SugLawd Familiar
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SugLawd Familiarアルバム完成インタビュー前編 「楽しむことが正義」 豪華客演陣と鳴らした、5人の新たな表情
2026.7.29
SugLawd Familiarが、ついにメジャー1stアルバム『FURAAMAN ANTHEM』を完成させた。OZworld、CHICO CARLITO、Disry、前川真悟(かりゆし58)、MINMIを客演に迎え、掲げたテーマは“享楽主義”。多彩なジャンルが自由にクロスオーバーする全18曲は、1stにして集大成。チャンプルースタイルの彼らの現在地と、次への予感が詰まっている!
SugLawd Familiarアルバム完成インタビュー前編
「楽しむことが正義」
豪華客演陣と鳴らした、5人の新たな表情
――今回のアルバムは、“享楽主義”がひとつのテーマになっていますが、どんな気持ちで作り始めたんですか?
Oichi:とにかく楽しめればいい、みたいな。
Vanity.K:喜怒哀楽どのシーンでも聴けるようなアルバムにしようって。
OHZKEY:楽しむことが正義みたいな。それ以外はあまり考えずに作ってましたね。
Caster Mild:結果、いろんなジャンルで、“楽しい”を出せている作品になったなって思います。
――サウンド面では全体的にどんな質感やムードを求めましたか?
Vanity.K:ゴリゴリのHIP HOPというよりは、誰でも聴きやすいライトな感じを求めました。ただ、HIP HOPとして弱くはしたくなかったんです。だから、メロディックだけど、ラップを詰めるところはちゃんと詰めたる。今、日本でHIP HOPがすごく流行ってるけど、俺らにしかできないメロディやラップをひとつ上のレベルでやろうと意識してました。
OHZKEY:ジャンルの融合は結構したと思います。HIP HOP以外のジャンルを取り入れて、それをいかにラップしやすいビートに落とし込むか。そこは試行錯誤しましたね。
――やりたいことを突き詰めた結果、アルバムは全18曲入りという大作になりました。
OHZKEY:(プロデューサーの)Art'Teckyxさんと作ることで脳内にあるものが具現化できるなと思ったら、やりたいことがどんどん増えていっちゃって。それに全部手を出したら18曲になったっていう感じですね。
――ソロ曲やコンビ曲も多く、4MC全員が参加していない曲もあります。
OHZKEY:一人一人、各自で自分の曲をプロデュースして一曲作ってみるという新しい試みをやりたかったんです。その曲を主導している人間が他のメンバーを誘ったり、一人で完成させたりっていう。
――アルバム制作で悩んだり、行き詰まった場面はありましたか?
Vanity.K:曲によりますね。スッといく曲もあれば、何日もかけて作った曲もありますし。でもクルーでやっているので、一人のアイデアじゃないぶん、俺はやりやすかったところがあります。
XF MENEW:俺はありまくりです(笑)。1stアルバムだから何年経って聴いても良いと思える作品にしたかったし、勝手にプレッシャーを感じていて。うまくいってるときもみんなの顔をうかがったりしてしまって。
――そのプレッシャーや迷いはどう乗り越えていったんですか?
XF MENEW:結局、全部信じることでした。目に見える形ではないですけど、こいつら一人一人に頼ろうと意識したら先が見えてきた。仲間を信じたら打破できました。
――ほかの4人は、MENEWが悩んでいることを感じていましたか?
Oichi:めちゃめちゃ感じてましたね。一回、朝イチにめちゃめちゃ機嫌悪いときがあって。
OHZKEY:考えすぎだろ、みたいな。でもわかるんですよね、それも。
Vanity.K:MENEWは思い込みが激しくなっちゃうときがあって。でも作品を作っていると自分の世界に入り込んじゃうものだから。そういうときは、ちょっと楽しくやらね? って感じで声を掛けて。
XF MENEW:俺は感情も表に出るし、メンバーは要所要所でそういう俺に気づいてくれて。そのたびに「楽しも、楽しも」って雰囲気を和ませてくれて本当に助けられました。
――Caster Mildの目に制作中の4人はどう映っていました?
