ZAZザーズ

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日本で行ったオフィシャル・インタビューを公開!

2015.1.26

― パリがテーマの楽曲を歌ったニューアルバム「PARIS~私のパリ~」を作った意図と目的を教えてください。
ザーズ(以下Z)第一の目的は、自分自身が楽しいと思えるアルバムを作ることでした。同時にファンの皆さんから、カヴァー曲のアルバムを作ってほしいというリクエストもあったので、皆さんに喜んでほしいというところから生まれたアルバムでもあります。また、私がジャズをやりたい気持ちも満たすアルバムにしようという思いで作りました。
その過程で、クインシー・ジョーンズに3曲のエグゼクティヴ・プロデュースをお願いしたらOKが出たのも、とても嬉しいことでした。そして素晴らしいミュージシャンたちと一緒にアルバムを作ることが出来て、ミュージシャンたちからたくさんのインスピレーションをもらいました。
このアルバムは、私のオリジナル曲を歌うアルバムと同じようなやり方で作りました。自由なアレンジを施して、その結果、聴けば曲が何かは分かるけれど、それぞれの曲の一般的なやり方とは違う仕上がりに出来たことに、とても満足しています。

― 今の話にあったように、これまでのあなたのアルバムと比べるとジャズの要素が強く出ています。昔からジャズが好きだったんですか?
Z 子供の頃からジャズを聴いていたわけではありませんが、21歳のときに受けた音楽のワークショップで、アフリカやキューバの音楽、ジャズ、ゴスペル、ファンクなど様々なジャンルの音楽を知りました。
初めてジャズを聴いたとき、とても身近に感じて、エラ・フィッツジェラルドやボビー・マクファーリンといった素晴らしい歌手のインプロヴィゼーションの感覚やスキャットなど、声を楽器のように扱って、たんなる歌を越えていくところに惹かれました。
もちろんシャンソンは、私たちにとって遺伝子のような財産ですから昔から聴いていましたが、実はジャズを歌い始めた方が早く、シャンソンは歌手の仕事を始めてから歌うようになったんです。

― アルバムでもショーケース・ライヴでも素晴らしいスキャットを披露していました。スキャットは昔からやってましたか?
Z 昔からメロディーを自分で作り出していくのが大好きでした。子供の頃から英語っぽい言葉を真似して歌っていたことがスキャットに繋がったのかもしれません。言葉を歌うといろんなことが表現できますが、言葉の範疇に閉じこめられてしまう側面もあります。でもスキャットなら、全く自由にエネルギーを伝えることが出来るので大好きです。

― アルバムで取り上げたシャンソンの名曲は、あなたが生まれる前の時代に作られました。それらの曲の歌詞に描かれた世界を2010年代の今、あなたが歌うにあたって、そこには時代を超えた普遍的な要素があると思いますか? それとも、今は失われてしまったものへのノスタルジーを感じますか?
Z 私は今がいちばん大事だと思う人間なので、ノスタルジーはありません。人生は前進していくべきものであり、後悔はしないという考え方です。物事は変わっていくもので、そうあってこそ人々は幸せになれると信じています。ですから普遍的なものを語っている曲を選んで歌いました。
「パリジェンヌ」の風刺的な歌詞は、今の社会にも通じると思います。
「いつものパリ」は戦時下に書かれた、戦時下でも生きていく楽しみを失ってはいけないと語っている曲で、それは現代にも当てはまります。実際、今フランスで表現の自由に対する攻撃が起きていますが、そういった中でも生きていく楽しみを忘れてはいけない、自由を制限されてはいけない、諦めてはいけない。諦めてしまうと恐怖を強いる力に負け、社会を豊かにしている多様性を壊す力に屈服することになります。ですからお互いが敬意を表して、異なるからこそ豊かな社会なんだということを語っている曲だと思います。
このように、歌詞が気に入って選んだ曲の他、メロディーが素敵な曲もありますし、詩的な要素が気に入った曲、歌詞が描く絵が素敵な曲もたくさんあります。
「シャンゼリゼ」はロシアのウラジオストクのコンサートでリクエストされて、まさかこの曲を遠く離れたロシアでリクエストされるとは思わなかったことへの驚きから選んだ曲です。こういったことを通して音楽、曲は、人々の出会いを促すもので、私たちみんなが繋がっていることをよく表わしていると思いました。
このアルバムにはゴスペル、マヌーシュ、スラブ的な音楽の要素もあり、多様な文化が混ざり合っているパリを体現したアルバムになっていると思います。

― あなたが歌詞を書いた新曲「私の心のパリ」では、観光名所だけではないパリの魅力を歌っています。そこで日本のファンに向けて、観光名所化されていないけれど訪れた方が良いと思う場所を教えてください。
Z 一般的に知られているパリの名所はもちろん素敵な場所ですが、私が毎日シャンゼリゼを散歩することはありません。もっと庶民的な場所に行きます。そういった場所こそ様々な文化の共存、パリの魂を表わしていると思います。
具体的には私が住んでいるパリの20区。メニルモンタン、ショーモンの丘、オベルカンフ通り、ベルヴィル・・。20区全体と言ってもいいかもしれません。他にもいろんな場所がありますので、ぜひパリで迷子になってみてください(笑)。

― あなたがパリに出てきて、自分のアルバムを出してスターの座につくよりも前の時代を振り返っていただけますか? 当時の良かった思い出、つらかった思い出など。
Z どんな思い出をあげたらいいか分からないぐらい、いろんな種類の経験を重ね、いろんなことを学びました。たとえば街なかの路上で歌ったことによって、お金の価値を実感できたと思います。
モンマルトルの路上で歌っていたことが最も良い経験で、モンマルトルの画家の人たちも歓迎してくれました。観光客の前で「枯葉」を歌ったとき、私の目の前で泣き出した男性がいて、音楽が人それぞれの思い出や経験に結びついていることを実感しました。ある日、いつも歌っていた場所の2階に住んでいた女性が降りてきて「気分が落ちこんでいるんだけど、あなたの歌を聴いているとますます落ちこんでくるから違う場所に行ってくれ」と言われたこともありましたが、私はそこで歌い続けました。

― 最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
Z 日本に来ることが出来てとても嬉しく、皆さんと音楽を分かち合える喜びを感じています。私もミュージシャンも毎回、日本に来ることがとても楽しみなんです。環境は違いますが、日本に来ると落ち着くことが出来て、皆さんの優しさがとても気持ち良いです。
(最後に日本語で)ワタシ、ウレシイ!トッテモ、ウレシイデス!

インタビュアー:中原仁
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2015.01.28 発売 ¥3,630(税込)/WPZR-30606/7

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2015.01.28 発売 ¥2,640(税込)/WPCR-16205

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