MY CHEMICAL ROMANCEマイ・ケミカル・ロマンス
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【ライブレポート】数分で完売!マイ・ケミカル・ロマンス、復活宣言から初となるライブを慣行!
2019.12.25
2006年にリリースし、21世紀ロック史に名を刻む傑作とされるコンセプト・アルバム『ザ・ブラック・パレード』は世界中のティーンエイジャーに支持され、大ヒットを記録。人気絶頂のなか2013年に突如解散したマイ・ケミカル・ロマンスが6年の時を経て奇跡の復活!そして2020年3月29日(日)に幕張メッセ9~11号館で開催されるDownload Japan 2020のヘッドライナーで6年ぶりに来日することが決定している彼らの復活宣言から初となるライブが12月20日にロサンゼルスにて行われました!
数分で完売しプレミア化し、「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」とジェラルドが語ったこの日のライブ・レポートをお届け!
2013年3月22日の終結宣言が世界中のマイ・ケミカル・ロマンス(MCR)ファンの心を打ち砕き、決して消えることがなかった復活を望む声。今年に入ってからもジェラルド・ウェイ(vo)が再結成の可能性がないことをコメントしたし、ジョー・ジョナス(ジョナス・ブラザーズ)がラジオ番組でMCRがNYでリハーサルをやっていたことを示唆するも、フランク・アイエロ(g)が噂を否定したことがあっただけに、MCRはこのまま地下6フィートで安らかに眠り続けるのかと思っていたが、なんと <その日> は突然やってきた。
2019年ハロウィンにバンドの公式Twitterで告知された、12月20日のロサンゼルスのシュライン・エキスポ・ホールでの再結成ライブは、6300人収容の会場ともあって発表翌日のチケット発売にも関わらず、わずか数分で売り切れたプレミアライブとなった。会場には前日から夜通しでファンが列を作り、サウンドチェックの音漏れを楽しみ、まさかのメンバー4人から毛布の差し入れ(しかも手渡し!)があったり、会場目の前にある大学、USCのマーチングバンドがライブ当日の朝、「Welcome to the Black Palade」をファンファーレとして演奏するなどまさにお祭り状態。世界中から詰めかけたファンが開演の何時間も前から集まってフレンドシップを形成し、それぞれ武勇伝のようにチケットが取れた時のエピソードを語る姿が見られた。
MCRの1stアルバムのプロデューサーで、彼らと同郷ニュージャージー州出身のエモシーンのカリスマ、ジェフ・リッキー擁するサーズデイがオープニングアクトとあってフロアはフルに詰まっていたものの、熱気が一気に上昇したのはMCRのステージセットが組むために段帳がかけられてから。1stアルバムからの「Romance」、『スウィート・リベンジ』からの「Interlude」、『デンジャー・デイズ』(2010)の「Look Alive, Sunshine」などのインタールードをクロスオーバーさせたオープニングSEによるフラッシュバックの演出によって瞬時にアドレナリンは沸点を超え、フロアは後方から押し寄せる数多の人々で凄まじいことに!そして「I’m Not Okay(I Promise)」のミュージック・ビデオの冒頭の会話シーンが流れた直後、ステージを覆い尽くしていた段帳の先にいた4人が「I’m Not Okay」のイントロを鳴らし、ジェラルドの「Go!」の声をきっかけに段帳が落下!そこにはステージ衣装というよりも普段着に近い、何者をも演じない、ただMCRとしての4人が我々の前に!そして、『スウィート・リベンジ』の頃に実現した、初来日のSUMMER SONIC ’04や翌年の初単独日本公演の頃を思わせるような、彼らそのものの荒削りなテンション。ゴスファッションもメイクもない、至ってナチュラルで地に足の着いた4人。でも彼らの内面がまるでバンドを始めた頃のように初々しく音楽を楽しんでいる。「I’m Not Okay(I Promise)」、「Thank You For the Venom」、「Give ‘Em Hell, Kid」といずれもそんな2ndアルバムからのアグレッシブな曲で畳み掛ける構成によってリミッターが異次元に吹き飛ばされた人々の凄まじい盛り上がり様。会場のカオスさをますます煽るようにアレンジを加えてギタージャンキーと化したレイ・トロ(b)の魅力が際立った4曲目の「House of Wolves」が終わり、思わず笑い声をマイクに乗せて喜びを伝えるジェラルド。「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」などと語った彼は続けて、今年7月にガンで亡くなった元マネージャー、ローレン・ヴァレンシアさんへの感謝の言葉を述べ、「彼女がいなくて寂しい」と繰り返した。
次に演奏したのはジェラルドの愛妻リンジーへ向けたラブソング「Summertime」。彼女や愛娘が見守っているバルコニーへ顔を向けて歌う微笑ましい姿も。その後の「You Know What They Do to Guys Like Us in Prison」ではジェラルドが今年好んで聴いた音楽として2曲をプレイリストに加えていたYouth Codeのサラ・テイラーがゲスト出演。ド派手なヘッドバンギングとワイルドな客演で強烈なインパクトを残して去ると、EP『コンベンショナル・ウェポンズ』(2012)から「Make Room!!!!」をライブ初披露。「NA NA NA~」の歌詞の一節を用いた遊び心のあるパンクソングで、このワイルドさが今の彼らに本当にフィットしていたように思う。商業的な成功へのプレッシャーの類から解放されたことでむき出しになった本能が吐き出した結果のパンク。本能のままに音を鳴らすという、一見単純かつ大切なことを7年ぶりにステージで楽しむ4人を観ていて...もちろんリユニオンが実現したからこそ言えることだけど、彼らが今の楽しさを取り戻せたのもバンドを終結させて距離を置いたことが功を奏したということだろう。