Caster Mild:みんな完璧を求めすぎているように見えましたね。それぞれスキルが高くてかっこいい楽曲にはなってるんですけど、たくさんの人に届けるためには表現を柔らかくしようって。その作業にみんな悩んでるように思いました。
Vanity.K:俺ら4人でもお手上げってときは、Caster Mildが言ってくれる一言でまとまったりするんですよ。最終的にCaster Mildに委ねる場面は結構ありましたね。
――まさに、今のような客観的な視点ですね(笑)。
OHZKEY:確かに。本当そうだった(笑)。
――今回の制作で、もっともチャレンジングだったことは?
Vanity.K:客演を招いて楽曲が作れたことですね。個人個人のスタイルが違うが故に、今まであまりやれなかったんですよ。でも客演の人が入ることによって、その人の個性をどう立てるか。いろいろ考えながら作れて楽しかったし、発見もたくさんありました。
――ここからは客演曲について聞かせてください。まずはアルバムの先行シングル「MAKENAI feat. OZworld」から。この曲にOZworldを迎えた経緯は?
OHZKEY:単純に、できあがった曲に合いそうだなと思って(笑)。元々ああいうサウンドを作りたくて、どう俺らっぽくしようかと考えたときに、沖縄のエイサーでよく使われる「ミルクムナリ」曲から着想を得たんです。琉球音階的なものを使った結果、あのサウンドになって、だったらOZworldさんが合いそうじゃない?って。
Vanity.K:満場一致でしたね。この曲にOZworldさんが出てくる感じが見えたんですよ。
――ビートにはレゲトンやデンボウの雰囲気も感じました。
Vanity.K:もともとレゲトンと四つ打ちを混ぜた、クラブでガンガン流れるような感じを作りたかったんです。そこにエイサーの指笛とかを要所要所に入れていったんですよ。
――「MAKENAI」の歌詞のテーマは?
Vanity.K:曲名通りで、俺らは負けないぞっていう。ネガティブなことやバッドマインドに対する、俺たちの負けないマインドをリリックに落とし込んだんです。
OHZKEY:言霊の曲ですね。自己暗示じゃないけど、そう言えばそうなるんじゃないか、みたいな。生きていて「負けちゃうな」と思うときはあるけど、それでも「負けない」と言っていく。アーティストだし、プレイヤーなんだから、自分を騙してでも前に進んでいくという姿勢です。
――OZworldのラップを聴いたときの感想は?
Vanity.K:感激でした。OZworld節が炸裂してるし、やってほしいことを超えるものが返ってきたんで、ありがとうございます!って感じでした。
――そもそもOZworldとはどんな交流があるですか?
Vanity.K:俺らがまだいろいろな人の前座をやってた17歳ぐらいのときに、沖縄の「G+」っていうクラブでOZworldさんもよくライブしていたから観ていたんです。しかも、その頃、俺らの曲をXでツイートしてくれたんですよ。初めて有名な先輩に認められたような感覚があって嬉しかったですね。
OHZKEY:一番話すようになったのは、「LONGINESS Remix」を出したあとのAwichさんのツアーかな。楽屋に沖縄チームで集まって話してたんです。本当に優しい先輩です。
――「ノスタルジックな Destination feat. 前川真悟(かりゆし58)」に招いた前川さんは、どんな縁で参加することになったんですか?
OHZKEY:一番交流があるのは僕で、数年前に真悟さんと2人で曲をやる話があったんです。実現しなかったんですけど、それを機に一緒に飲んだりするようになって、いつか曲をやりたいなと思っていたんです。ただ、真悟さんに合う楽曲がなかなかイメージできなくて。これも曲ができてから、これだったら真悟さんが合うなと思ってお声を掛けしました。
――曲はどんなイメージで作り始めたんですか?
