Joni Mitchellジョニ・ミッチェル
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ミュージシャンズ・ミュージシャン、ジョニ・ミッチェルのグラミー賞受賞歴を誇るアーカイヴ・シリーズ第三弾、『アーカイヴス Vol. 3: アサイラム・イヤーズ (1972-1975)』が10月にリリース決定。輸入盤国内仕様となる日本盤5枚組CDボックスは、10月25日に発売!
2023.8.25
時代や地域を超えて、多くの音楽ファン/ミュージシャンから変わらぬ共感と尊敬を集める女性シンガー・ソングライターの最高峰、ジョニ・ミッチェル。グラミー賞受賞歴を誇る、彼女の音楽的キャリアを俯瞰する壮大なプロジェクト”ジョニ・ミッチェル・アーカイヴ”の最新作が遂に登場することとなった。
シリーズ第三弾となる今作『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』は、彼女がAsylum Recordsに移籍し、デビューからその才能と前衛的な音楽的アプローチで時代の寵児となった彼女の才能が目覚ましく花開いていった1972年から1975年の3年間にフォーカスした作品となっている。今回も、過去発表されることのなかったデモ・ヴァージョンやライヴ音源といったレア音源が多数収録されており、ジョニ・ミッチェルと長年の友人でもあるキャメロン・クロウとの対談形式による詳細なライナーノーツや貴重な写真を掲載した豪華ブックレットが同梱されている。
1972年になると、ジョニ・ミッチェルの類まれなソングライティングと詩作における天賦の才能は明らかなものとなっていた。1970年発表の『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』と1971年発表の『ブルー』と、2作連続でプラチナム・ディスクを獲得したばかりのジョニは、その芸術性と普遍性で後世のソングライターたちに大きな影響を与える記念碑的な作品をリリースする一方で、高まるメディアの関心に警戒心を募らせていた。スタイルの選択やロマンチックなパートナーに至るまで、彼女にまつわる様々なことがゴシップ・コラムで多く取り上げられるようになっていたのだ。
それに対して、ジョニは表舞台から身を引き、1970年にステージから早々と引退することを発表し、ブリティッシュ・コロンビアのサンシャイン・コーストの静かで広大な土地に引っ越しをした。それは、実りある生活環境の変化であった。身近な自然からインスピレーションを受け、静かな隠遁生活でリフレッシュしたジョニは、後に『バラにおくる(原題: For The Roses)』に収録されることになる楽曲たちを作り始めた。この休息が、ジョニを目覚ましく創造力に富んだ創作期間へと押し出し、1972年発表の『バラにおくる』、1974年発表の『コート・アンド・スパーク』、そして1975年発表の『夏草の誘い(原題: The Hissing Of Summer Lawns)』など、彼女の音楽性を広げると同時にさらに洗練された一連のアルバムたちを生み出していったのだ。彼女の冒険的かつ複雑なアレンジ、そしてバンド・リーダーとしての存在感が大きく育まれ、こういった要素が、楽曲たちにその意義を際立たせ、潜在的な力強さと可能性を与えていった。これは、ほぼ無双と言えるキャリアの中でも、最もエキサイティングな時代の1つであると言えるだろう。
海外では2023年10月6日に、そして日本では10月25日に発売となる『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』では、この時代がさらに大きくフォーカスされている。本作は、膨大かつ未開拓となっていたジョニの貴重なスタジオ音源のアーカイヴを探索する、グラミー賞受賞シリーズの最新作となるもので、ジョニ自身のビジョンとパーソナルな手法によって密接に編纂されたプロジェクトである。『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』は、輸入盤国内仕様の日本盤としてもリリースされる5枚組CDのセットに加え、輸入盤のみの発売となるカット・ダウン・ヴァージョンの4枚組アナログ盤、そしてデジタル作品としてもリリースされる。また、今までのシリーズ同様、この時代の貴重な写真の数々や、ジョニ・ミッチェルと長年の友人のキャメロン・クロウとの対談が掲載されたブックレットが同梱となる。
2022年のグラミー賞で最優秀ヒストリカル・アルバム賞を受賞した、シリーズ第一弾となる『アーカイヴス Vol.1:アーリー・イヤーズ(1963-1967)』、そして第二弾となる『アーカイヴス Vol.2:リプリーズ・イヤーズ(1968−1971)』と同様、この第三弾作品は、充実した内容を誇っている。このコレクションは、ハリウッドのウォーリー・ハイダー・スタジオで行われていたグラハム・ナッシュとデイヴィッド・クロスビーとのレコーディング・セッションを訪れた際に試験的にレコーディングされた「コールド・ブルー・スティール」と「バラにおくる」の初期のカットで幕を開ける。
その後も、『バラにおくる』や『コート・アンド・スパーク』、そして『夏草の誘い』といったアルバム制作時に行われていた様々なセッションから、初期デモ音源や別ヴァージョンといった貴重な音源の数々が収録されている。その中には、ジョニのキャリアにおいて金字塔となった1972年に開催のカーネギー・ホールでの堂々たる凱旋公演を行った際の全曲のライヴ音源や、『コート・アンド・スパーク』でもバック・バンドを務めたトム・スコット&L.A.エクスプレスを従えた決定的なギグを含む、様々なライヴ・パフォーマンス音源も収録されている。さらに、ジェイムス・テイラーやグラハム・ナッシュ、ニール・ヤングとセッションを行った際の楽曲も、このコレクションで聴くことができる。