旧友に再会したかのように観衆に話しかけていたジェラルドを驚かせた事実といえば、この日が初のMCRショウだった観客の割合が思いの外多かったこと。もちろん気合いの入ったコスプレやヘアメイクの観客があちこちにいたものの、実はティーンエイジャーや20代前半の、いわゆるMCRをリアルタイムで聴いていないようなキッズも大勢いた。彼らがどうやって知ったのか会場で知り合った22歳の女の子に訊ねると、Twenty One Pilotsによる「Cancer」のカヴァーを聴いてMCRにたどり着いたとのこと。そんな新しいファン層もきっと、「Famous Last Words」や「Welcome to the Black Parade」での大シンガロングはもちろん、本編ラストの「The Kids From Yesterday」で一人ステージに残ってプレイするマイキー・ウェイ(b)に送られたマイキー・コールなど、消えることのない温かな思い出として心に刻まれたことだろう。
約7年ぶりのライブとは信じられないほどスムーズで、会場の隅々まで笑顔と嬉し涙で溢れたこの公演は、ジェラルドがステージで放った通り、魔法のように見事なものだった。そんな公演翌日にフランクは自身のインスタグラムで、<チャプター2> とハッシュタグを貼っており、現在発表されている2020年3月のオーストラリア、ニュージーランド、そして日本公演以降の活動も期待したい。次の発表をワクワクしながら過ごすのはもちろんのこと、3月の来日公演に対する楽しみが今回の公演の成功によって大きく膨らんでいる。
SET LIST
1. I’m Not Okay (I Promise)
2. Thank You for the Venom
3. Give ‘Em Hell, Kid
4. House of Wolves
5. Summertime
6. You Know What They Do to Guys Like Us in Prison (with Sara Taylor)
7. Make Room!!!!
8. Our Lady of Sorrows
9. Na Na Na (Na Na Na Na Na Na Na Na Na)
10. Sleep
11. Mama
12. I Don’t Love You
13. DESTROYA
14. Teenagers
15. S/C/A/R/E/C/R/O/W
16. Famous Last Words
17. The Kids From Yesterday
Encore
18. Vampire Money
19. Helena
Encore 2
20. Welcome to the Black Parade
数分で完売しプレミア化し、「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」とジェラルドが語ったこの日のライブ・レポートをお届け!
2019.12.20 @Shrine Expo Hall, Los Angeles, CA
<文:宮原亜矢>2013年3月22日の終結宣言が世界中のマイ・ケミカル・ロマンス(MCR)ファンの心を打ち砕き、決して消えることがなかった復活を望む声。今年に入ってからもジェラルド・ウェイ(vo)が再結成の可能性がないことをコメントしたし、ジョー・ジョナス(ジョナス・ブラザーズ)がラジオ番組でMCRがNYでリハーサルをやっていたことを示唆するも、フランク・アイエロ(g)が噂を否定したことがあっただけに、MCRはこのまま地下6フィートで安らかに眠り続けるのかと思っていたが、なんと <その日> は突然やってきた。
2019年ハロウィンにバンドの公式Twitterで告知された、12月20日のロサンゼルスのシュライン・エキスポ・ホールでの再結成ライブは、6300人収容の会場ともあって発表翌日のチケット発売にも関わらず、わずか数分で売り切れたプレミアライブとなった。会場には前日から夜通しでファンが列を作り、サウンドチェックの音漏れを楽しみ、まさかのメンバー4人から毛布の差し入れ(しかも手渡し!)があったり、会場目の前にある大学、USCのマーチングバンドがライブ当日の朝、「Welcome to the Black Palade」をファンファーレとして演奏するなどまさにお祭り状態。世界中から詰めかけたファンが開演の何時間も前から集まってフレンドシップを形成し、それぞれ武勇伝のようにチケットが取れた時のエピソードを語る姿が見られた。