Vanity.K:ドライブソングとか、お出かけソングを作りたいっていうところから始まったんです。でも作っていくうちに、昔を思い出すようなリリックになっていって。
――あのときの初期衝動を呼び覚まそう、みたいなテーマなんですか?
OHZKEY:そういうテーマじゃないですね。例えば僕らが「あのとき青春だったな」と思う瞬間を、今まさに体感している若い人がいるわけじゃないですか。その人たちに、その瞬間を噛み締めろよと言っているようにも思うんですよね。あのときのキラキラ感や温かさはもう二度と来ないから、ってメッセージしてるような曲になったなって。真悟さんの歌声からもそういう気持ちを感じるし、上の世代から僕らの世代へ、さらに若い世代へとバトンを渡していくような曲に着地したと思います。
――前川さんの歌詞には、徳永英明さんの「壊れかけのRadio」を思わせる部分があります。これはどんな流れから?
OHZKEY:前川さんとスタジオに入ったときに、僕が音楽に最初に触れたのはいつかという話になったんです。3、4歳のときにお父さんの車で聴いた徳永英明さんの「壊れかけのRadio」が最初だと話したら、それいいねって。曲で伝えたいこととうまく重なりそうだという真悟さんのアイデアで、オマージュして入れてくれたんです。
――ノスタルジーで言うと、この曲のリズムには90年代のヒップホップソウルやラガヒップホップの雰囲気も感じました。
OHZKEY:僕らは詳しくないんですけど、Snowの「Sexy Girl」はちょっとイメージにありました。結果、全然違う方向になってるんですけど、Art'Teckyxさんが、この時代はこういう音があったんだよ、みたいな話をしてくれて、それいいですね、みたいな。
――「Blue Jeans feat. MINMI」で迎えたMINMIは、今回の客演陣の中で一番意外性のあるコラボでした。どんな経緯で参加してもらうことになったんですか?
Vanity.K:スタッフさんの紹介です。MINMIさんと一緒にやってみたいという話は以前からあって。アルバムに客演をもう1人くらい入れたいという話になったときに、じゃあ、ということでお願いしてみたんです。そしたら面白いねって返事をいただけて、アルバムで一番最後に速攻で制作しました。
――MINMIにはどんな印象を受けましたか??
OHZKEY:お会いできてってないんですよ。MINMIさんはLAにいるから、遠隔でやりとりしてたんですけど、アーティストだな、芸術家だなという印象でした。物腰が柔らかくて、話し方もどこかふわふわしてるんだけど、感性が鋭いというか。
Oichi:いっぱい話したよね。最近何が悩みなの?とか。
――“MINMIのお悩み相談”のような感じで制作が始まったんですか?
