフロアライクな曲が続く。

ただ、踊れるトラックだけが続くわけではなく、ロックの要素も取り入れた「フリー・ユア・マインド」は、「見た目や偏見で人を判断するな」という当時としてはかなり先進的な社会的なメッセージも詰まった楽曲も収録されていた。
自立した女性像や自己表現を力強く打ち出したアルバムは、当時ガールズ・グループの枠を超えていたようにも感じる。
言うまでもなく後にでてくるTLCやデスティニーズ・チャイルドなどに大きな影響を与えたことでしょう。

こうして改めて想いを巡らせながら、2026年の今、『ファンキー・ディヴァス』をプレイする。 あの頃と何ひとつ変わらない。
自然と体がリズムを刻み、気づけば音に身を委ねている。
どうやら、このアルバムとはまだしばらく長い付き合いになりそうだ。

DJカツノリ
FM NORTH WAVE

マドンナ『MUSIC』 

母のことを思い出す時、必ずマドンナが浮かぶ。

母が好きなものは、マドンナ以外に知らなかった。それくらい、マドンナは母の一部だった。ライヴに行ってはお土産を買ってきた。あるとき持ち帰ってきたのは、胸の前にマドンナの顔がでかでかとプリントされたタンクトップ。さすがマドンナと思わず言いたくなるほど派手で、今も大事に持っているけれど、一度も着られていない。
そのタンクトップは今、形見になった。

このアルバムは、母が一番よく聴いていた一枚だった。

だから私にとって『MUSIC』は、音楽としての評価よりも先に、母の気配がする。当時5歳の私を送り迎えしてくれた車の中でかかっていたり、母が家事をしている時にも生活の一部のようにかかっていた。あの頃は曲の意味もよくわからないまま、ただ耳に馴染んでいた。

大人になってから、改めてこのアルバムを聴いた。クールなエレクトロと温かみのあるカントリーが違和感なく混ざり合う、あの自由なサウンド。マドンナがこんなにも「遊んでいた」ことに、今さら気づく。もしかしたら、母はそういうところが好きだったのかもしれない。枠にはまらないその姿に、何かを重ねていたのかもしれない。

きっと世界中に、それぞれのマドンナがいる。それぞれの『MUSIC』がある。
私は聴くたびに、母のことを考える作品である。

ちゃぼ
ラジオDJ・タレント
FM NORTH WAVE