MCRの1stアルバムのプロデューサーで、彼らと同郷ニュージャージー州出身のエモシーンのカリスマ、ジェフ・リッキー擁するサーズデイがオープニングアクトとあってフロアはフルに詰まっていたものの、熱気が一気に上昇したのはMCRのステージセットが組むために段帳がかけられてから。1stアルバムからの「Romance」、『スウィート・リベンジ』からの「Interlude」、『デンジャー・デイズ』(2010)の「Look Alive, Sunshine」などのインタールードをクロスオーバーさせたオープニングSEによるフラッシュバックの演出によって瞬時にアドレナリンは沸点を超え、フロアは後方から押し寄せる数多の人々で凄まじいことに!そして「I’m Not Okay(I Promise)」のミュージック・ビデオの冒頭の会話シーンが流れた直後、ステージを覆い尽くしていた段帳の先にいた4人が「I’m Not Okay」のイントロを鳴らし、ジェラルドの「Go!」の声をきっかけに段帳が落下!そこにはステージ衣装というよりも普段着に近い、何者をも演じない、ただMCRとしての4人が我々の前に!そして、『スウィート・リベンジ』の頃に実現した、初来日のSUMMER SONIC ’04や翌年の初単独日本公演の頃を思わせるような、彼らそのものの荒削りなテンション。ゴスファッションもメイクもない、至ってナチュラルで地に足の着いた4人。でも彼らの内面がまるでバンドを始めた頃のように初々しく音楽を楽しんでいる。「I’m Not Okay(I Promise)」、「Thank You For the Venom」、「Give ‘Em Hell, Kid」といずれもそんな2ndアルバムからのアグレッシブな曲で畳み掛ける構成によってリミッターが異次元に吹き飛ばされた人々の凄まじい盛り上がり様。会場のカオスさをますます煽るようにアレンジを加えてギタージャンキーと化したレイ・トロ(b)の魅力が際立った4曲目の「House of Wolves」が終わり、思わず笑い声をマイクに乗せて喜びを伝えるジェラルド。「再始動するなんて思っていなかったけど、みんなと一緒にここにいられることが幸せだ」などと語った彼は続けて、今年7月にガンで亡くなった元マネージャー、ローレン・ヴァレンシアさんへの感謝の言葉を述べ、「彼女がいなくて寂しい」と繰り返した。
次に演奏したのはジェラルドの愛妻リンジーへ向けたラブソング「Summertime」。彼女や愛娘が見守っているバルコニーへ顔を向けて歌う微笑ましい姿も。その後の「You Know What They Do to Guys Like Us in Prison」ではジェラルドが今年好んで聴いた音楽として2曲をプレイリストに加えていたYouth Codeのサラ・テイラーがゲスト出演。ド派手なヘッドバンギングとワイルドな客演で強烈なインパクトを残して去ると、EP『コンベンショナル・ウェポンズ』(2012)から「Make Room!!!!」をライブ初披露。「NA NA NA~」の歌詞の一節を用いた遊び心のあるパンクソングで、このワイルドさが今の彼らに本当にフィットしていたように思う。商業的な成功へのプレッシャーの類から解放されたことでむき出しになった本能が吐き出した結果のパンク。本能のままに音を鳴らすという、一見単純かつ大切なことを7年ぶりにステージで楽しむ4人を観ていて...もちろんリユニオンが実現したからこそ言えることだけど、彼らが今の楽しさを取り戻せたのもバンドを終結させて距離を置いたことが功を奏したということだろう。
旧友に再会したかのように観衆に話しかけていたジェラルドを驚かせた事実といえば、この日が初のMCRショウだった観客の割合が思いの外多かったこと。もちろん気合いの入ったコスプレやヘアメイクの観客があちこちにいたものの、実はティーンエイジャーや20代前半の、いわゆるMCRをリアルタイムで聴いていないようなキッズも大勢いた。彼らがどうやって知ったのか会場で知り合った22歳の女の子に訊ねると、Twenty One Pilotsによる「Cancer」のカヴァーを聴いてMCRにたどり着いたとのこと。そんな新しいファン層もきっと、「Famous Last Words」や「Welcome to the Black Parade」での大シンガロングはもちろん、本編ラストの「The Kids From Yesterday」で一人ステージに残ってプレイするマイキー・ウェイ(b)に送られたマイキー・コールなど、消えることのない温かな思い出として心に刻まれたことだろう。
約7年ぶりのライブとは信じられないほどスムーズで、会場の隅々まで笑顔と嬉し涙で溢れたこの公演は、ジェラルドがステージで放った通り、魔法のように見事なものだった。そんな公演翌日にフランクは自身のインスタグラムで、<チャプター2> とハッシュタグを貼っており、現在発表されている2020年3月のオーストラリア、ニュージーランド、そして日本公演以降の活動も期待したい。次の発表をワクワクしながら過ごすのはもちろんのこと、3月の来日公演に対する楽しみが今回の公演の成功によって大きく膨らんでいる。
SET LIST
1. I’m Not Okay (I Promise)
2. Thank You for the Venom
3. Give ‘Em Hell, Kid
4. House of Wolves
5. Summertime
6. You Know What They Do to Guys Like Us in Prison (with Sara Taylor)
7. Make Room!!!!
8. Our Lady of Sorrows
9. Na Na Na (Na Na Na Na Na Na Na Na Na)
10. Sleep
11. Mama
12. I Don’t Love You
13. DESTROYA
14. Teenagers
15. S/C/A/R/E/C/R/O/W
16. Famous Last Words
17. The Kids From Yesterday
Encore
18. Vampire Money
19. Helena
Encore 2
20. Welcome to the Black Parade