Oichi:そうなんです。「みんな悩みないの?」とか、「最近何してんの?」みたいなことを話していたら、曲のテーマとかキーワードがだんだん決まっていって。
OHZKEY:僕らはMINMIさんの子供といってもおかしくない世代だから、最初は親子をテーマに書こうかなと考えたんです。でも、ちょっと真面目すぎるかもな、と思っていて。で、最近悩みないの?って聞かれたときに、大人になるにつれて、なりたくなかった大人になってる気がするって答えたんです。自分の尖っていた部分を削られて、協調性が増えて、自分という存在が社会に溶けていくみたいだって。そしたら、MINMIさんが「クリームソーダみたいだね」と言ってくれて。
――クリームソーダという言葉から「Blue Jeans」のテーマが広がっていったと。
OHZKEY:クリームソーダといえば緑色だよねってところから、” still Ever green“っていうリリックを出してくれたり。タイトルの「Blue Jeans」も、年を重ねることは何かを失うということじゃなく、ジーンズのように味が出ていくもの、価値が生まれていくんだよ、というふうにMINMIさんが着地させてくれたんです。社会に溶けちゃいそうっていうワードから、そこまで派生させていくんだ!みたいな。発想力がすごいと思ったし、勉強になりました。
――親子をテーマにしようとしていた名残もあるのか、MINMIさんの歌詞や歌声には、少年たちをやさしく諭すような感じがありますね。
Oichi:そうなんですよ。MINMIさんに聖母マリア感があって(笑)。
OHZKEY:だから難しかったです。特に俺とMENEWは、歌詞を書くときに、これはこういうことだよねって答えを出しがちなんですよ。でも、これは答えを出すまでの迷いや、迷ってる人の目線で書きたかった曲だから。
XF MENEW:俺は答えを求めすぎるところもあるし、答えに至るまでのプロセスを細かく書こうとしすぎるところがあって。でも、OHZKEYが、もっとストレートでいいから、子供に一回戻って、みたいに言ってくれて。結果、自分の純粋さを前面に出して書けたように思います。
OHZKEY:あのリリック、めっちゃいいよ。普段、MENEWはラップが超テクニカルなんですよ。だけど、この曲ではテクニカルにできるところを敢えてテクニカルにやらないテクニカルさみたいな。そこに俺は拍手でした。
――この曲では4MC全員の歌い方や歌声がいつも以上に無邪気で、天真爛漫な雰囲気が新鮮でした。
XF MENEW:この曲も結構行き詰まったんですけど、Caster Mildに聞いたら、「みんな、引き出しの一番手前を出せてると思う」って言ってくれて。
――独特な表現ですね(笑)。
Caster Mild:あえて引き出しの奥に手を突っ込んでない、探りに行ってないっていう意味です(笑)。それで表現が自然に柔らかくなったなと思って。
Vanity.K:アルバムでは新しい姿を出したいと思っていたんで。それをMINMIさんが引き出してくれたっていうのはめちゃくちゃ大きいですね。MINMIさんに本当感謝です。
――「% feat. CHICO CARLITO, Disry」は、ゲストの2人とXF MENEWの3人による楽曲です。これはMENEWが主導して作ったんですか?
XF MENEW:そうです。完全に俺の好みで自由にやらせてもらいました。俺の初期衝動って、こういう感じの楽曲になるんです。攻撃的なビートに乗せて、ディスとまではいかないけど、自分の怒りとか苛立ちとか、負の感情をストレートに歌うっていう。
――この2人を迎えた理由は?
XF MENEW:2人は俺がラップを始めた頃から基準にしてきたラッパーなんです。Disryさんは愛媛の方ですけど、俺らが駆け出しの頃は沖縄で活動されてて、自分が目指してるラップを沖縄でやっているのはこの2人だなと思って。いつか絶対一緒にやりたかったんです。
――2人には、どのようにテーマを説明したんですか?
XF MENEW:完全に俺の主観ですけど、今の日本のHIP HOPシーンって、それっぽい成りで、それっぽいことを言っている人がメインストリームに広がっているように感じるところがあって。HIP HOPをファッションのように扱ってるじゃないけど、リスナーもその時期に流行ってるものだけを聴いて、それを聴いてる自分がかっこいいですよ、みたいな風潮になってる気がするんです。そうじゃなくて、もっと音楽の価値を自分で見極めてほしいんですよね。俺がこの曲で歌ったことは、腐りかけてた自分にも言えることだけど、こういう負の感情があってこそのHIP HOPだと思うし、それを悪口としてわめき散らすんじゃなく、ちゃんとラップのリリックとして表現することの大切さを知ってほしいなって。2人にはそういうことをテーマに書いて欲しいと伝えました。
――憧れの2人からラップが返ってきたときの気持ちは?
