高畑充希

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高畑充希『PLAY LIST』ライナーノーツ

2014.3.3

はじまりの歌声

新しいはじまりを告げる朝。人気ドラマの劇中で流れたチャーミングな歌声に、多くの人が吸い込まれた。その声の持ち主は、高畑充希・22歳。可憐なたたずまいに、意志の強そうな瞳、透明でありながら余韻を残す歌声は、作品や役柄とともに大きな話題を呼んだ。
実は、彼女が約10年のキャリアがある女優であると同時に、アーテイストとしての顔も持っていることを知っている人は、まだ多くはない。
ベストアルバム『PLAY LIST』には、そんな彼女の歩みがあますところなくつめこまれている。

「“演じること”と“歌うこと”は別物だけど、どちらもタイトルの“PLAY”で表せるし、“遊ぶ”とか他の意味もいろいろこめられる言葉ですよね。役者でありながら、歌手としてデビューする機会をいただいたり、役柄の中でも歌う機会が多かった。私らしい言葉だなと。自分でも1曲1曲、聴きながら振り返ると、本当にいろんなことを思い出せますし、高畑充希を知っていただく名刺代わりにもなっていると思います」

いつの時代も、歌う女優は存在したし、演じる歌い手も同じこと。高畑充希はそのどちらでもあるけれど、それだけでは形容しがたい。まるで運命のように、そのキャリアには、はじめから“演じること”に“歌うこと”が自然に密接に寄り添っていた。
今作には、彼女がデビューを果たした舞台のオーディションで歌った楽曲から、アーティストとしてリリースした3枚のシングルと1枚のアルバム、数々の舞台やドラマなどの劇中で歌ってきた楽曲の中から、高畑自身が選曲した全11曲が収録されている。

「自分でも不思議なんですよ。歌手を志したことは1度もないんです。子供の頃からTVもCDもほどんと触れたことがなくて、両親と一緒に舞台ばかり観に行っていた。私もいつかあのキラキラした場所――舞台に立ってみたいなって願っていたんです」
 その夢を叶えるべく、小学生の頃からたくさんのオーディションに挑戦したが、10回以上落選。初めて栄冠を手にしたのが大作ミュージカル『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバック part2 ~屋上の天使』。高畑はオーディションで中島美嘉の「FIND THE WAY」を歌って、9621人の中から主役を勝ち取った。
その舞台のマスコミ向けのお披露目会で、偶然にも彼女の歌声を聴いて惚れ込んだのが、レコード会社がデビューを持ちかけ、女優として歩み始めたばかりの彼女は、新人アーティスト“みつき”としてもデビューすることが決まった。

「最初は自分の身に何が起こっているのか、分からなかったんです。そこまで音楽に詳しくない私でも聴いていた、コブクロの小渕さんが楽曲提供とプロデュースをしてくださって。その曲が映画の主題歌になるなんて……。普通の中学生だった私には、とても現実とは思えない話で、当時は戸惑いっぱなし。目の前のことに必死で取り組むことしかできなかったです」  それが本作にも収録されているデビュー曲『大切なもの』だ。
「昔も今もすごく好きな曲ですね。歌詞も15歳の自分に寄り添っていて、背伸びせずに歌えたのが嬉しかった。正直、当時は自分の歌の未熟さに悔いも残っていたんですけど……。今、改めて聴くと、あの未熟さや葛藤もふくめて良かったなぁって思えます。小渕さんも、また楽曲を提供してくださった竹内まりやさんも、レコーディングに来て、細部まで丁寧に作りこんでくださった。当時の音以上のモノはとれないだろうなと思ったから。私の歌も、技術的にはまだまだだけど、あの時にしか歌えない歌だったのかなって。「青い風」も「夏のモンタージュ」もそう。あの頃だからこそ、出せた何かがある。それは今回、レコーディングした「alone」や「風」などの劇中歌も同じかなって。レコーディングの時も、舞台やドラマの劇中で歌う時も思うんです。私の歌唱力は、決して特別じゃない。技術はもっと必要だし、これからも鍛練を積み重ねていきたい。一方では、巧い以上に大切なものがあるし、物語やお芝居に寄り添った歌が歌いたい。その日、その時、自分にしか歌えない歌が歌いたいなぁって思います」

 アーティスト“みつき”としては、3枚のシングルと1枚のアルバムをリリースした後、しばしの休息をもって、女優業に専念してきた。その間も、偶然か必然か、ミュージカル「ピーターパン」の主演を6年連続でつとめたほか、ドラマや映画の中でも役柄を通して、歌を磨き続けてきた。そして、昨年、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の西門希子役と「焼氷有り〼の唄」にめぐりあった。

「あの作品と役柄に巡り合えて、歌うことで私なりの希子を演じることが出来てすごく嬉しかったですね。特に嬉しかったのは、後から歌うことが決まったこと。まずは、オーディションを受けて希子という役柄をいただいて。決まったあとに、私の舞台を見に来てくださった(脚本の)森下さんが私の歌う場面を観て、『希子にも歌う場面を作りましょう』と言ってくださったこと。演技があって歌がある。この順番は、私にとっては大きな意味があるんです。これまでは、歌を褒められたり、チャンスをいただくたびに嬉しい半面、複雑だったんです。まずはお芝居で勝負できる役者になりたいと思っていたから。舞台やドラマで歌を褒められると、『私には歌しかないのかな。お芝居も観てほしいのに』って。音楽の影響力を認めながらも、音楽に勝るお芝居がしたかったから。でも、この約10年間、たくさん演じて、たくさん歌ってきて。「ごちそうさん」のように、この役柄を高畑充希にと言ってもらうことも徐々に増えてきた。今は、自分の歌を求められ、評価される喜びも、素直に感じられるようになりました。歌は私の個性のひとつだし、音楽って素晴らしいなぁって」

 今までの約10年間。めぐり合ったもの、ひとつひとつ積み重ねてきたことのすべてが、今、彼女の内側で熟して、ひとつのアルバムとして実った。
ここから、また、新しい高畑充希がはじまる。

「ここ1~2年で私の中でいろんなことがすごく変わったんですよね。この世界で、この仕事で生きていく覚悟が持てるようになってきた。だから、今後は“自分発信”が目標です。このアルバムはその第一歩ですよね。選曲からデザイン、コンセプトまで初めて自分のやりたいことをやらせていただいたので。そこに伴う喜びと責任を感じながらも、これからも、怖がらずに伝えよう。自分を発信していこうって思っています。」

芳麗

  • ALBUM
  • CD

PLAY LIST

2014.03.26 発売 ¥3,300(税込)/WPCL-11791

高畑充希PLAY LIST

  • ALBUM
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2014.03.26 発売 ¥3,300(税込)/WPCL-11791

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NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」での西門希子役として話題沸騰中の女優、高畑充希(たかはたみつき)の歌手としてのキャリアを網羅する集大成アルバム!

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