現在、このコレクションにも収録されている、ジョニ・ミッチェル最大のチャート記録とラジオ・ヒットを誇る『コート・アンド・スパーク』に収録されている楽曲、「ヘルプ・ミー」の初期のデモ音源が公開されている。オフィシャル・ヴァージョンはきちんと作り込まれ洗練された形となっているが、この新たな未発表デモ音源は、楽曲が生まれたばかりのオリジナルの姿を聴くことができる。
今年後半の80歳の誕生日が近づくにつれ、ジョニ・ミッチェルは生命力と自身の音楽への共鳴を再認識している。先月、2022年に開催されたニューポート・フォーク・フェスティヴァルでの素晴らしい帰還のパフォーマンスを祝ったライヴ・アルバム『ジョニ・ミッチェル・アット・ニューポート』を発表した。ピッチフォークは、「喜ばしき驚きと奇跡の瞬間」とアルバムを評し、NPRミュージックは「パフォーマンスを通して彼女の功績を再認識し、若いミュージシャン達が、いかにして彼女の創造性と大胆な解釈を未来へ引き継いでいくかを物語った」とコメントしている。
6月にジョニは、ワシントン州クインシーのゴージ・アンフィシアターを会場にソールド・アウトとなった、20年ぶりのチケット販売による公演を開催した。ローリング・ストーン誌は、「まさに我々が切望するヒューマン・スピリットによる大勝利…ジョニ・ミッチェルの命と回復力への力強いセレブレーション」と称賛している。
▼先行配信曲「ヘルプ・ミー」デモ音源と商品の予約はこちら:
https://WarnerMusicJapan.lnk.to/JM_archives3_TAY
【リリース情報】
<日本盤>
ジョニ・ミッチェル 『アーカイヴス Vol. 3: アサイラム・イヤーズ (1972-1975)』 (CD5枚組)
2023年10月25日発売 定価12,100円 (税抜11,000円)(WPCR-18635/18639)
輸入盤国内仕様 解説・歌詞・対訳 付
<輸入盤&デジタル配信>
『Joni Mitchell Archives, Vol. 3: The Asylum Years (1972-1975)』 (アナログ4枚組)
2023年10月6日発売
【日本盤収録曲】
CD1:
グラハム・ナッシュ デイヴィッド・クロスビー セッション
(ウォーリー・ハイダー・スタジオ、ハリウッド、CA、1971年12月13日)
01. Cold Blue Steel And Sweet Fire / コールド・ブルー・スティール
02. For The Roses / バラにおくる
『バラにおくる』デモ
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1971年後期 / 1972年初期)
03. Banquet / 宴
04. Lesson In Survival / レッスン・イン・サヴァイヴァル
05. Like Veils Said Lorraine / ライク・ヴェイルズ・セッド・ロレーヌ
06. See You Sometime / シー・ユー・サムタイム
ライヴ・アット・カーネギー・ホール
(ニューヨーク、1972年2月23日)
07. This Flight Tonight / ディス・フライト・トゥナイト
08. Electricity / エレクトリシティ
09. Cold Blue Steel And Sweet Fire / コールド・ブルー・スティール
10. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
11. Blue / ブルー
12. For Free / フォー・フリー
13. Banquet / 宴
14. All I Want / オール・アイ・ウォント
15. Intro to A Case Of You / イントロ
16. A Case Of You / ア・ケイス・オブ・ユー
17. Intro to Carey / イントロ
18. Carey / ケアリー
19. Lesson In Survival / レッスン・イン・サヴァイヴァル
20. Woodstock / ウッドストック
21. Intro to You Turn Me On I’m A Radio / イントロ
22. You Turn Me On I’m A Radio / 恋するラジオ
23. Intro to For The Roses / イントロ
24. For The Roses / バラにおくる
CD2:
ライヴ・アット・カーネギー・ホール
(ニューヨーク、1972年2月23日)
01. Both Sides Now / 青春の光と影
02. My Old Man / マイ・オールド・マン
03. Intro to The Circle Game / イントロ
04. The Circle Game / サークル・ゲーム
『バラにおくる』アーリー・セッション
(ウォーリー・ハイダー・スタジオ、ハリウッド、CA、1972年4月16~21日)
05. Medley: Bony Moronie/Summertime Blues/You Never Can Tell - with James Taylor / メドレー:ボニー・モロニ―/サマータイム・ブルース/ユー・ネヴァー・キャン・テル(ウィズ・ジェイムズ・テイラー)
