※ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ日本語解説書・帯付き。
日本語解説書には、ヨアフ・レヴァノンのコメントの日本語訳、長井進之介氏による書下ろし解説を掲載

【収録予定曲】
フランツ・リスト（1811-1886）
超絶技巧練習曲集　S.139
1. 第1番 ハ長調 《前奏曲》
2. 第2番 イ短調　Molto vivace（Fusées）
3. 第3番 ヘ長調 《風景》
4. 第4番 ニ短調 《マゼッパ》
5. 第5番 変ロ長調 《鬼火》
6. 第6番 ト短調 《幻影》
7. 第7番 変ホ長調 《英雄》
8. 第8番 ハ短調 《荒野の狩》
9. 第9番 変イ長調 《回想》 
10. 第10番 ヘ短調　Allegro agitato molto（Appassionata）
11. 第11番 変ニ長調 《夕べの調べ》
12. 第12番 変ロ短調 《雪あらし》

【演奏】
ヨアフ・レヴァノン（ピアノ）

【録音】
2024年11月27-30日　フランス、ブーローニュ＝ビヤンクール、
ラ・セーヌ・ミュージカル、RiffX

　ヨアフ・レヴァノンにとって、フランツ・リストは「音楽界への影響が計り知れない芸術家」であり、「ピアニストとして、そして音楽家としての私の旅路に寄り添ってくれた、協力的で、愛情深く、理解のある存在」です。レヴァノンがこれまでワーナー・クラシックスからリリースした3枚のアルバムのうち2枚にはリストの作品が収録されており、そして今、このイスラエル生まれの若きピアニストは、ロマン派のピアノ・レパートリーの最高峰である12の《超絶技巧練習曲集》を録音しました。
　フランツ・リスト作曲の《超絶技巧練習曲集》は、ロマン派のピアノ音楽を代表する金字塔であり、12の独立した曲からなるピアノ独奏のための曲集です。その名の通り、演奏者には極めて高度な演奏技術、すなわち「超絶技巧」が要求されますが、その本質は単なる技術の誇示ではなく、各曲が持つ豊かな詩情と深い芸術性にあります。
　この曲集は、リストが生涯にわたって3度改訂を重ねたことでも知られています。元はリストが15歳の時に作曲した《12の練習曲》（1826年）で、これを青年期に《大練習曲》（1837年）として、演奏不可能とも言われるほど技巧的に複雑な作品へと発展させました。最終的に1852年、円熟期を迎えたリストが技術的な課題を整理し、音楽的・芸術的内容を一層深化させた決定版として出版したのが、今日広く演奏される「超絶技巧練習曲集」です。この版は、リストの師であるカール・チェルニーに献呈されました。
　ピアニストのレヴァノンは、「超絶」という言葉を単なる演奏技術の高さだけでなく、音楽が持つ神秘的・精神的な意味も含むと捉えています。彼にとって《超絶技巧練習曲集》への挑戦は、技巧そのものが目的ではなく、それによって音楽の持つ感情的、精神的、交響的なまでの広大な表現力を明らかにすることにありました。各曲が独自の宇宙をなし、重層的で複雑なこれらの作品は、単なる華麗さ以上の深い表現を要求し、聴き手を内なる風景へと誘っています。