ウィーンの伝統と現代的な解釈を融合させた、驚異的な演奏が展開されています。室内楽の最高峰と謳われるベートーヴェンの後期作品の中でも、とかく内省的に捉えられがちな第15番ですが、アルバン・ベルク四重奏団は明快な演奏で作品の真価を披露しています。85年度「レコード・アカデミー賞」を受賞した名演です。

高い評価が与えられているベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の中でも、最高傑作の呼び声が高い第14番。厳しく切りつめられた内容は究極の音楽を思わせます。アルバン・ベルク四重奏団は正統的でありながら新鮮かつ劇的な解釈で、この名曲の凄みを余すところなく表現しています。

深遠な世界を思わせる名演です。平明な中に底知れない深さを湛えた高邁な内容の第12番。俗界の雑念をすべて洗い流したような第3楽章をもつ第16番、ともにアルバン・ベルク四重奏団は、最高峰といわれるベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を明朗な演奏で作品の真価を伝え、感動的な「美」を描ききっています。

名チェリスト、シフを加えての演奏。アルバン・ベルク四重奏団のシューベルト解釈が明確に示された演奏で、ウィーンの伝統を肌で感じ取れる名演が展開されています。シフもアルバン・ベルク四重奏団の意図を十二分に理解し、決して無機的には陥らない緊密なアンサンブルで、叙情と情熱の両立を生み出しています。

シューベルトの弦楽四重奏の演奏史に新たな一面を切り開いた、記念碑的な名演です。従来のような第1ヴァイオリン主導型ではなく、四重奏の各楽器が対等に主張しあい、せめぎ合うさまはまさに圧巻。精密きわまりない合奏力、表現主義的ともいえる生々しい解釈が、この2つの名曲に秘められた深淵を明らかにしています。

ドビュッシーもラヴェルも弦楽四重奏曲は1曲しか残しませんでしたが、ともに近代フランスを代表する名品としてあまねく知られています。アルバン・ベルク四重奏団の演奏は、いつもながら隅々まで考え抜かれた精緻なもの。ドイツ・オーストリア系の作品に対するのとはまた違った、柔軟な演奏で耳をそばだてさせます。

ベートーヴェンの16曲と並び称される、弦楽四重奏曲の名作がこのバルトークの全6曲です。どの曲も異常なほどの緊張感と稠密な構成に支えられ、息苦しいぐらいの強いメッセージを内に秘めています。表現の上でも技術的にも至難なこの6曲を、あらゆる面からみて完璧に弾きこなしたアルバン・ベルク四重奏団の代表的名盤の一つです。

端正で格調高い外観とふくよかな内面性の両立。弦楽四重奏曲の原点ともいえるハイドン作品の傑作集。

メンバー交代を経て黄金期を迎えたアルバン・ベルク四重奏団の、細部まで磨きぬかれたモーツァルト。