Leigh-Anneリー・アン

Profile

リー・アン・ピノックの復帰は、まさに到来とも言える。世界最大のポップグループの一人として絶対的な人気を誇る彼女は、ポップスターとしてキャリアを生涯かけて築いてきた。オールドスクールR&B、ガレージ、アマピアノ、レゲエに至るまで、様々な音楽的影響を受けている彼女は、このプロジェクトを通して、唯一無二のスターとしてのアイデンティティを存分に発揮する姿を見ることができるだろう。アフロビーツ界の重鎮P2J、R&B界のレジェンドであるダークチャイルド、ストームジーとのコラボで知られるカッサ・アレクサンダーなど、幅広いコラボレーターを起用し、ファンは予想外の展開が期待できる。彼女のソロアーティストとしてのアイデンティティを確立する旅は、作曲の初期段階であるジャマイカのキャンプで始まった。ディオからスーパーデュープス(ドレイク、リアーナ)、ダンジャ(ティンバランド、マライア・キャリー)まで、才能あるソングライターやプロデューサーに囲まれた第二の故郷で、リー・アンは、この旅を「変貌の旅」と表現する。今回のソロ・デビュー作では、リー・アンが母親、パートナー、スターになること、そしてそれらに伴う微妙な儚さや深い感情を探求し、三位一体となって生まれ変わる姿を描いていく。10代の頃、大きな夢を抱いていた彼女は、自ら設定した最も野心的な高みに到達し、それに伴う障害を克服した今、新しい章に突入している。「これは、私が再び自分の力を見つけることでもあるの...私はやって来るわ、準備万端だし、心の中で熱い情熱を持っている、そしてみんなをびっくりさせるつもりよ」と話していた。

ソロ・アーティストとして生まれ変わったリー・アンの最初の一歩として、「Don't Say Love」が登場した。
同曲は、ハイパーアクティブなガレージを解釈したモダンなトラックである。「私は、予想外のものをリリースしたかったんだ。そして何より、ソロ・アーティストとしての私に期待できるものを出したかった。」と彼女は言う。「無難な曲は作りたくなかったし、「Don't Say Love」は間違いなくみんなを驚かせると思う。」 同時に、この新曲でリー・アンは、ブラック・ミュージックの引用に触れながら、これまで以上に自分自身を共有したいと考えている。感情的な自分を深く、より率直に掘り下げるために。グループの一員である以上、個人のストーリーを表現できる量は自然と制限されてしまうが、この新しい局面では、マイクは彼女だけのものだ。 「私の世界には、人々が知らないことがたくさんある。そのすべてを打ち明けるのは、とても気持ちのいいことなんだ。」タイトルのインスピレーションについて、リー・アンは「私はとても、とても壊れやすく、繊細な人間なの。でも、いつも強い女性を演じなければいけないと思っている。私の人生や家族の中で、たくさんの強い女性に囲まれてきたわ」と語り、姉妹や母親が自分にとってインスピレーションやモチベーションの源であることを誇らしげに語る。

表現力豊かでアーティスティックなヘアスタイル、大胆なファッション、映画のようなビジュアルなど、新しい表現の道を開拓することに、彼女はとてもワクワクしているという。シャネル、ビヨンセ、ナオミ・キャンベルなどとコラボレーションしてきたジェンケ・アーメッドのクリエイティブディレクションのもと、リー・アンは「ジェンケのクリエイティブサポートによって、私のソロ時代に足を踏み入れることができて、解放されたわ!自分のクリエイティブな能力を最大限に発揮できて、私のすることはすべて、私のために、私の個人的なストーリーを語るために影響を受けている。」自分の名を開拓し、自分の言葉でしっかりとそれを成し遂げようとするその積極性と興奮は、貴重なものだ。「私は自分が誰であるか知っているし、自分が誰であるかをとても誇りに思っている」と彼女ははにかむ。「長い間、私はただ馴染みたかっただけだった。でも今は、溶け込む必要はないし、そんなことをする必要もない。見過ごされていると感じたときは、自分にこう言い聞かせるんだ、あのときは見られなかったかもしれないけど、今は見られるよって。私が出てきたら、みんなは私を見る以外の選択肢はない。」

幼いころのリー・アンは、ポップスターになる夢を持っていた。2011年、彼女はX Factorのオーディションを受けけた。その旅の続きは、もちろん、歴史に残る。9年後、リトル・ミックスは、史上最も売れたガールズグループのひとつであり、世界で5000万枚以上のレコードを売り上げた、英国で最も売れたアーティストのひとつだ。しかし、白人が多い業界で世界最大のポップグループの一員となり、白人が多い国々をツアーすることは、特に混血の黒人女性として、独自の課題を伴うものでした。ステージ上では、誰も自分のことを気にかけてくれないような気がして、結局、すべてが手に負えなくなったことを彼女は覚えている。マネージャーには、「どうしてこんな気持ちになるんだろう、どうして私が注目されないんだろう」と泣きついたこともあったという。「なんで、自分は無価値な人間だと思い込まされているの?」当初、リー・アンは自分の経験を個人的な失敗の結果だと考え、何年も自分を証明しようとしていた。そんな彼女が、大勢の黒人ファンが自分の名前を呼び、応援してくれるという経験をしたのは、ブラジル公演のときだった。その旅でのファンとの出会いは、リー・アンが自分への感謝と愛情を表現するために感動に打ちひしがれる姿となり、その様子はオンライン上でも共感を呼んでいた。

2020年、ブラック・ライブズ・マターが盛り上がる中、リー・アンは自身のSNSを通して、世界中をワールドツアーで巡っていた9年間の中で、自身も見てくれない、聞いてくれない、サポートされていないと感じた経験を語り、圧倒的な反響が寄せられていた。「私のファンが、ハッシュタグを始めたの:私たちは見てる、私たちは聞いてる、私たちは応援してるって。すごく嬉しかったわ。」ガールズグループに所属する他の黒人女性たちも、彼女がしたことが自分たちにどれだけ意味があったかを伝えようと手を差し伸べ、リー・アンに「あなたは変じゃない、ずっと自分の頭の中にあったことだから」と伝えていた。このような素晴らしい反響を受け、彼女はは英BBCのドキュメンタリー番組「Race, Pop and Power」を発表し、黒人の慈善団体や組織を支援するための自身のイニシアチブ「The Black Fund」を立ち上げた。「そして、自分の経験について話したことで、より自信を持って自分の靴を履いて歩くことができるようになったし、自分自身をより強くもつことができるようになった。」このチャリティーで、彼女は今後、ブランドの仕事にも活動の要素を織り込みたいと考えている。「私はこのプラットフォームを通して、変化を起こしたいの...もう誰の言い訳も通用しないわ。」このドキュメンタリーは、リー・アンの音楽業界での経験を表面化させたものだったが、今後も彼女自身のストーリーを語る上で、まだまだ多くのことが語られるだろう。作家のナタリー・モリスと共同で書いた彼女の回顧録『Believe』は、今年末に出版される予定である。

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