太田糸音

Discography

SHION OTA - My Select vol.1

Ota fix

SHION OTA - My Select vol.1

  • ALBUM
  • 配信限定

2018.07.13 配信880(税込)WPDS-10083

ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)×ワーナーミュージック・ジャパン ワーナークラシックスの次世代ピアニスト発掘プログラム、第1弾アーティスト「太田糸音」
CHANEL Pygmalion Daysのアーティストとしても活躍する、18歳の大型新人ピアニスト。
すでに、クラシックファンや業界関係者から大きな注目を集める逸材です。その演奏を耳にした人は、彼女の虜になること間違いないでしょう。今回、彼女自身も選曲に関わり、太田糸音の魅力が最大限に引き出される配信アルバムが完成。聴いて頂く皆さまに御満足頂ける、圧巻のアルバムです。
楽曲解説
プロコフィエフ:4つの練習曲Op.2
帝政ロシア、ウクライナに生まれたプロコフィエフは5歳から作曲を始め、9歳でオペラを作曲している。1918年、革命のロシアから日本を経由してアメリカへ亡命。その後、パリ、ロンドンに移るが、1933年にはソ連に戻る。ピアニストとしても優れているが、紛れもなく神童〜天才であり、時に急進的、時に叙情的、難解な曲もあったが、自身を取り囲む時代によって作風は変化した。収録曲の「4つの練習曲」Op.2はプロコフィエフが18歳、ペテルブルグ音楽院に在学中に書いた作品。この頃から古典的かつ近代的、グロテスクでサルカズムでもありシニカルな作風がみられる。1番はニ短調、2番はホ短調、3・4番は共にハ短調で書かれている。(執筆:太田糸音)

ショパン:エチュード Op.10~第4番
ショパンの2つの《練習曲集》全24曲の起源は、2つある。
ひとつは、バッハ《平均律クラヴィーア曲集》、すなわち24の調によるプレリュードとフーガである。もちろんこうした曲集の編み方自体はバッハの発明ではないが、音楽のあらゆる技法や形式の見本として、学習者のための規範として《平均律》こそが金字塔を打ち立てた。そして、ショパン以前には既に、クレメンティ、カルクブレンナーなど、ショパン以後にはリスト、バルトーク、ラフマニノフ、ピアノ以外にもパガニーニなど、実に多くの作曲家がバッハへのオマージュを込めて《練習曲集》を世に送り出している。18世紀後半の間は、前奏曲と練習曲を一対としたものが、19世紀に入るとこうした組み合わせが時代に合わなくなり、それぞれ別の曲集として作られるようになった。ショパンもまた、《練習曲集》Op. 10, 25のほかに《24の前奏曲集》Op. 28を出版している。
もうひとつの起源とは、もちろん、19世紀前半にさかんに書かれたピアノ教則本としての練習曲集である。これらは、楽曲形式や演奏技法の包括的範例であるとともに、実践的な訓練のためのプログラムだった。ショパンは特に、クレメンティ、モシェレスのものを参考としたが、先達の練習曲集にはない「独自の方法で」みずからの練習曲を書いた。すなわち各曲には、高度な練習曲は高度な音楽であるはずだ、というショパンの信念が反映されている。これが単なる学習課題の範疇を超えてこんにち広く愛されているのは、美しい旋律と和声が織り成す抒情性、まさに高度な音楽であるが故だろう。ただし、これらが実際に彼自身のための練習課題であったことは間違いない。つまり、リストがのちに行なったような、「練習曲」の語をひとつのジャンル名として捉え、当初から演奏会の曲目として、つまり技巧を聴衆に披露する手段としての楽曲をショパンは構想していない。そしてこれが、現代でもピアノ教育の最終段階における課題として学習者に必ず課せられるのは、24曲を通じて、技巧だけでなくショパンの音楽性の真髄をあますことなく学びとれるからである。
《練習曲集》Op.10 は、当代最高のピアニストとして敬意を表し、リストに献呈された(ただしショパンは、作曲家としてはリストをあまり評価せず、後年も友人としては距離を置いた)。この献呈はおそらく、この卓越したヴィルトゥオーゾからの賞賛を狙ったものであり、リストは望みどおり惜しみない賛辞を送った。
12曲の調配列は、次のとおり。
C:-a:-E:-cis:-Ges:-es:-C:-F:-f:-As:-Es:-c:
第4番
こうした旋律の作り方は、バッハの時代に「紡ぎ出し」と呼ばれたもの。細かな動機が変奏や転回によって徐々に発展してゆく。練習課題は、正確で粒の揃った右手の発音、各部のコントラスト。(執筆:朝山 奈津子/「ピティナ・ピアノ曲事典」より引用)

