Gary Clark Jr.ゲイリー・クラーク・ジュニア

Discography

This Land / ディス・ランド

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This Land / ディス・ランド

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  • CD

2019.03.01 発売2,420(税込)WPCR-18182

数々のレジェンドとステージをともにし、その類稀なる才とテクニックを以て世界中のファンを魅了してきた、「選ばれし者」-- ゲイリー・クラーク・Jr、最新作!
新世紀のレジェンドへの旅路を着実に歩みはじめた彼の待望のスタジオ・アルバム。ファンク、R&B、そして現代的でモダンな息吹を取り入れ、トラディショナルなブルーズをゲイリー・カラーに染め上げた会心作!
映画「ジャスティス・リーグ」のエンディング・テーマに「カム・トゥゲザー」が選出されるなど、絶えず音源を供給してきたが、2015年『サニー・ボーイ・スリムの物語』以来となるスタジオ・アルバムをついにリリース!

「この土地はもうダメだって?…ここはもう俺の物だ。分かったな。」
自分の縄張りを主張するような勢いで迫るゲイリー・クラーク・ジュニアの新作タイトル・トラック、「ディス・ランド」。
テキサスで生まれ育った彼は、家族が初めてそこへ引っ越した際に周りの住人から向けられた、疑うような鋭いまなざしを忘れない。彼の人種はここに住んではいけない、そう言い放たれる周りの声を無視し、挑戦していった彼の過去は現在の音楽性に大きな影響を与えている。

ゲイリーの通算3枚目となるスタジオ・アルバム『ディス・ランド』は、彼の豊富なレパートリーが披露された快作だ。ハード・ロックの源流とされるクリームに影響を受けたゲイリーは、めまぐるしい進化を得て、今ではジャック・ホワイト、ジョン・メイヤー、そして亡きプリンスらと並ぶ、ロック・ミュージシャンの最後の末裔者だとも評される。今作『ディス・ランド』は、マディー・ウォーターズやチャイルディッシュ・ガンビーノ、そしてマーヴィン・ゲイに敬意を示したソウル・アルバムでもある。
ゲイリーは、前述のマーヴィン・ゲイが「ホワッツ・ゴーイン・オン」や「サイン・オール・ザ・タイムズ」を通して訴えていた社会への問題提起姿勢にインスピレーションを受け、今作『ディス・ランド』ではその影響を明らかに色濃く受けているといえるだろう。表題曲「ディス・ランド」では、ゲイリーの家族がかつて移住した先で差別を受けたという、その周りの住人に対して、彼が感じた怒りとパラノイアを表す。「若いやつらが乗っ取るぜ」と繰り替えし歌うのは「ホワット・アバウト・アス」。複数の収録曲に登場する架空のキャラクター、ミスター・ウィリアムズに対するメッセージだ。このキャラクターのモデルは定かではないが、同じく過去に差別を受けたという隣人たちのボス、あるいはゲイリーが不要だと考える政治界のとある人物の可能性がある。理解をしてほしいと強く懇願する「フィード・ザ・ベイビーズ」は力強く攻める「ディス・ランド」とは対照的だ。

 家族と仕事の両立の難しさについて触れている今作は、今までより更にパーソナルな作品になっている。「パール・カディラック」では献身的に尽くしてきた母親に感謝を告げ、「ウェン・アイム・ゴーン」では自身の子供の旅の支度をする父親としての気持ちを表す。そして「ギター・マン」では、自分の「パスポートに増えてゆくスタンプ」の数を仕事柄多くなる旅の回数と比較し、家族と過ごす時間がどんどん仕事に取られていく恐怖を歌う。ピーター・トッシュのようなレゲエで始まり、アリーナ・ロック・アンセムで終わる「フィール・ライク・ア・ミリオン」は、「金曜の夜、給料が払われた/喧嘩を探しにいくぜ」という歌詞が印象的だ。バラード曲「ドント・ウェイト・ティル・トゥモロウ」」では妻に浮気がばれ、許してくれと懇願する、とある男のストーリーを歌う。「暗闇は俺のコンフォート・ゾーンだ」と、強情な自分との闘いを描くのは「ロウ・ダウン・ローリング・ストーン」。アンサンブルにトランペットを加え、「全員殺せ!」とゲイリーが繰り返す「ガット・トゥ・ゲット・アップ」は、ロックに祈りをささげるマントラだ。そして「ゴッタ・ゲット・イントゥー・サムシング」は、チャック・ベリーの影響を受けつつも、ラモーンズにも通じる怒りのパンクとロックン&ロールをまき散らす。

