《エラート＆EMIへ録音した集大成》  

歴史と栄光を浴びるUSの代表的オーケストラ、ボストンSOは約30年に及ぶ小澤征爾指揮下の時代を過ごした。スラヴ系作品の名録音からロストロポーヴィチ（チェロ）とのドヴォルザークのチェロ協奏曲、チャイコフスキーのロココ変奏曲、ストラヴィンスキーの火の鳥、チャイコフスキーの悲愴交響曲などを収録。

小澤征爾は間違いなく当代を代表するチャイコフスキーを得意とする指揮者。彼が、パリ管、フィルハーモニア管、ベルリン・フィルそしてボストン交響楽団を指揮したチャイコフスキー作品のコンピレーション・アルバム。交響曲第4番、第6番「悲愴」、ウラディーミル・スピヴァコフをソロとしたヴァイオリン協奏曲、1812年序曲、スラヴ行進曲などを収録、1970-1986年録音。

サル・ワグラムで録音された当時のパリ管弦楽団の特徴でもある中間色豊かなサウンドが、第２楽章など抒情的な部分にユニークな彩りを添えています。若いだけに快速部分も率直でエネルギッシュ、持って回った表現など皆無の心地良さも印象的。

ときに現代のドビュッシーとも言われたアンリ・デュティユーの作風は、ドビュッシーやラヴェル、オネゲルなど、フランス近代の流れを汲む精妙な美しさと迫力を兼ね備えたもので、無調など現代風味の技法も適度に加味しながら、独自の世界を築き上げています。  『時間の影』は、小澤征爾からの委嘱作で、きわめて色彩豊かな美しい作品に仕上がっています。  

小澤征爾がシカゴ交響楽団を相手に録音したバルトークの管弦楽のための協奏曲は、構えが大きめで細部の表現も大事にした演奏。25年後のボストン響との再録音（PHILIPS）では初演版エンディングを採用していましたが、ここでは通常ヴァージョンによっています。

サル・ワグラムでのセッション録音ならではの色彩豊かなパリ管サウンドを堪能できるアルバム。全曲ヴァージョンの魅力は細部にあるとよく言われますが、この演奏で聴く細部の表情の多彩さは絶品。

どの曲も小澤征爾の繊細な指揮が当時のフランス国立管弦楽団の魅力的なサウンドと相乗効果を発揮した素晴らしい演奏。交響曲第2楽章アダージョでのミシェル・クロケノワの物悲しいオーボエ、絡むホルンやフルートの明るい響き、軽やかでどこまでも伸びていくヴァイオリンの澄んだ美しさなど病みつきになる魅力にあふれています。

小澤征爾盤はオルガンを別録りで壮麗なサウンドを実現、瞑想的な美しさが際立つポコ・アダージョと、迫力あるマエストーソで成果をあげています。

ほとばしる熱狂と豊麗なオザワの圧倒的名録音！！

若きオザワが武満作品を指揮した名盤、パーカッションにツトム・ヤマシタが参加した演奏は今や伝説的な存在感を示している。

「世界のオザワ」が以前から得意にしているレパートリーに、このビゼーを始めとするフランスものがあります。小澤征爾ならではの清潔なリズム感、スタイリッシュなメロディーの歌わせ方などがフランス作品の特質と見事にマッチし、趣味の良い演奏を作り上げています。