ウータン・クランはニューヨークのスタテン・アイランド出身のラップ／ヒップホップ・グループ。主要メンバーはリーダー的存在でプロデューサーとしても活躍するRZA（レザ）を筆頭にGZA（ジニアス）、メソッド・マン（Method Man）、レイクウォン（Raekwon）、オール・ダーティ・バスタード（Ol’Dirty Bustard）、ゴーストフェイス・キラー（Ghostface Killah）、インスペクター・デック（Inspectah Deck）、マスター・キラー（Masta Killah）、U・ゴッド（U-God）、2ndアルバムから正式メンバーとなったと言われるカパドナ（Cappadonna）の10人である（注：RZAとODB、GZAは従兄弟）。

93年に発表したシングル「PROTECT YA NECK」でシーンに衝撃を与えラウド・レーベルと契約。
同年1stアルバム『ENTER THE WU-TANG : 36 CHAMBERS（邦題：燃えよウータン）』を発表すると、瞬く間にウータンはヒップホップ・シーンで最も影響力を持つグループとなる。ハードコアでありながらコマーシャル性も高いこの作品は各方面で大絶賛され、ヒップホップ／ラップ史に残る歴史的傑作と評される。

97年、2枚組2nd アルバム『WU-TANG FOREVER』をリリースし全世界で600万枚以上のセールスを記録。
2000年、NASやバスタ・ライムズ、アイザック・ヘイズなどなど豪華アーティストがゲスト参加した3rdアルバム『THE W』を、2001年には4作目『IRON FLAG』をリリース。その後、2004年に中核メンバーの中でも最もユニークだったオール・ダーティ・バスタードが急死する事件もあり、しばらく活動が停滞していたが2007年に現在のところ最新作となる『THE 8 DIAGRAMS』をリリースしファンを安心させた。

2014年に入ると、世界でたった1枚しかプレスしないという前代未聞のアルバム制作を発表したり、デビュー20周年を記念したアルバム『A BETTER TOMORROW』のリリースを予告したりと活動が活発化。10月にはワーナーブラザーズとの電撃契約、そして『A BETTER TOMORROW』の公式リリースを発表した。

主要メンバーがそれぞれソロとして活動し成功を収め、副業としてアパレル・ブランドを手掛けたり、という後のヒップホップ界に多大なる影響を与えた彼らは、ローリングストーン誌のクリス・エックス氏が“ラップグループ史上最高のグループ”と評した通り、今でも尚ヒップホップ史に君臨する伝説的祖存在である。