アルベニス:組曲「イベリア」第1巻~第1曲:エヴォカシオン
アルベニスは30歳半ばからパリに定住し、ダンディ、ショーソン、フォーレ、デュカスなど、フランスの大家との交流を深めながら、作曲の技法を洗練させていった。そして、45歳(1905~09年にかけて作曲)で作曲を開始したこの組曲《イベリア》において、アルベニスは作曲家としての到達点をむかえたといえる。洗練された技法に、スペイン情緒あふれる感性が加わることによって、独創性あふれる最高傑作となっており、ドビュッシーや、メシアン、グラナドス、ファリャなどもこれを絶賛した。
4巻12曲からなり「12の新しい印象(12 nouvelles "impressions")」という副題がつけられている。南スペインへの郷愁や、賛美の念とともに、その音楽を世界へ届けたいというアルベニスの願いがこめられている。
組曲《イベリア》は、独特のピアニズムや、複雑な記譜などから、難曲中の難曲の一つとしてよく知られている。アルベニスの門下ブランシュ・セルヴァは、全曲の初演に成功し、この曲の普及に貢献した。全曲演奏時間は約1時間20分。
第1巻 1.エヴォカシオン / "Evocacion"
タイトルは、「記憶、心象、情感」などの意。舞曲形式は、ファンダンギーリョ(小ファンタンゴ)である。スペイン特有のコプラという民謡的な詩歌が、中間楽句に用いられている。(執筆:和田 真由子/「ピティナ・ピアノ曲事典」より引用)

アルベニス:スペイン Op. 165~第2曲:タンゴ(編曲:L. ゴドフスキ)
1889年~1890年にかけて作曲された。アルベニスが、作曲、演奏ともに精力的な活動をしていた時期の作品である。
「6つのアルブムブラット」という副題をもち、6つの小曲からなる。簡素な書法でかかれていながらも、スペイン的な要素が顕著である。とくに第2曲「タンゴ」は、人気が高い。全曲通して演奏した場合、所要時間は約15~16分程度。
2.タンゴ ニ長調 / "Tango"
続く「タンゴ」は、曲集中最も人気の高い曲。さまざまな楽器用の編曲がなされている。
ニ長調、4分の2拍子、アンダンティーノ。心地よい揺れにのせて、南国風の旋律がのんびりとした調子で歌われていく。揺れの幅に自由な変化をもたせていくと雰囲気が出るだろう。(執筆:和田 真由子/「ピティナ・ピアノ曲事典」より引用)

ラヴェル:夜のガスパール~第3曲:スカルボ
「夜のガスパール」というタイトルは、ボードレールにも影響を与えたという夭折した無名の詩人アロイジュス・ベルトラン(1807~1841)の64篇から成る散文詩集のタイトルである。ラヴェルはこの中から幻想的で怪奇性の強い3篇を選び、そのイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げた。
3.スカルボ / "Scarbo"
「スカルボ」とは悪戯好きの妖精のことで、部屋の中を目まぐるしくかけめぐり、悪戯ばかりする。この様子をかなり特殊なテクニックを含む名人芸的な難技巧を盛り込み、鮮やかに表現している。あらゆるピアノ曲の中でも技術的に最も弾きにくい難曲として知られる1曲である。(執筆:ピティナ・ピアノ曲事典編集部/「ピティナ・ピアノ曲事典」より引用)

