ツィンマーマンは古典派、とりわけモーツァルト作品に親和し、協奏曲全曲を1984年の録音、その数年後に永年のピアノ・パートナー、ロンクィッヒと完成させたソナタ作品集（全15曲）。両者の相互理解とツィンマーマンの卓越したエレガンスに満ちたタッチが聞きもの。1987-1990年録音。

長いキャリアと通してその親和性と表現力披露し続けているプロコフィエフのヴァイオリンのための作品ろ集大成。マゼール、ヤンソンスと共演した協奏曲（2曲）、ロンクヴィヒ（ピアノ）とのヴァイオリン・ソナタ作品（『3つのオレンジへの恋』からの「行進曲」を含む）、ソロ・ヴァイオリン・ソナタ、２つのヴァイオリンのためのソナタ（ツィンマーマンによる多重録音）を収録、1987-1996年録音。

ベルギーのヴァイオリンの名手、作曲家イザイが最後に手掛けた（1932年作曲）６つのソロ・ソナタは当時の名ヴァイオリニストたち（エネスコ、シゲティ、ティボーなど）にそれぞれ捧げられている。バッハやパガニーニに範を取りながら民族的な要素も併せ持つ難技巧の作品でツィンマーマンは素晴らしい演奏を示し、バッハの無伴奏作品との相似性を強調している。エドアルド・マリア・ストラッビオーリ（ピアノ）の共演した小品（2曲）も収録、1994-1995年録音。

FPツィンマーマンのディスコグラフィ・シリーズ　 ヴァイオリニストとして、そのスタイルと音楽的な感性の進化において最も深い影響を受けたと述べる、スラヴ音楽作品に深く傾倒したミルシュタインに捧げられた演奏。ウェルザー=メストとの完璧な指揮とのコラボレーションが素晴らしい1993年録音。

当時19歳、天才ツィンマーマンがパガニーニで示した驚愕の名技性と音楽性。 15年間に及んだ旧EMIレーベルでの録音活動を振り返るシリーズのスタートの相応しい、完璧な技術性と音楽的感性が幅広い聴衆を惹きつけた魅力を示す「パガニーニのカプリース」、1984-1985年録音。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲には、有名な「ホ短調 Op.64」のものと、当時13歳に作曲されたヴァイオリンと弦楽のための協奏曲「ニ短調」の2つの曲があります。その2曲を収録したもの。ツィンマーマンの特徴である繊細美に溢れる音色によって音楽的にも充実し、安定感の演奏。アグレッシヴに攻め込んでも、荒れずにふっくらとした美しさを保ち、デリケートに揺れる心の動きを見事に表現しています。

モーツァルトでの端正な表情が美しく、ブラームスではまさに「純ドイツ」という顔合わせによる充実を極めた協奏曲録音。冒頭の目の詰んだ充実した響きからこれは本物という実感を予感。それに導かれて登場するツィンマーマンのソロも、ブラームスの情熱を高い緊張感とともに歌いあげた圧倒的な演奏です。

今や、ドイツの中堅ヴァイオリン奏者のフランク・ペーター・ツィンマーマン。このCDの演奏はまだデビュー間もない頃の演奏ですが、完成度の高い説得力のある演奏です。歪みも、擦れもなく、正確な音程と、研究したリズム勘、若わかしき音の響き、磨き抜かれた美音を駆使して情感豊かに弾き上げたベートーヴェンです。