Evgeny Kissinエフゲニー・キーシン
Discography
Beethoven: Complete Piano Concertos / ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集【輸入盤】
Beethoven: Complete Piano Concertos / ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集【輸入盤】
2008.09.01 発売/99920.63112
2007年秋、アビーロード第1スタジオでのセッション録音。ロマン派ピアノ作品の鮮やかで切れの良い演奏で人気を博してきたキーシンが、コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集ではひと味違うアプロ-チを示します。
冒頭、第1番第1楽章提示部からロンドン交響楽団のサウンドは見事。セッション録音ならではのディテール情報の豊富さが、重厚かつ切れの良い弦楽や、管楽器群の織りなすソロやハーモニーの美しさを高解像度で聴くことができます。キーシンのピアノはほど良いバランスで定位し、持ち前の切れの良さに重みも加わった魅力的な演奏を展開、展開部ではロマン派作品のような美しさも聴かせ、ファゴット、オーボエなど木管群との絡みあいも印象的です。一方、第3楽章ではさらにスピード感のあるピアノが爽快で、ロンドン交響楽団によるアタックの鋭いサウンドもベートーヴェンらしさを感じさせて大成功。第2番も同様な傾向です。
第3番では表現の傾向がスケールアップし、楽譜情報が一段と増えた中期ベートーヴェンの奥深さに対応。デイヴィスはロンドン交響楽団を雄大に鳴らしますが、第1楽章展開部後半ではキーシンのピアノと夢幻的な絡みを聴かせ、続く壮大な再現部とのコントラストを際立たせます。一方、第2楽章では思い切った表現がおこなわれています。キーシンのピアノに導かれて入ってくるオーケストラの情感豊かな美しさ(1分12秒~)にまずやられますが、以後もロンドン交響楽団員たちによる感傷的なまでの抒情美は素晴らしいもので、中間部(4分11秒~)での幻想的な美しさ、主部回帰時のやさしくノスタルジックな感動も最高です。
第4番も仕上がりは上々です。弦楽セクションが大活躍するこの作品にはロンドン交響楽団のパワーのある弦はうってつけで、第2楽章も緊迫感のある演奏がベートーヴェンの大胆なスタイルの面白さを伝えてくれます。
第5番第1楽章はキーシンのピアノとロンドン交響楽団の機動力がうまく噛み合った高密度な仕上がり。第2楽章ではまるで祈りのような清浄な美感を示すデイヴィス指揮ロンドン交響楽団のサウンドが見事。第3楽章では縦横に駆け巡るキーシンのピアノをデイヴィスが情報量の多いオケ統率で巧みにサポートしています。
ちなみにこの優秀録音を実現したエンジニアは、EMIなどで活躍していたノルウェー人のアルネ・アクセルベルイ。プロデューサーには、キーシンのRCA録音に数多く携わったベテラン、ジェイ・デイヴィッド・サックスも参加。分解能の高い環境で鑑賞すると素晴らしいサウンドで鳴り渡ります。
ベートーヴェン:
Disc1
● ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.15
● ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19
Disc2
● ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.27
● ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
Disc3
● ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73『皇帝』
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
ロンドン交響楽団
コリン・デイヴィス(指揮)
録音:2007年9&10月、ロンドン、アビーロード第1スタジオ
Disc1
● ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.15
● ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19
Disc2
● ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.27
● ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
Disc3
● ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73『皇帝』
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
ロンドン交響楽団
コリン・デイヴィス(指揮)
録音:2007年9&10月、ロンドン、アビーロード第1スタジオ