スカルラッティ:ソナタ ホ長調K.531 L.430
J.S.バッハ、ヘンデルと同じ1685年にナポリで生まれたスカルラッティは、1715年にはサン・ピエトロ大聖堂にあるジュリアナ礼拝堂の楽長の地位にまで就くが、1719年にはリスボンに、1729年にスペインに移るまでの間にオペラや宗教音楽を作曲。その後イベリア半島の民族音楽の刺激があったのか、単一楽章で単純な二部形式の構成が多いが、多様な動機に加えて「近代鍵盤楽器奏法の父」と呼ばれるように、両手の交差、同一鍵盤の急速な連打、装飾音の自由な使用など新しいテクニックを演奏に求める550曲に及ぶソナタを遺す。収録曲のK.531/L.430はホ長調、8分の6拍子で書かれ、全体に渡って現れるアルペジオ音形、対話しているような左右の音形は朗らかな明るさをもつ。(執筆:太田糸音)

メンデルスゾーン:幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」Op. 28
1830年、ワイマールに滞在中、メンデルスゾーンはゲーテのもとを訪れ、そこで演奏したうちの一曲が、この《幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」》であったとされている。メンデルスゾーンは1828年に《スコットランド・ソナタ》という曲の作曲をはじめ、その後、5年間、これを書きなおし続けた。そして、1834年に出版したものが、この《幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」》である。
全3楽章からなり、全曲通して演奏される。
第1楽章:嬰へ短調 4分の2拍子 コン・モート・アジタート―アンダンテ
冒頭8小節にわたるアルぺッジョの序奏(コン・モート・アジタート)からはじまる。アンダンテの主部につづき、登場するアルぺッジョの挿句は、徐々に勢いと音量を増し、クライマックスを形成する。大きな変化が加えられた再現部が奏されたのち、序奏のアルペジオが再び現れ、幻想的に曲をとじる。
第2楽章:イ長調 2分の2拍子 アレグロ・コン・モート
およそA-B-Aの形によっており、スケルツォ的な性格をもつ。対位法的な技法が用いられた短い楽章。
第3楽章:嬰へ短調 8分の6拍子 プレスト
即興的な性格が強いが、およそソナタ形式によっている。第一主題は、6連音符の下降音形からなり、めまぐるしく動く。第2主題は、オクターブでゆったりとうたわれる。6連音符は、一曲全体を貫いており、その音形の変化によってさまざまな表情がうみだされている。情熱的な終曲。(執筆:和田 真由子/「ピティナ・ピアノ曲事典」より引用)

 
[録音]
トラック1/2015年8月21日(金)第一生命ホール 
 (第39回ピティナ・ピアノコンペティションG級全国決勝大会)
トラック2/2013年8月19日(月)第一生命ホール 
 (第37回ピティナ・ピアノコンペティションF級全国決勝大会)
トラック3/2016年8月2,3日 かつしかシンフォニーヒルズアイリスホール
 (第40回ピティナ・ピアノコンペティション特級二次予選)
トラック4/タンゴ:2017年3月20日(月・祝) 第一生命ホール
 (第40回ピティナ・ピアノコンペティション入賞者記念コンサート)
トラック5/2017年3月20日(月・祝) 第一生命ホール
 (第40回ピティナ・ピアノコンペティション入賞者記念コンサート)
トラック6/スカルラッティ:2014年8月19日(火)
 (第38回ピティナ・ピアノコンペティション Jr.G級全国決勝大会
トラック7/メンデルスゾーン:2015年8月21日(金) 第一生命ホール
 (第39回ピティナ・ピアノコンペティションG級全国決勝大会)
※公開録音のため、一部マスターテープに起因するノイズなどがある場合がございます。ご了承くださいませ。
  • M-1

    4つの練習曲 Op.2

    プロコフィエフ

    M-2

    エチュード Op.10~第4番 嬰ハ短調

    ショパン

    M-3

    組曲「イベリア」第1巻~第1曲:エヴォカシオン

    アルベニス

    M-4

    スペイン Op. 165~第2曲:タンゴ(編曲:L. ゴドフスキ)

    アルベニス

    M-5

    夜のガスパール~第3曲:スカルボ

    ラヴェル

    M-6

    ソナタ K.531 L.430 ホ長調

    スカルラッティ

    M-7

    幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」 Op. 28

    メンデルスゾーン

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