去る9/12、イギリス国内で発売となった１枚のCD。
この作品は、新人アーティストのデビュー・アルバムでありながら、初回出荷が10 万枚を越え、発売前からゴールド・ディスクを獲得、全英チャートでは見事初登場堂々１位（9/24 付The Official UKCharts Company）を記録した。

この新人アーティストの名はエド・シーラン(20 歳)。今年に入ってからリリースとなったシングル「THE A TEAM」が、全英チャートTOP3 ヒットとなり、以降8 週間にわたりTOP5 をキープ（上記チャートにて）し、一躍注目を集めることとなった。ここまではよくある話に聞こえるだろう。しかし、このアーティストは、ちょっと変わった経歴の持ち主だ。

彼は、ホームレスなのだ。

イギリス東部の自然豊かなサフォークで育った彼は、4 歳の時聖歌隊に加わり、11 歳の頃もらったお古のギターで作曲を始めたという。そして16 歳になるとアパートを借り、ロンドンを中心にライヴ活動を始めた。彼のライヴ・パフォーマンスは評判を呼び、ライヴの本数も増えてくると、ついには2009 年、彼は年間312 回ものライヴを行うまでになっていた。つまりはほとんどの夜をライヴハウスで過ごすことになったのと、生活費を少しでも削るため、借りていたアパートを引き払ってしまった。

それから彼の家は、友人や、時にはライヴに来たファンの家の、ソファーになった。

特定の住所を持たず、リュックサック一つとギター一本を持って、他人の家から家へ泊まり歩く生活が始まった。2010 年には、たった一つのステージ出演のコネを頼りに単身ロスアンジェルスに渡った。LA でもライヴは好評で、いくつかのライヴを行ったあと、彼は、ジェイミー・フォックス（アメリカの俳優。映画『Ray/レイ』ではレイ・チャールズ役を演じきり、アカデミー主演男優賞を受賞した）、が主宰するラジオ番組出演の機会を得た。ここでエド・シーランの才能を見ぬいたジェイミー・フォックスは、ハリウッドにあるスタジオ付きの住居を、自由に使っていい、とエドに申し出た。この家は、エド・シーランのような、才能はあるがお金のない若者をサポートするために建てたものだということを言われ、エドはこの申し入れを受け、大邸宅の住人となったこともあった。

そんな生活が現在まで3 年間続いているという。

今年初頭、インディレーベルからEP をリリースし、これがイギリスのiTunes で1 位になったことで、メジャー・レーベルのアトランティックと契約。その際に、エルトン・ジョンが経営するマネージメントとも契約した。エルトン・ジョンもまた、エド・シーランの才能に惚れ込んだファンの一人なのだ。

そんなエド・シーランのメジャー・デビュー・アルバム『＋(プラス)』は、発売の前から注目を集め、前述のような大成功を収めている。

彼の天から授かった才能と、ストイックに音楽を奏で続ける生活スタイルと、数々の運命的な出会いが、彼を自由にし、大きく羽ばたくきっかけとなった。

もちろんメジャー・レーベルと契約した現在では、少しは立派なアパートを借りる事のできる収入を得ているが、今度はゆっくり部屋探しをする時間が無くなってしまったそうだ。

エド・シーランのデビュー・アルバム、『＋(プラス)』は、日本でも本日(9/20)から輸入盤が店頭に並び始めた。またiTunes ほかPC 配信サイトで絶賛配信中。

※ iTunes は米国及びその他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

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