06. Electricity - with James Taylor / エレクトリシティ(ウィズ・ジェイムズ・テイラー)
07. You Turn Me On I’m A Radio - with Neil Young & The Stray Gators / 恋するラジオ(ウィズ・ニール・ヤング&ザ・ストレイ・ゲイターズ)
08. See You Sometime (early version with bass & drums) / シー・ユー・サムタイム(アーリー・ヴァージョン)
09. You Turn Me On I’m A Radio (early version with bass & drums) / 恋するラジオ(アーリー・ヴァージョン)
ライヴ・アット・ロイヤル・フェスティバル・ホール
(ロンドン、イングランド、1972年5月5日)
10. Intro to Judgement Of The Moon And Stars (Ludwig’s Tune) / イントロ
11. Judgement Of The Moon And Stars (Ludwig’s Tune) / 月と星の審判
『バラにおくる』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1972年7~8月)
12. Blonde In The Bleachers (alternate guitar mix) / ブロンド・イン・ザ・ブリーチャーズ(オルタネイト・ギター・ミックス)
13. Let The Wind Carry Me (piano/vocal mix) / レット・ザ・ウィンド・キャリー・ミー(ピアノ/ヴォーカル・ミックス)
14. Barangrill (guitar/vocal mix) / バラングリル(ギター/ヴォーカル・ミックス)
15. Cold Blue Steel And Sweet Fire (sax guide vocal) / コールド・ブルー・スティール(サックス・ガイド・ヴォーカル)
16. Sunrise Raga / サンライズ・ラガ
17. Twisted (early alternate version) / トゥイステッド(アーリー・オルタネイト・ヴァージョン)
ジェイムス・ベイ・ベネフィット・コンサート
(ポール・ソベー・アレーナ、モントリオール、カナダ、1973年4月15日)
18. Intro to Big Yellow Taxi / イントロ
19. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
CD3:
『コート・アンド・スパーク』デモ
A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1973年夏
01. Piano Suite: / ピアノ組曲:
a. Down To You / あなたのもとへ
b. Court And Spark / コート・アンド・スパーク
c. Car On A Hill / 丘の上の車
d. Down To You / あなたもとへ
02. People’s Parties / 人間模様
03. Help Me / ヘルプ・ミー
04. Just Like This Train / この汽車のように
05. Raised On Robbery / 陽気な泥棒
06. Trouble Child / トラブル・チャイルド
『ワイルド・テイルズ』 (グラハム・ナッシュ) セッション
(ルディ・レコーズ・スタジオ、サンフランシスコ、CA、1973年8月25日)
07. Raised On Robbery (early working version) / 陽気な泥棒(アーリー・ワーキング・ヴァージョン)
08. Raised On Robbery - with Neil Young & The Santa Monica Flyers / 陽気な泥棒(ウィズ・ニール・ヤング&ザ・サンタモニカ・フライヤーズ)
『コート・アンド・スパーク』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1973年9~10月)
09. People’s Parties (early alternate take) / 人間模様(アーリー・オルタネイト・テイク)
10. Trouble Child (early alternate take) / トラブル・チャイルド(アーリー・オルタネイト・テイク)
11. Car On A Hill (early alternate take) / 丘の上の車(アーリー・オルタネイト・テイク)
12. Down To You (alternate version) / あなたのもとへ(オルタネイト・テイク)
13. The Same Situation (alt vocal/piano mix) / 変わらぬ事情(オルタネイト・ヴォーカル/ピアノ・ミックス)
14. Bonderia / ボンデリア
ライヴ・アット・ドロシー・チャンドラー・パビリオン
(ロサンゼルス、CA、1974年3月3日)
15. Introduction / イントロダクション
16. This Flight Tonight - with Tom Scott & The L.A. Express / ディス・フライト・トゥナイト (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