XF MENEW:もう愛してる!って思いました(笑)。俺のエゴをがっつり反映したビートに憧れの2人が乗ってくれて、なおかつ自分の思いに寄り添いながらスキルフルにラップしてくれた。2人のキャラクターも出てるし、声もめっちゃ鋭利なんですよ。リリックもバシバシ韻を踏みながら、文学的な言い回しとジョークを交えて、言いたいことをうまくまとめてる。やっぱり尊敬できる2人だなと思ったし、本当、夢が叶ったようでした。
インタビュー・文/猪又 孝
SugLawd Familiarアルバム完成インタビュー前編
「楽しむことが正義」
豪華客演陣と鳴らした、5人の新たな表情
――今回のアルバムは、“享楽主義”がひとつのテーマになっていますが、どんな気持ちで作り始めたんですか?
Oichi:とにかく楽しめればいい、みたいな。
Vanity.K:喜怒哀楽どのシーンでも聴けるようなアルバムにしようって。
OHZKEY:楽しむことが正義みたいな。それ以外はあまり考えずに作ってましたね。
Caster Mild:結果、いろんなジャンルで、“楽しい”を出せている作品になったなって思います。
――サウンド面では全体的にどんな質感やムードを求めましたか?
Vanity.K:ゴリゴリのHIP HOPというよりは、誰でも聴きやすいライトな感じを求めました。ただ、HIP HOPとして弱くはしたくなかったんです。だから、メロディックだけど、ラップを詰めるところはちゃんと詰めたる。今、日本でHIP HOPがすごく流行ってるけど、俺らにしかできないメロディやラップをひとつ上のレベルでやろうと意識してました。
OHZKEY:ジャンルの融合は結構したと思います。HIP HOP以外のジャンルを取り入れて、それをいかにラップしやすいビートに落とし込むか。そこは試行錯誤しましたね。
――やりたいことを突き詰めた結果、アルバムは全18曲入りという大作になりました。
OHZKEY:(プロデューサーの)Art'Teckyxさんと作ることで脳内にあるものが具現化できるなと思ったら、やりたいことがどんどん増えていっちゃって。それに全部手を出したら18曲になったっていう感じですね。
――ソロ曲やコンビ曲も多く、4MC全員が参加していない曲もあります。
OHZKEY:一人一人、各自で自分の曲をプロデュースして一曲作ってみるという新しい試みをやりたかったんです。その曲を主導している人間が他のメンバーを誘ったり、一人で完成させたりっていう。
――アルバム制作で悩んだり、行き詰まった場面はありましたか?
Vanity.K:曲によりますね。スッといく曲もあれば、何日もかけて作った曲もありますし。でもクルーでやっているので、一人のアイデアじゃないぶん、俺はやりやすかったところがあります。
XF MENEW:俺はありまくりです(笑)。1stアルバムだから何年経って聴いても良いと思える作品にしたかったし、勝手にプレッシャーを感じていて。うまくいってるときもみんなの顔をうかがったりしてしまって。
――そのプレッシャーや迷いはどう乗り越えていったんですか?
XF MENEW:結局、全部信じることでした。目に見える形ではないですけど、こいつら一人一人に頼ろうと意識したら先が見えてきた。仲間を信じたら打破できました。
――ほかの4人は、MENEWが悩んでいることを感じていましたか?
Oichi:めちゃめちゃ感じてましたね。一回、朝イチにめちゃめちゃ機嫌悪いときがあって。
OHZKEY:考えすぎだろ、みたいな。でもわかるんですよね、それも。
Vanity.K:MENEWは思い込みが激しくなっちゃうときがあって。でも作品を作っていると自分の世界に入り込んじゃうものだから。そういうときは、ちょっと楽しくやらね? って感じで声を掛けて。
XF MENEW:俺は感情も表に出るし、メンバーは要所要所でそういう俺に気づいてくれて。そのたびに「楽しも、楽しも」って雰囲気を和ませてくれて本当に助けられました。
――Caster Mildの目に制作中の4人はどう映っていました?
