Beatrice Veneziベアトリーチェ・ヴェネツィ

Profile

 ピアニスト、作曲、指揮で活躍するベアトリーチェ・ヴェネツィは1990年生れ。ナポリ・ヤング・オーケストラ・スカルラッティの首席指揮者、またアルメニア国立管弦楽団の副指揮者を務める。
 彼女はすでにオペラやコンサートを指揮して、イタリー、スイス、ドイツ、オーストリア、アルメニア、ジョージア(グルジア)、ポルトガル、レバノン、ブルガリア、クロアティア、アゼルバイジャン、アルゼンチン、ウクライナそして日本(ジャパン・ヴィルトゥオーソ・シンフォニー・オーケストラ)を訪れている。
 2018年にはForbes Italiaが30代以下の将来を担う若き100人のリーダーの一人に選んでいる。
 2019年春には一般向けに、オペラとクラシック音楽への愛に案内する「Allegro con Fuoco」を初の著作として出版した。
 彼女はデビュー・アルバムとなるプッチーニ作品によるアルバムの制作。2019年10月発売。

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[イタリア・ルッカ生まれのレディ・マエストロ、
    ベアトリーチェ・ヴェネツィがプッチーニ作品でCDデビュー]

 イタリア・オペラを代表する作曲家ジャコモ・プッチーニは、イタリア・トスカーナ州のルッカ出身。旧市街には生家が残され、プッチーニ博物館として見学可能である。1990年にルッカで生まれたベアトリーチェ・ヴェネツィは子どものころからプッチーニの音楽に親しんできた。最初はピアノを習っていたが、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で指揮を学ぶようになり、2017年からイタリア/プッチーニ音楽祭首席客演指揮者を務めている。
「私が指揮者になりたと思ったのは、幅広く音楽と対峙できると考えたからです。でも、女性が指揮者になるのは簡単なことではありませんでした。国際コンクールを受け、オペラを指揮することができるようになりましたが、指揮者は常にオーケストラとのコミュニケーションにおいて多大な努力を強いられます。客演でいろんなオーケストラと演奏するわけですから。でも、常にプッチーニの作品が私の後押しをしてくれ、彼の音楽が道しるべとなっています。プッチーニの音楽は、私の血となり肉となっているもの。デビューCDも迷わず、プッチーニを選びました」
 ヴェネツィはステージではスーツやタキシードを着用せず、ドレス姿。男性の指揮者に対抗するのではなく、あくまでも自分の道を切り開きたいと考えているからだ。
「女性がリーダーには向いていないと思われていることを覆すよう、音楽そのもので勝負したい。新たなオーケストラと共演するときにもっとも大切なのは、最初のリハーサルです。そこでオーケストラの気持ちをつかみ、自分がやりたいことを伝え、ともにいい音楽が生まれるようにもっていかないと次なる機会はありません。とても緊張し、感情的な高まりを伴いますが、これが指揮者の使命です」
デビュー録音のプッチーニ「管弦楽曲集」は、そんな彼女の強い意志が詰まった録音。
「プッチーニ作品はイタリア・オペラのあらゆる手法、感情、表現を含んでいます。現代的で、いつまでも色褪せないのも特徴です。今回はあまり演奏される機会のない《スケルツォ》を収録しました。これはプッチーニ・センターが編集し直したもので、初録音となります。オーケストラ・デッラ・トスカーナは私がキャリアの最初のころに出会ったオーケストラですので再会を喜び、お互いに成長した姿を披露しあいました。《マノン・レスコー》《マダム・バタフライ》など大好きな曲を選んでいます」
 勢いのあるみずみずしい演奏が全開だ。
                        音楽ジャーナリスト、伊熊よし子


 

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