17. You Turn Me On I’m A Radio - with Tom Scott & The L.A. Express / 恋するラジオ (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
18. Free Man In Paris - with Tom Scott & The L.A. Express / パリの自由人 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
19. The Same Situation - with Tom Scott & The L.A. Express / 変わらぬ事情 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
20. Just Like This Train - with Tom Scott & The L.A. Express / この汽車のように (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
CD4:
ライヴ・アット・ドロシー・チャンドラー・パビリオン
(ロサンゼルス、CA、1974年3月3日)
01. Rainy Night House - with Tom Scott & The L.A. Express / レイニー・ナイト・ハウス (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
02. Woodstock - with Tom Scott & The L.A. Express / ウッドストック (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
03. Cactus Tree / さぼてんの木
04. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
05. Intro to People’s Parties / イントロ
06. People’s Parties / 人間模様
07. All I Want / オール・アイ・ウォント
08. A Case Of You / ア・ケイス・オブ・ユー
09. Intro to For The Roses / イントロ
10. For The Roses / バラにおくる
11. Cold Blue Steel And Sweet Fire - with Tom Scott / コールド・ブルー・スティール (ウィズ・トム・スコット)
12. Blue / ブルー
13. For Free - with Tom Scott / フォー・フリー (ウィズ・トム・スコット)
14. Trouble Child - with Tom Scott & The L.A. Express / トラブル・チャイルド (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
15. Help Me - with Tom Scott & The L.A. Express / ヘルプ・ミー (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
16. Car On A Hill - with Tom Scott & The L.A. Express / 丘の上の車 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
CD5:
ライヴ・アット・ニュー・ヴィクトリア・シアター
(ロンドン、イングランド、1974年4月22日)
01. Intro to Jericho / イントロ
02. Jericho / ジェリコ
ライヴ・アット・ウェンブリー・スタジアム
(ロンドン、イングランド、1974年9月14日)
03. Woman Of Heart And Mind / ウーマン・オブ・ハート・アンド・マインド
『夏草の誘い』デモ
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1975年)
04. In France They Kiss On Main Street / フランスの恋人たち
05. Edith And The Kingpin / イーディスと親玉
06. Don’t Interrupt The Sorrow / 悲しみはともだち
07. Shades Of Scarlet Conquering / 美しい誘惑者
08. The Boho Dance / ボーホー・ダンス
09. Harry’s House / ハリーの家
10. Dreamland / ドリームランド
『夏草の誘い』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1975年)
11. In France They Kiss On Main Street (alternate version) / フランスの恋人たち(オルタネイト・ヴァージョン)
12. The Jungle Line (guitar/alternate vocal) / ジャングル・ライン(ギター/オルタネイト・ヴォーカル)
13. Edith And The Kingpin (alternate version) / イーディスと親玉(オルタネイト・ヴァージョン)
14. Don’t Interrupt The Sorrow (alternate version) / 悲しみはともだち(オルタネイト・ヴァージョン)