Caster Mild:みんな完璧を求めすぎているように見えましたね。それぞれスキルが高くてかっこいい楽曲にはなってるんですけど、たくさんの人に届けるためには表現を柔らかくしようって。その作業にみんな悩んでるように思いました。
Vanity.K:俺ら4人でもお手上げってときは、Caster Mildが言ってくれる一言でまとまったりするんですよ。最終的にCaster Mildに委ねる場面は結構ありましたね。
――まさに、今のような客観的な視点ですね(笑)。
OHZKEY:確かに。本当そうだった(笑)。
――今回の制作で、もっともチャレンジングだったことは?
Vanity.K:客演を招いて楽曲が作れたことですね。個人個人のスタイルが違うが故に、今まであまりやれなかったんですよ。でも客演の人が入ることによって、その人の個性をどう立てるか。いろいろ考えながら作れて楽しかったし、発見もたくさんありました。
――ここからは客演曲について聞かせてください。まずはアルバムの先行シングル「MAKENAI feat. OZworld」から。この曲にOZworldを迎えた経緯は?
OHZKEY:単純に、できあがった曲に合いそうだなと思って(笑)。元々ああいうサウンドを作りたくて、どう俺らっぽくしようかと考えたときに、沖縄のエイサーでよく使われる「ミルクムナリ」曲から着想を得たんです。琉球音階的なものを使った結果、あのサウンドになって、だったらOZworldさんが合いそうじゃない?って。
Vanity.K:満場一致でしたね。この曲にOZworldさんが出てくる感じが見えたんですよ。
――ビートにはレゲトンやデンボウの雰囲気も感じました。
Vanity.K:もともとレゲトンと四つ打ちを混ぜた、クラブでガンガン流れるような感じを作りたかったんです。そこにエイサーの指笛とかを要所要所に入れていったんですよ。
――「MAKENAI」の歌詞のテーマは?
Vanity.K:曲名通りで、俺らは負けないぞっていう。ネガティブなことやバッドマインドに対する、俺たちの負けないマインドをリリックに落とし込んだんです。
OHZKEY:言霊の曲ですね。自己暗示じゃないけど、そう言えばそうなるんじゃないか、みたいな。生きていて「負けちゃうな」と思うときはあるけど、それでも「負けない」と言っていく。アーティストだし、プレイヤーなんだから、自分を騙してでも前に進んでいくという姿勢です。
――OZworldのラップを聴いたときの感想は?
Vanity.K:感激でした。OZworld節が炸裂してるし、やってほしいことを超えるものが返ってきたんで、ありがとうございます!って感じでした。
――そもそもOZworldとはどんな交流があるですか?
Vanity.K:俺らがまだいろいろな人の前座をやってた17歳ぐらいのときに、沖縄の「G+」っていうクラブでOZworldさんもよくライブしていたから観ていたんです。しかも、その頃、俺らの曲をXでツイートしてくれたんですよ。初めて有名な先輩に認められたような感覚があって嬉しかったですね。
OHZKEY:一番話すようになったのは、「LONGINESS Remix」を出したあとのAwichさんのツアーかな。楽屋に沖縄チームで集まって話してたんです。本当に優しい先輩です。
――「ノスタルジックな Destination feat. 前川真悟(かりゆし58)」に招いた前川さんは、どんな縁で参加することになったんですか?
OHZKEY:一番交流があるのは僕で、数年前に真悟さんと2人で曲をやる話があったんです。実現しなかったんですけど、それを機に一緒に飲んだりするようになって、いつか曲をやりたいなと思っていたんです。ただ、真悟さんに合う楽曲がなかなかイメージできなくて。これも曲ができてから、これだったら真悟さんが合うなと思ってお声を掛けしました。
――曲はどんなイメージで作り始めたんですか?
Vanity.K:ドライブソングとか、お出かけソングを作りたいっていうところから始まったんです。でも作っていくうちに、昔を思い出すようなリリックになっていって。
――あのときの初期衝動を呼び覚まそう、みたいなテーマなんですか?
