1965年11月10日オハイオ州に生まれたマーク・ターナーは4歳からカリフォルニアで暮らしてきた。音楽と同様の情熱を美術にも注いでいた彼は、偉大なるデューク・エリントンやソニー・ロリンズのように、当初、イラストレーターを目指していた。ロング・ビーチ大学で芸術を専攻した後に、バークリーへと移り、そこで彼は多くの知的探求心旺盛で卓越したテクニックをもった若いミュージシャンと遭遇する。その交流の輪はニューヨークへ移ってからも広がり続けた。
ジョシュア・レッドマン（サックス）、カート・ローゼンウィンクル（ギター）、ジェフ・バラード（ドラムス）などの若手ミュージシャンとNYの‘スモールズ’やイースト・ヴィレッジの小さなバーでセッションを重ねていくうちに、本格的音楽活動に目覚める。
「20年前のような師弟制度なんてもう存在し得ない。だから僕達は数多くのセッションを体験することになるんだ」というターナーの言葉に象徴されるように、現代の若いミュージシャン達は半年ごとに変わり続けるバー・シーンで、フレキシブルで自由なセッション活動をし、そこから新たなミュージック・カルチャーを生み出している（彼の友人の輪にWBのレーベル・メイトであるブラッド・メルドーと彼のトリオ・メンバーも含まれる）。ターナーはまさにそのエネルギッシュなシーンを代表する将来有望な新人である。