15. Shades Of Scarlet Conquering (alternate version) / 美しい誘惑者(オルタネイト・ヴァージョン)
16. The Boho Dance (alternate version) / ボーホー・ダンス(オルタネイト・ヴァージョン)
17. Dreamland (early alternate band version) / ドリームランド(アーリー・オルタネイト・バンド・ヴァージョン)
©Joel Bernstein
シリーズ第三弾となる今作『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』は、彼女がAsylum Recordsに移籍し、デビューからその才能と前衛的な音楽的アプローチで時代の寵児となった彼女の才能が目覚ましく花開いていった1972年から1975年の3年間にフォーカスした作品となっている。今回も、過去発表されることのなかったデモ・ヴァージョンやライヴ音源といったレア音源が多数収録されており、ジョニ・ミッチェルと長年の友人でもあるキャメロン・クロウとの対談形式による詳細なライナーノーツや貴重な写真を掲載した豪華ブックレットが同梱されている。
1972年になると、ジョニ・ミッチェルの類まれなソングライティングと詩作における天賦の才能は明らかなものとなっていた。1970年発表の『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』と1971年発表の『ブルー』と、2作連続でプラチナム・ディスクを獲得したばかりのジョニは、その芸術性と普遍性で後世のソングライターたちに大きな影響を与える記念碑的な作品をリリースする一方で、高まるメディアの関心に警戒心を募らせていた。スタイルの選択やロマンチックなパートナーに至るまで、彼女にまつわる様々なことがゴシップ・コラムで多く取り上げられるようになっていたのだ。
それに対して、ジョニは表舞台から身を引き、1970年にステージから早々と引退することを発表し、ブリティッシュ・コロンビアのサンシャイン・コーストの静かで広大な土地に引っ越しをした。それは、実りある生活環境の変化であった。身近な自然からインスピレーションを受け、静かな隠遁生活でリフレッシュしたジョニは、後に『バラにおくる(原題: For The Roses)』に収録されることになる楽曲たちを作り始めた。この休息が、ジョニを目覚ましく創造力に富んだ創作期間へと押し出し、1972年発表の『バラにおくる』、1974年発表の『コート・アンド・スパーク』、そして1975年発表の『夏草の誘い(原題: The Hissing Of Summer Lawns)』など、彼女の音楽性を広げると同時にさらに洗練された一連のアルバムたちを生み出していったのだ。彼女の冒険的かつ複雑なアレンジ、そしてバンド・リーダーとしての存在感が大きく育まれ、こういった要素が、楽曲たちにその意義を際立たせ、潜在的な力強さと可能性を与えていった。これは、ほぼ無双と言えるキャリアの中でも、最もエキサイティングな時代の1つであると言えるだろう。
海外では2023年10月6日に、そして日本では10月25日に発売となる『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』では、この時代がさらに大きくフォーカスされている。本作は、膨大かつ未開拓となっていたジョニの貴重なスタジオ音源のアーカイヴを探索する、グラミー賞受賞シリーズの最新作となるもので、ジョニ自身のビジョンとパーソナルな手法によって密接に編纂されたプロジェクトである。『アーカイヴス Vol.3:アサイラム・イヤーズ(1972-1975)』は、輸入盤国内仕様の日本盤としてもリリースされる5枚組CDのセットに加え、輸入盤のみの発売となるカット・ダウン・ヴァージョンの4枚組アナログ盤、そしてデジタル作品としてもリリースされる。また、今までのシリーズ同様、この時代の貴重な写真の数々や、ジョニ・ミッチェルと長年の友人のキャメロン・クロウとの対談が掲載されたブックレットが同梱となる。
2022年のグラミー賞で最優秀ヒストリカル・アルバム賞を受賞した、シリーズ第一弾となる『アーカイヴス Vol.1:アーリー・イヤーズ(1963-1967)』、そして第二弾となる『アーカイヴス Vol.2:リプリーズ・イヤーズ(1968−1971)』と同様、この第三弾作品は、充実した内容を誇っている。このコレクションは、ハリウッドのウォーリー・ハイダー・スタジオで行われていたグラハム・ナッシュとデイヴィッド・クロスビーとのレコーディング・セッションを訪れた際に試験的にレコーディングされた「コールド・ブルー・スティール」と「バラにおくる」の初期のカットで幕を開ける。
その後も、『バラにおくる』や『コート・アンド・スパーク』、そして『夏草の誘い』といったアルバム制作時に行われていた様々なセッションから、初期デモ音源や別ヴァージョンといった貴重な音源の数々が収録されている。その中には、ジョニのキャリアにおいて金字塔となった1972年に開催のカーネギー・ホールでの堂々たる凱旋公演を行った際の全曲のライヴ音源や、『コート・アンド・スパーク』でもバック・バンドを務めたトム・スコット&L.A.エクスプレスを従えた決定的なギグを含む、様々なライヴ・パフォーマンス音源も収録されている。さらに、ジェイムス・テイラーやグラハム・ナッシュ、ニール・ヤングとセッションを行った際の楽曲も、このコレクションで聴くことができる。