OHZKEY:そういうテーマじゃないですね。例えば僕らが「あのとき青春だったな」と思う瞬間を、今まさに体感している若い人がいるわけじゃないですか。その人たちに、その瞬間を噛み締めろよと言っているようにも思うんですよね。あのときのキラキラ感や温かさはもう二度と来ないから、ってメッセージしてるような曲になったなって。真悟さんの歌声からもそういう気持ちを感じるし、上の世代から僕らの世代へ、さらに若い世代へとバトンを渡していくような曲に着地したと思います。
――前川さんの歌詞には、徳永英明さんの「壊れかけのRadio」を思わせる部分があります。これはどんな流れから?
OHZKEY:前川さんとスタジオに入ったときに、僕が音楽に最初に触れたのはいつかという話になったんです。3、4歳のときにお父さんの車で聴いた徳永英明さんの「壊れかけのRadio」が最初だと話したら、それいいねって。曲で伝えたいこととうまく重なりそうだという真悟さんのアイデアで、オマージュして入れてくれたんです。
――ノスタルジーで言うと、この曲のリズムには90年代のヒップホップソウルやラガヒップホップの雰囲気も感じました。
OHZKEY:僕らは詳しくないんですけど、Snowの「Sexy Girl」はちょっとイメージにありました。結果、全然違う方向になってるんですけど、Art'Teckyxさんが、この時代はこういう音があったんだよ、みたいな話をしてくれて、それいいですね、みたいな。
――「Blue Jeans feat. MINMI」で迎えたMINMIは、今回の客演陣の中で一番意外性のあるコラボでした。どんな経緯で参加してもらうことになったんですか?
Vanity.K:スタッフさんの紹介です。MINMIさんと一緒にやってみたいという話は以前からあって。アルバムに客演をもう1人くらい入れたいという話になったときに、じゃあ、ということでお願いしてみたんです。そしたら面白いねって返事をいただけて、アルバムで一番最後に速攻で制作しました。
――MINMIにはどんな印象を受けましたか??
OHZKEY:お会いできてってないんですよ。MINMIさんはLAにいるから、遠隔でやりとりしてたんですけど、アーティストだな、芸術家だなという印象でした。物腰が柔らかくて、話し方もどこかふわふわしてるんだけど、感性が鋭いというか。
Oichi:いっぱい話したよね。最近何が悩みなの?とか。
――“MINMIのお悩み相談”のような感じで制作が始まったんですか?
Oichi:そうなんです。「みんな悩みないの?」とか、「最近何してんの?」みたいなことを話していたら、曲のテーマとかキーワードがだんだん決まっていって。
OHZKEY:僕らはMINMIさんの子供といってもおかしくない世代だから、最初は親子をテーマに書こうかなと考えたんです。でも、ちょっと真面目すぎるかもな、と思っていて。で、最近悩みないの?って聞かれたときに、大人になるにつれて、なりたくなかった大人になってる気がするって答えたんです。自分の尖っていた部分を削られて、協調性が増えて、自分という存在が社会に溶けていくみたいだって。そしたら、MINMIさんが「クリームソーダみたいだね」と言ってくれて。
――クリームソーダという言葉から「Blue Jeans」のテーマが広がっていったと。
OHZKEY:クリームソーダといえば緑色だよねってところから、” still Ever green“っていうリリックを出してくれたり。タイトルの「Blue Jeans」も、年を重ねることは何かを失うということじゃなく、ジーンズのように味が出ていくもの、価値が生まれていくんだよ、というふうにMINMIさんが着地させてくれたんです。社会に溶けちゃいそうっていうワードから、そこまで派生させていくんだ!みたいな。発想力がすごいと思ったし、勉強になりました。
――親子をテーマにしようとしていた名残もあるのか、MINMIさんの歌詞や歌声には、少年たちをやさしく諭すような感じがありますね。
