Beatrice Veneziベアトリーチェ・ヴェネツィ

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音楽ジャーナリスト、伊熊よし子さんよりの、ベアトリーチェ・ヴェネツィのデビューアルバム・コメント

2019.9.25

[イタリア・ルッカ生まれのレディ・マエストロ、
    ベアトリーチェ・ヴェネツィがプッチーニ作品でCDデビュー]

 イタリア・オペラを代表する作曲家ジャコモ・プッチーニは、イタリア・トスカーナ州のルッカ出身。旧市街には生家が残され、プッチーニ博物館として見学可能である。1990年にルッカで生まれたベアトリーチェ・ヴェネツィは子どものころからプッチーニの音楽に親しんできた。最初はピアノを習っていたが、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で指揮を学ぶようになり、2017年からイタリア/プッチーニ音楽祭首席客演指揮者を務めている。
「私が指揮者になりたと思ったのは、幅広く音楽と対峙できると考えたからです。でも、女性が指揮者になるのは簡単なことではありませんでした。国際コンクールを受け、オペラを指揮することができるようになりましたが、指揮者は常にオーケストラとのコミュニケーションにおいて多大な努力を強いられます。客演でいろんなオーケストラと演奏するわけですから。でも、常にプッチーニの作品が私の後押しをしてくれ、彼の音楽が道しるべとなっています。プッチーニの音楽は、私の血となり肉となっているもの。デビューCDも迷わず、プッチーニを選びました」
 ヴェネツィはステージではスーツやタキシードを着用せず、ドレス姿。男性の指揮者に対抗するのではなく、あくまでも自分の道を切り開きたいと考えているからだ。
「女性がリーダーには向いていないと思われていることを覆すよう、音楽そのもので勝負したい。新たなオーケストラと共演するときにもっとも大切なのは、最初のリハーサルです。そこでオーケストラの気持ちをつかみ、自分がやりたいことを伝え、ともにいい音楽が生まれるようにもっていかないと次なる機会はありません。とても緊張し、感情的な高まりを伴いますが、これが指揮者の使命です」
デビュー録音のプッチーニ「管弦楽曲集」は、そんな彼女の強い意志が詰まった録音。
「プッチーニ作品はイタリア・オペラのあらゆる手法、感情、表現を含んでいます。現代的で、いつまでも色褪せないのも特徴です。今回はあまり演奏される機会のない《スケルツォ》を収録しました。これはプッチーニ・センターが編集し直したもので、初録音となります。オーケストラ・デッラ・トスカーナは私がキャリアの最初のころに出会ったオーケストラですので再会を喜び、お互いに成長した姿を披露しあいました。《マノン・レスコー》《マダム・バタフライ》など大好きな曲を選んでいます」
 勢いのあるみずみずしい演奏が全開だ。
                        音楽ジャーナリスト、伊熊よし子
 
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Beatrice Venezi / ベアトリーチェ・ヴェネツィ Puccini: Symphonic works / プッチーニ:管弦楽作品集【輸入盤】

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2019.10.25 発売/5419.705353

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女流指揮者ベアトリーチェ・ヴェネツィの、心理や性格を見事に表現したプッチーニ 1990年生まれの女性指揮者ベトリーチェ。ヴェネツィ。すでにナポリ・ヤング・オーケストラ・スカルラッティの首席指揮者、アルメニア国立管弦楽団の副指揮者を務め、その才能を存分に発揮しています。2018年にはイタリアの雑誌「Forbes Italia」が“将来を担う若き100人のリーダー”の一人に選出するなど注目を浴びる新鋭です。 このアルバムではプッチーニの管弦楽作品とオペラの間奏曲を演奏。歌心に溢れたプッチーニの名旋律をじっくり楽しませてくれます。選ばれた作品の中には、あまり耳にする機会の多くないものも多く、“美しい旋律を聴いてもらいたい”という彼女の強い思いが込められています。なかでも、ミラノ音楽院の卒業制作として作曲された「交響的奇想曲」が聴きもの。はあまり演奏されることがありませんが、途中の旋律がそのまま《ラ・ボエーム》に転用されるなど、プッチーニ好きにはたまらない作品です。  「スケルツォ イ短調」は、2014 年まで弦楽合奏版としてしか知られておらず、「トリオ ヘ長調」との繋がりは記録されていませんでした。近年新たに見つかった資料により、作曲者によるスケルツォの管弦楽版を確認し、この「トリオ」は「スケルツォ」とつながった作品と断言することが可能となりました。最近発刊されたばかりのヴィルジーリオ・ベルナルドーニによる管弦楽補完批判校訂版を使用し、世界初録音となっています。  ヴェネツィは、『イタリアのルッカで生まれ、同じルッカ生まれのジャコモ・プッチーニに深い愛着をもっています。「私はパンとプッチーニで育った」とよく宣言してきました。プッチーニと私は似ているところがいくつかあります。様式に対しての情熱を持っているところや、さまざまな音楽、文学、旅行、他の芸術分野との融合などを愛しているところです。私とプッチーニは同じ出身地で結ばれていて、世界各地でプッチーニの作品を取り上げると、彼のオペラの「女性」というテーマについて考えさせられます。プッチーニはオペラの作品の中で、女性に重要な役を与えた最初の作曲家です。彼のオペラのヒロインには、彼自身の心理や性格がまさに浮き出ていると思います。そのような意味で、プッチーニはずっと私の先導者であったと信じています』と語っています。プッチーニが書いた美しい旋律は、まさに、イタリアオペラの伝統を受け継いだものであり、ヴェネツィは多くの聴衆へのかけはしとして叙情的で親しみやすい音楽として指揮しています。  

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