現在、このコレクションにも収録されている、ジョニ・ミッチェル最大のチャート記録とラジオ・ヒットを誇る『コート・アンド・スパーク』に収録されている楽曲、「ヘルプ・ミー」の初期のデモ音源が公開されている。オフィシャル・ヴァージョンはきちんと作り込まれ洗練された形となっているが、この新たな未発表デモ音源は、楽曲が生まれたばかりのオリジナルの姿を聴くことができる。
今年後半の80歳の誕生日が近づくにつれ、ジョニ・ミッチェルは生命力と自身の音楽への共鳴を再認識している。先月、2022年に開催されたニューポート・フォーク・フェスティヴァルでの素晴らしい帰還のパフォーマンスを祝ったライヴ・アルバム『ジョニ・ミッチェル・アット・ニューポート』を発表した。ピッチフォークは、「喜ばしき驚きと奇跡の瞬間」とアルバムを評し、NPRミュージックは「パフォーマンスを通して彼女の功績を再認識し、若いミュージシャン達が、いかにして彼女の創造性と大胆な解釈を未来へ引き継いでいくかを物語った」とコメントしている。
6月にジョニは、ワシントン州クインシーのゴージ・アンフィシアターを会場にソールド・アウトとなった、20年ぶりのチケット販売による公演を開催した。ローリング・ストーン誌は、「まさに我々が切望するヒューマン・スピリットによる大勝利…ジョニ・ミッチェルの命と回復力への力強いセレブレーション」と称賛している。
▼先行配信曲「ヘルプ・ミー」デモ音源と商品の予約はこちら:
https://WarnerMusicJapan.lnk.to/JM_archives3_TAY
【リリース情報】
<日本盤>
ジョニ・ミッチェル 『アーカイヴス Vol. 3: アサイラム・イヤーズ (1972-1975)』 (CD5枚組)
2023年10月25日発売 定価12,100円 (税抜11,000円)(WPCR-18635/18639)
輸入盤国内仕様 解説・歌詞・対訳 付
<輸入盤&デジタル配信>
『Joni Mitchell Archives, Vol. 3: The Asylum Years (1972-1975)』 (アナログ4枚組)
2023年10月6日発売
【日本盤収録曲】
CD1:
グラハム・ナッシュ デイヴィッド・クロスビー セッション
(ウォーリー・ハイダー・スタジオ、ハリウッド、CA、1971年12月13日)
01. Cold Blue Steel And Sweet Fire / コールド・ブルー・スティール
02. For The Roses / バラにおくる
『バラにおくる』デモ
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1971年後期 / 1972年初期)
03. Banquet / 宴
04. Lesson In Survival / レッスン・イン・サヴァイヴァル
05. Like Veils Said Lorraine / ライク・ヴェイルズ・セッド・ロレーヌ
06. See You Sometime / シー・ユー・サムタイム
ライヴ・アット・カーネギー・ホール
(ニューヨーク、1972年2月23日)
07. This Flight Tonight / ディス・フライト・トゥナイト
08. Electricity / エレクトリシティ
09. Cold Blue Steel And Sweet Fire / コールド・ブルー・スティール
10. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
11. Blue / ブルー
12. For Free / フォー・フリー
13. Banquet / 宴
14. All I Want / オール・アイ・ウォント
15. Intro to A Case Of You / イントロ
16. A Case Of You / ア・ケイス・オブ・ユー
17. Intro to Carey / イントロ
18. Carey / ケアリー
19. Lesson In Survival / レッスン・イン・サヴァイヴァル
20. Woodstock / ウッドストック
21. Intro to You Turn Me On I’m A Radio / イントロ
22. You Turn Me On I’m A Radio / 恋するラジオ
23. Intro to For The Roses / イントロ
24. For The Roses / バラにおくる
CD2:
ライヴ・アット・カーネギー・ホール
(ニューヨーク、1972年2月23日)
01. Both Sides Now / 青春の光と影
02. My Old Man / マイ・オールド・マン
03. Intro to The Circle Game / イントロ
04. The Circle Game / サークル・ゲーム
『バラにおくる』アーリー・セッション
(ウォーリー・ハイダー・スタジオ、ハリウッド、CA、1972年4月16~21日)
05. Medley: Bony Moronie/Summertime Blues/You Never Can Tell - with James Taylor / メドレー:ボニー・モロニ―/サマータイム・ブルース/ユー・ネヴァー・キャン・テル(ウィズ・ジェイムズ・テイラー)
06. Electricity - with James Taylor / エレクトリシティ(ウィズ・ジェイムズ・テイラー)
07. You Turn Me On I’m A Radio - with Neil Young & The Stray Gators / 恋するラジオ(ウィズ・ニール・ヤング&ザ・ストレイ・ゲイターズ)
