Kronos Quartetクロノス・クァルテット

Profile

1973年、ジョージ・クラム作曲《ブラック・エンジェルズ》をラジオで聴いて衝撃を受けた22歳(当時)のヴァイオリン奏者デイヴィッド・ハリントンが中心となり、シアトルにて結成。第1回演奏会では、作曲家ケン・ベンシューフがドーナツ一袋の“ギャラ”で新作委嘱を引き受けるなど、文字通り“手弁当”での出発となった。当初はベートーヴェンやモーツァルトなどオーソドックスな弦楽四重奏曲も演奏したが、1975年のショスタコーヴィチ死去を境に、現代作品の紹介を主たる目的に掲げるようになる。

1977年に活動拠点をサンフランシスコに移し、翌年から2年間ミルズ・カレッジで演奏の研鑽に励む。ここで師事した作曲家テリー・ライリーから音楽的・思想的に多大な影響を受け、また記譜を拒んでいたライリーを作曲生活に復帰させるなど、演奏家と作曲家の緊密なコラボレーションを重視する姿勢を明確に打ち出していった。その後はカーター、フェルドマン、ルトスワフスキー、グレツキなど世界各地の重要な作曲家に新作を委嘱し、現代音楽における“弦楽四重奏ブーム”を巻き起こす。アジア・アフリカ・中南米の民俗音楽の紹介にも積極的であり、ピアソラ、デヴィッド・ボウイ、ビョーク、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、ナイン・インチ・ネイルズ、カフェ・タクーバなど、ジャンルを越えたアーティストとの共演も多い。

1985年にノンサッチレーベルと専属契約を結び、翌1986年にレーベル・デビューアルバム『紫のけむり~現代の弦楽四重奏曲』を発表。『ライヒ:ディファレント・トレインズ』で1989年度グラミー賞最優秀現代作品賞を、『ベルク:抒情組曲(ソプラノと弦楽四重奏のための初稿版)』で2004年グラミー賞最優秀室内楽演奏賞を受賞している。2011年にはポーラー音楽賞とエイヴリー・フィッシャー音楽賞を同時受賞し、9・11同時多発テロを題材にしたライヒ作曲《WTC/911》を委嘱初演して物議を醸した。『MISHIMA: A Life In Four Chapters』『レクイエム・フォー・ドリーム』『ヒート』『21グラム』『ファウンテン 永遠に続く愛』『耳に残るは君の歌声』などの映画音楽で演奏に参加したほか、フィリップ・グラスが『魔人ドラキュラ』のために書き下ろしたスコアを生演奏上映するツアーも行っている。

これまでにクロノスが手がけた委嘱新作ないしは委嘱編曲は750曲以上。2007年からはBoosey & Hawkesの協力のもと、それらの楽譜を校訂・出版するプロジェクト「Kronos Collection」を開始した。

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