中心人物エイドリアン・ヴァンデンバーグを中心にオランダで結成されたグループ。
マネージャーには、そのデモ・テープを聴いた瞬間にロックジャーナリストの職を自ら辞しバンドともに歩むことに専念したといわれるキーズ・バーズ。キーズがオランダを中心に世界にプロモーションを行う中で、ＡＣ／ＤＣやスコーピオンズなどのブッキングを担当していたピーター・メンチ（現在、ＲＨＣＰをはじめとする業界大手のマネージメント）と出会い、ピーター・メンチから音源を受け取ったアトランティックの敏腕副社長フィル・カーソンが興味を抱いてオランダに渡り、バンドのライヴを見たその場で契約を結んだ程、そのスタイル、サウンド、楽曲すべてにおいて魅力溢れるハードロック・グループ。
ファースト・アルバムは、ジミー・ペイジのスタジオを使用してセルフ・プロデユースにより完成された。メロディアスなソングライティングと卓越したギター・ワークは、アメリカでもテキサスを中心に人気が上昇。デビューの１９８２年は、ランディ・ローズが永眠した年でもあり、美しいギターフレーズが、新時代のギター・ヒーローを予感させタイミングでもあった。また　辛口で知られるリッチー・ブラックモアも当時のインタビューで興味のあるグループとしてレッド・ツェッペリンとヴァンデンバーグを挙げていたと言う程、シーンを魅了したグループでもあった。
８４年には２ndアルバム『誘惑の炎』をリリース。独自のスタイルを推し進めた素晴らしい作品であったが、全米の評価は残念ながら厳しい結果となった。しかし日本では、シングル曲「フライデイ・ナイト」がヒットし幅広いファンを獲得し、来日公演も実現させる。
８５年には、３rdアルバム『アリバイ』をリリース。よりメロディアスなアダルトな方向へシフトを行ったが、シーンには残念ながら大きく迎えられることが無く、ヴォーカリストの脱退を経て、解散へ向かう。しかし現在でもそのクオリティと高い完成度を好むファンも多く存在している。
なお、ヴァンデンバーグは、その後ギタリストとして、あのホワイトスネイクに参加。後期のホワイトスネイク、デイヴィッド・カヴァデールを支えるバンドの中心人物として活躍を行った。
バンドのロゴ、２ndアルバム、３rdアルバムのジャケット・デザインもヴァンデンバーグ自らが手掛けており、現在は、画家として活動を行っている。