08. See You Sometime (early version with bass & drums) / シー・ユー・サムタイム(アーリー・ヴァージョン)
09. You Turn Me On I’m A Radio (early version with bass & drums) / 恋するラジオ(アーリー・ヴァージョン)
ライヴ・アット・ロイヤル・フェスティバル・ホール
(ロンドン、イングランド、1972年5月5日)
10. Intro to Judgement Of The Moon And Stars (Ludwig’s Tune) / イントロ
11. Judgement Of The Moon And Stars (Ludwig’s Tune) / 月と星の審判
『バラにおくる』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1972年7~8月)
12. Blonde In The Bleachers (alternate guitar mix) / ブロンド・イン・ザ・ブリーチャーズ(オルタネイト・ギター・ミックス)
13. Let The Wind Carry Me (piano/vocal mix) / レット・ザ・ウィンド・キャリー・ミー(ピアノ/ヴォーカル・ミックス)
14. Barangrill (guitar/vocal mix) / バラングリル(ギター/ヴォーカル・ミックス)
15. Cold Blue Steel And Sweet Fire (sax guide vocal) / コールド・ブルー・スティール(サックス・ガイド・ヴォーカル)
16. Sunrise Raga / サンライズ・ラガ
17. Twisted (early alternate version) / トゥイステッド(アーリー・オルタネイト・ヴァージョン)
ジェイムス・ベイ・ベネフィット・コンサート
(ポール・ソベー・アレーナ、モントリオール、カナダ、1973年4月15日)
18. Intro to Big Yellow Taxi / イントロ
19. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
CD3:
『コート・アンド・スパーク』デモ
A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1973年夏
01. Piano Suite: / ピアノ組曲:
a. Down To You / あなたのもとへ
b. Court And Spark / コート・アンド・スパーク
c. Car On A Hill / 丘の上の車
d. Down To You / あなたもとへ
02. People’s Parties / 人間模様
03. Help Me / ヘルプ・ミー
04. Just Like This Train / この汽車のように
05. Raised On Robbery / 陽気な泥棒
06. Trouble Child / トラブル・チャイルド
『ワイルド・テイルズ』 (グラハム・ナッシュ) セッション
(ルディ・レコーズ・スタジオ、サンフランシスコ、CA、1973年8月25日)
07. Raised On Robbery (early working version) / 陽気な泥棒(アーリー・ワーキング・ヴァージョン)
08. Raised On Robbery - with Neil Young & The Santa Monica Flyers / 陽気な泥棒(ウィズ・ニール・ヤング&ザ・サンタモニカ・フライヤーズ)
『コート・アンド・スパーク』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1973年9~10月)
09. People’s Parties (early alternate take) / 人間模様(アーリー・オルタネイト・テイク)
10. Trouble Child (early alternate take) / トラブル・チャイルド(アーリー・オルタネイト・テイク)
11. Car On A Hill (early alternate take) / 丘の上の車(アーリー・オルタネイト・テイク)
12. Down To You (alternate version) / あなたのもとへ(オルタネイト・テイク)
13. The Same Situation (alt vocal/piano mix) / 変わらぬ事情(オルタネイト・ヴォーカル/ピアノ・ミックス)
14. Bonderia / ボンデリア
ライヴ・アット・ドロシー・チャンドラー・パビリオン
(ロサンゼルス、CA、1974年3月3日)
15. Introduction / イントロダクション
16. This Flight Tonight - with Tom Scott & The L.A. Express / ディス・フライト・トゥナイト (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
17. You Turn Me On I’m A Radio - with Tom Scott & The L.A. Express / 恋するラジオ (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
18. Free Man In Paris - with Tom Scott & The L.A. Express / パリの自由人 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