 彼は幼い頃からブルーズを愛し、ヒップホップ好きな友人らに感化され、ジャズを聴きにパイントップ・パーキンズのコンサートに足を運んでいた。 「オースティン・シティー・リミッツを見た時、始めて様々な音楽スタイルを目にしたんだ。クラプトン、バディー・ガイ、B・B・キング、ボニー・レイト、ジミー・ヴァウガン、そしてロバート・クレイ。」彼は言う。「ブルーズでもロックンロールでも、力強いギター・ソロではじまる曲ならなんでも好きになったんだ。そして様々なジャンルの音楽をどんどん聞いていくうちに、俺はアルバート・キング、フレディ・キング、そしてB・B・キングと、三つのキングの曲が一番心に響いたんだ。」
早くからギターの神童として早くからオースティンの音楽シーンに迎えいれられたゲイリーは、その後有名なブルース・クラブ・オーナーのクリフォード・アントンの庇護を受け、大物ミュージシャンと一緒のステージに立つ様になったという。
2010年、ゲイリーはオースティンのローカル・レジェンドとして知られるドイル・ブラムホールに連れられ、エリック・クラプトンに会いにクロスロードフェスティバルに行き、彼やシェリル・クロウと共にステージに立つ。その一年後にはワーナー・ブラザーズを通してデビュー作「ブライト・ライツEP」をリリース。EPとしては初のリード・レビューを米ローリング・ストーン誌で獲得。「21世紀まれにみる真のブルーズ・マンだ。彼のような才能を持つ人物は21世紀の時計師を見つけるぐらい困難だ。」と評されている。

2012年にリリースしたデビュー・アルバム『ブラック・アンド・ブルー』の収録曲「エイント・メッシン・アラウンド」は2年続けてグラミー賞にノミネートされ、2014年には「プリーズ・カム・ホーム」でベスト・トラディッショナル・R&B・パフォーマンス部門を受賞。彼は他にもB・B・キング、ジェフ・バック、バディー・ガイらとともにホワイト・ハウスでオバマの前でパフォーマンスを披露したり、ビートルズのヒット曲をデイヴ・グロールやジョー・ワルシュと共にカバーしたり、エド・シーランやビヨンセと共にスティーヴィー・ワンダーのトリビュート・カバーを披露したりと、数々の異例な経歴を持っている。またチャイルディッシュ・ガンビーノのアルバム収録曲「ザ・ナイト・ミー・アンド・ユア・ママ・メット」ではガンビーノと共に手掛けた歌詞とギターを披露。2017年度に行われ、亡きトム・ペティ&ザ・ハート・ブレーカーズを称えた慈善コンサートMusicareでは、フー・ファイターズとステージを共にし、大いに観客を盛り上げた。

 独自の壮大な世界観で、かのオバマ元大統領を魅了したゲイリー、2017年に彼がリリースしたサマー・プレイリストの一曲に選ばれ、「音楽の未来」と称賛される。もはやそれ以上の功績は無いだろう。『ディス・ランド』では、エレクトロニック・ミュージックとアフリカン・アメリカンを融合し、ジャンルを飛び越えた「音楽の未来」を世界に見せつけている。それは彼だけが挑める、未知の領域なのであろう。
 
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