Oichi:そうなんですよ。MINMIさんに聖母マリア感があって(笑)。
OHZKEY:だから難しかったです。特に俺とMENEWは、歌詞を書くときに、これはこういうことだよねって答えを出しがちなんですよ。でも、これは答えを出すまでの迷いや、迷ってる人の目線で書きたかった曲だから。
XF MENEW:俺は答えを求めすぎるところもあるし、答えに至るまでのプロセスを細かく書こうとしすぎるところがあって。でも、OHZKEYが、もっとストレートでいいから、子供に一回戻って、みたいに言ってくれて。結果、自分の純粋さを前面に出して書けたように思います。
OHZKEY:あのリリック、めっちゃいいよ。普段、MENEWはラップが超テクニカルなんですよ。だけど、この曲ではテクニカルにできるところを敢えてテクニカルにやらないテクニカルさみたいな。そこに俺は拍手でした。
――この曲では4MC全員の歌い方や歌声がいつも以上に無邪気で、天真爛漫な雰囲気が新鮮でした。
XF MENEW:この曲も結構行き詰まったんですけど、Caster Mildに聞いたら、「みんな、引き出しの一番手前を出せてると思う」って言ってくれて。
――独特な表現ですね(笑)。
Caster Mild:あえて引き出しの奥に手を突っ込んでない、探りに行ってないっていう意味です(笑)。それで表現が自然に柔らかくなったなと思って。
Vanity.K:アルバムでは新しい姿を出したいと思っていたんで。それをMINMIさんが引き出してくれたっていうのはめちゃくちゃ大きいですね。MINMIさんに本当感謝です。
――「% feat. CHICO CARLITO, Disry」は、ゲストの2人とXF MENEWの3人による楽曲です。これはMENEWが主導して作ったんですか?
XF MENEW:そうです。完全に俺の好みで自由にやらせてもらいました。俺の初期衝動って、こういう感じの楽曲になるんです。攻撃的なビートに乗せて、ディスとまではいかないけど、自分の怒りとか苛立ちとか、負の感情をストレートに歌うっていう。
――この2人を迎えた理由は?
XF MENEW:2人は俺がラップを始めた頃から基準にしてきたラッパーなんです。Disryさんは愛媛の方ですけど、俺らが駆け出しの頃は沖縄で活動されてて、自分が目指してるラップを沖縄でやっているのはこの2人だなと思って。いつか絶対一緒にやりたかったんです。
――2人には、どのようにテーマを説明したんですか?
XF MENEW:完全に俺の主観ですけど、今の日本のHIP HOPシーンって、それっぽい成りで、それっぽいことを言っている人がメインストリームに広がっているように感じるところがあって。HIP HOPをファッションのように扱ってるじゃないけど、リスナーもその時期に流行ってるものだけを聴いて、それを聴いてる自分がかっこいいですよ、みたいな風潮になってる気がするんです。そうじゃなくて、もっと音楽の価値を自分で見極めてほしいんですよね。俺がこの曲で歌ったことは、腐りかけてた自分にも言えることだけど、こういう負の感情があってこそのHIP HOPだと思うし、それを悪口としてわめき散らすんじゃなく、ちゃんとラップのリリックとして表現することの大切さを知ってほしいなって。2人にはそういうことをテーマに書いて欲しいと伝えました。
――憧れの2人からラップが返ってきたときの気持ちは?
XF MENEW:もう愛してる!って思いました(笑)。俺のエゴをがっつり反映したビートに憧れの2人が乗ってくれて、なおかつ自分の思いに寄り添いながらスキルフルにラップしてくれた。2人のキャラクターも出てるし、声もめっちゃ鋭利なんですよ。リリックもバシバシ韻を踏みながら、文学的な言い回しとジョークを交えて、言いたいことをうまくまとめてる。やっぱり尊敬できる2人だなと思ったし、本当、夢が叶ったようでした。
インタビュー・文/猪又 孝