19. The Same Situation - with Tom Scott & The L.A. Express / 変わらぬ事情 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
20. Just Like This Train - with Tom Scott & The L.A. Express / この汽車のように (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
CD4:
ライヴ・アット・ドロシー・チャンドラー・パビリオン
(ロサンゼルス、CA、1974年3月3日)
01. Rainy Night House - with Tom Scott & The L.A. Express / レイニー・ナイト・ハウス (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
02. Woodstock - with Tom Scott & The L.A. Express / ウッドストック (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
03. Cactus Tree / さぼてんの木
04. Big Yellow Taxi / ビッグ・イエロー・タクシー
05. Intro to People’s Parties / イントロ
06. People’s Parties / 人間模様
07. All I Want / オール・アイ・ウォント
08. A Case Of You / ア・ケイス・オブ・ユー
09. Intro to For The Roses / イントロ
10. For The Roses / バラにおくる
11. Cold Blue Steel And Sweet Fire - with Tom Scott / コールド・ブルー・スティール (ウィズ・トム・スコット)
12. Blue / ブルー
13. For Free - with Tom Scott / フォー・フリー (ウィズ・トム・スコット)
14. Trouble Child - with Tom Scott & The L.A. Express / トラブル・チャイルド (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
15. Help Me - with Tom Scott & The L.A. Express / ヘルプ・ミー (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
16. Car On A Hill - with Tom Scott & The L.A. Express / 丘の上の車 (ウィズ・トム・スコット&L.A.エクスプレス)
CD5:
ライヴ・アット・ニュー・ヴィクトリア・シアター
(ロンドン、イングランド、1974年4月22日)
01. Intro to Jericho / イントロ
02. Jericho / ジェリコ
ライヴ・アット・ウェンブリー・スタジアム
(ロンドン、イングランド、1974年9月14日)
03. Woman Of Heart And Mind / ウーマン・オブ・ハート・アンド・マインド
『夏草の誘い』デモ
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1975年)
04. In France They Kiss On Main Street / フランスの恋人たち
05. Edith And The Kingpin / イーディスと親玉
06. Don’t Interrupt The Sorrow / 悲しみはともだち
07. Shades Of Scarlet Conquering / 美しい誘惑者
08. The Boho Dance / ボーホー・ダンス
09. Harry’s House / ハリーの家
10. Dreamland / ドリームランド
『夏草の誘い』セッション
(A&Mスタジオ, ハリウッド、CA、1975年)
11. In France They Kiss On Main Street (alternate version) / フランスの恋人たち(オルタネイト・ヴァージョン)
12. The Jungle Line (guitar/alternate vocal) / ジャングル・ライン(ギター/オルタネイト・ヴォーカル)
13. Edith And The Kingpin (alternate version) / イーディスと親玉(オルタネイト・ヴァージョン)
14. Don’t Interrupt The Sorrow (alternate version) / 悲しみはともだち(オルタネイト・ヴァージョン)
15. Shades Of Scarlet Conquering (alternate version) / 美しい誘惑者(オルタネイト・ヴァージョン)
16. The Boho Dance (alternate version) / ボーホー・ダンス(オルタネイト・ヴァージョン)
17. Dreamland (early alternate band version) / ドリームランド(アーリー・オルタネイト・バンド・ヴァージョン)
©Joel Bernstein